131「Sランクダンジョン<関東S1>」
第三章 最終話です。
蓮二さんの探索者集団『乾坤一擲』との帯同を終えた次の日——俺は、
「ここか⋯⋯」
Sランクダンジョン『関東S1』に来ていた。
ここ、『関東S1』は日本に出現した初めてのSランクダンジョンで、未だ攻略されていないダンジョンである。というのも、日本にはS級ランカーの探索者や探索者集団が少ないというのが大きな理由である。
ただ、全く進んでいないというわけではない。それは海外の探索者や探索者集団が訪れているからだ。
しかし、これは探索者ギルド日本本部や日本政府からしたら全く面白くない話である。理由はもちろん『Sランクダンジョンの貴重な魔石やアイテムが持ち出される』からだ。
なので、ギルドとしても日本政府としてもS級ランカーの探索者や探索者集団を増やしたいという想いは強い。
そういう裏事情もあって、今回俺が急遽『S級ランカー』に昇格することができたと炎呪や賢者が話していた。
「さて、それじゃ早速入ってみるか⋯⋯」
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ところで、この関東S1がある場所は、何と『皇居の敷地内』にあった。
あ、いや、正しくは『旧皇居の敷地内』か。実は、この世界の皇居はダンジョンが出現する前から『京都』に移っているらしく、なので今の世界の常識では『皇居=京都御所』となるらしい。まー移転の理由は俺にはよくわからないが⋯⋯。
とにかく、そんな関東S1にやってきた俺はそこにある『探索者ギルド関東S1支部』にいた。
「うぉっ!? す、すごい⋯⋯建物だな」
『ギルド関東S1支部』は、ギルド本部よりも豪華な建物で、作り的には『東京駅のようなレトロチック』でおしゃれな建築様式だ。そして、建物の中に入ると、今度は逆にモダンで凄いシステマチックな感じな作りだった。
「や、やっぱ、Sランクダンジョンって『特別』なんだな⋯⋯」
そんな関東S1ギルド支部に圧倒されていると、
「新屋敷ソラ様ですね。お待ちしておりました」
「! え、えーと⋯⋯どちら様でしょう?」
「はい。わたくし、ギルドマスターからソラ様の専属受付として派遣されました『一ノ瀬遥』と申します」
「せ、専属受付!?」
一ノ瀬さんの話によると、S級ランカーになると『専属受付』なる者が付くようで、この人がギルドからの指名依頼だったり、その他の依頼、雑務等を一手に引き受けてくれるらしい。細かいところでいえば、確定申告などに必要な資料なども全部対応してくれるとのこと。
「ただ、あくまで、ギルド内にいる間に限りますが。ダンジョンへはさすがに一緒に行くことはできませんので」
だそうだ。
とはいえ、これはすごく助かる。
「ありがとうございます。じゃあ、とりあえず早速ダンジョン探索に行きます」
「わかりました。それではご案内いたします」
そう言われて、一ノ瀬さんに案内されてダンジョンの入口へと向かう。
「こちらが入口になります」
案内されたそこには、何とも『メタリックな扉』があった。
「ちなみに、この扉を開けてさらに100メートルほど進むとダンジョンの入口が見えてきます。そこには岩の扉があるので、その扉を開けるとその先からダンジョンとなります」
「わかりました」
その後、一ノ瀬さんが「この『センサー』に手を当ててください」と、このメタリックな扉の横にある水晶っぽい丸いセンサーに手を触れるよう指示。それに従って手を当てると、シュンという音とともに扉が横に開いた。
「では、いってらっしゃいませ」
俺は一ノ瀬さんに見送られながら奥へと入り、説明にあった岩の扉を開けると目の前にダンジョンへと続いているであろう階段があった。
「⋯⋯行くか」
俺は、一度深呼吸して階段を降りた。
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「こ、ここが⋯⋯Sランクダンジョン」
扉を開くと、そこには『赤い砂と岩石』だけの世界が広がっていた。
「火星かよ」
と、ついツッコミたくなるくらいには、そこはテレビでよく観るあの火星のような世界だった。
「ま、まさか、本当に火星じゃない⋯⋯よね?」
俺は「さすがにフラグにはならないよね?」と思いながら、そんなセリフを吐く。
ちなみに、気温は見た目通り、少し暑い。体感的には気温は38度⋯⋯と言ったところだろうか。
「フー。まずは、2階層に降りる階段を探しつつ、辺りを探索してみるか」
俺は、右端から潰していこうと歩き出した。すると、
「ほう? 人間か? 久しいな⋯⋯」
「!」
どこからか声をかけられた。
「魔物⋯⋯か?」
俺はそんなセリフを吐きながら、初級魔法の『小規模索敵』を起動する。すると、
「! 上っ!!」
と、俺が気づいて真上に視線を向けたと同時に、
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンンっ!!!!!
魔物の全体重を乗せた蹴りに襲われた。
その蹴りの衝撃で地面が陥没し、あたりに砂煙が舞った。
「何だ? もう殺してしまったか? まいったな⋯⋯せっかくの人間だからもっと遊べるかと思ったのだが、予想以上に実力のない者だったか⋯⋯?」
などと、この俺にそんなことをほざいてきた。
「ん?」
砂煙が晴れると、地面に俺がいないことを確認したそのタイミングで、
「おい、そこのクソ魔物」
俺は声をかけた。⋯⋯⋯⋯こいつの真後ろから。
「なっ?! い、いつの間に⋯⋯!」
その魔物は驚くと後ろに飛んで距離を取る。
その魔物は、人間っぽい姿をしていて頭に角を2本生やしている。体格的には2メートル半といったところだ。全身肌が薄黒い。
「お前、もしかして『悪魔』か?」
「いかにも。私は『悪魔の種族』。名を『キュリアス』と申す」
「おお〜。これが『悪魔』。初めて見たよ。確か、Sランクダンジョンにだけ生息する魔物なんだよな」
そう。この『悪魔』はSランクダンジョンだけに生息する魔物で『固有種』と呼ばれている。人間と同じかそれ以上の知性を持つと言われており、強さも探索者のA級ランカー相当と言われているが、知性の高い悪魔であれば、S級ランカー並みの実力者もいるらしい。
ていうか、そもそも魔物の中でも1・2を争う強さで有名だ。
「どうやら私はついているようだ。君が思ったより強そうでよかったよ。すぐに死なれては面白くないのでね?」
悪魔のキュリアスはそう言って「ククク」と笑う。
「ふ〜ん⋯⋯⋯⋯あ、そ」
シュパ。
「え? あ、あれ⋯⋯?」
気づくと、キュリアスは『頭と体』が離れていて、その頭はソラの右手に収まっていた。
「なんか、すげー強者風にしゃべっていたけど⋯⋯⋯⋯大したことないからね?」
ソラがそう告げるタイミングで、体の首のほうからブシュゥゥゥと血がいきおいよく飛び上がった。
「バ、バカ⋯⋯な⋯⋯! 貴様は一体⋯⋯何者なん⋯⋯」
グシャ!
ソラはその悪魔のしゃべっている途中で頭を捻り潰した。
「言わせねーよ?」
こうして、ソラのSランクダンジョン単独探索者活動が始まった。
第三章 完
これにて、第三章完結となります。
第四章は、少しお休みをいただきまして『4月29日(土)お昼12:00』から投稿再開致します。
よろしくお願いいたします。
「生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜」
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mitsuzo




