第一章:『裏切り』『最弱の捕食者』『影に溶ける牙』
世界は、そのまばゆい『金』にひれ伏していた。
金碧の都・オウレリア(Aurelia)この街の頂点に君臨する、国最大の特級ギルド――『黄金の獅子』。
国お抱えの天才エリートが集まるその場所で、少年シンは「生ゴミ処理係」と呼ばれ、最底辺にいた。
シンの能力は、『捕食』。
倒したモンスターを喰らうことで、その能力を奪えるという異能。
だが――初期のシンが喰えるのはネズミやゴブリンが限界。
「死肉を貪るハイエナ野郎」
「燃費が悪すぎるゴミ能力」
それが彼への評価だった。
そして今。シンは、生還率0%と言われる前人未到のA級上位ダンジョン――**『神を冒涜せし神殿』**の最深部にいた。
周囲には、自分をここに連れてきた『黄金の獅子』の精鋭たちの冷酷な笑い声。
ルシアン・ヴァルハイト(黄金の甲冑を身に纏った国内最強の騎士):「ここがやっと奈落か。とりあえず最深部の奈落にきたっていうデータは残せたな。待てよ…何かやべえもんが近づいて来ねえか…?おいゴミ、そこに立ってろ。お前は最高の囮だ」と言い、シンの両足を切り落とした。
シン:「う、うぉぉあぁぁーーーーー!!!!あが…あが…」
レジーナ・ドロテア(国内随一の氷の魔法使い):「天下の『黄金の獅子』のために命を捧げられるのよ。光栄に思いなさい?私の魔法で止血はしてあげるわ!」と笑いながらシンの両足を凍らせる。
背後から迫る圧倒的な魔力。
ルシアンとレジーナ含む8人のエリートたちはシンを置き去りにし、転移石でさっさと脱出した。
シン:「は、、、ハメられた。」絶望の暗黒が、シンを包み込む。
暗闇から現れたのは、A級推定の巨大な牙を持つ影の狼――「シャドウ・ウルフ」。
すでに瀕死の傷を負い、血を流している。だが、その一撃でもシンを殺すには十分だった。
「ここで、終わるのか……?」
シンの目に、どす黒い執念が宿る。
死んでたまるか。あの傲慢な『黄金の獅子』の連中を、この手で地獄に引きずり落とすまでは!
「――あぁぁぁぁぁッ!!」
シンは本能のままにウルフへ飛びかかり、その喉笛に噛みついた。
バリリ、と肉が裂ける。生暖かい血が口内に溢れる。
異能発動――『捕食』!
ウルフの肉体が光の粒子となり、シンの影へと融解していく。
その瞬間。モンスターのはずの狼が、シンに対して「怯えと、深い哀愁が混ざったような瞳」を向け、静かに膝を折るようにして影に消えた。
『個体名:シャドウ・ウルフの捕食を確認。固有スキル【影潜伏】【神速】を獲得しました』
脳内に響く無機質なアナウンス。
シンは、自身の身体から溢れ出る圧倒的な力を感じていた。
「待ってろよ、黄金の獅子……。俺をハイエナと呼んだこと、骨の髄まで後悔させてやる」
最底辺の捕食者が、ついに牙を剥いた。




