127「『新進気鋭《アップスタート》』の評価」
俺は今回の『帯同』の際に、唐沢と胡桃沢に事前に言っておいたことがある。
「今回、俺も帯同に参加するってことは、おそらく『新進気鋭』の実力を見るという話になる可能性は高いと思う。で、悪いが⋯⋯⋯⋯今回、俺の能力の共有化である『共有化』は使わない方向で行きたいんだが構わないか?」
「ああ、問題ない」
「大丈夫よ、ソラ君。ソラ君の『恩寵』⋯⋯だっけ? それは使わないでいいわ」
ということで、今回二人は『恩寵:共有化』は使わないので、俺の『恩寵:自動最適化』は適用されない。
とはいえ、二人はすでにレベルは『唐沢:68』『胡桃沢:69』とA級ランカーの最低レベルである『レベル66』を超えていたので、Aランクダンジョンでもそこそこはやれるだろう。それに、俺が現状は『レベル89』なので、自分がフォローすれば問題ないはずだ。
「よし! 俺たちの実力を見せるぞ!」
「うん! 頑張りましょう!」
「ああ。唐沢も胡桃沢も出し惜しみなく、暴れていいぞ。俺は後ろで全力でカバーする」
「わかった! ソラ頼む!」
「わかったわ! ソラ君が全力カバーなら頼もしいわ!」
俺たちは獅子神さんと交代して先頭へ。
「よし! じゃあ、君たちの実力を見せてくれ!
「「「はいっ!!!!」」」
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「オラァァァァァァァァっ!!!!」
「はぁっ!!」
現在、関東A12の7階層で唐沢と胡桃沢が大暴れしていた。
この7階層に出てくる主な魔物は皮膚が大理石で覆われている『マーブルスパイダー』と、赤黒く体長5メートルほどあるゴリラ風魔物『レッド・コング』。
ちょうど、体長5メートルあるレッド・コングが3匹ほど出現しているが、それを二人で⋯⋯⋯⋯蹂躙していた。
「グギャァァァァァァァァァァァァァァァ〜〜っ!!!!」
レッド・コングが二人の攻撃にたまらず悲鳴を上げた。
バタッ!
「おっしゃぁぁぁ〜〜っ!!!!」
「イエ〜イっ!!」
レッド・コングはBランクの魔物で凶暴で恐れられているのだが、そんな相手に二人で圧倒した。
え? 俺?
後ろで突っ立ってました。
だって、やることないし。
「おっ! レベルが上がった!」
「私も!」
「ということは⋯⋯唐沢がレベル69。胡桃沢は⋯⋯⋯⋯レベル70か!」
「うん!」
「く〜! いいな〜、胡桃沢! 俺はあと1⋯⋯足りない!」
「ふふ〜ん! 努力の結晶よ!」
唐沢が悔しがる横で、胡桃沢が『ある胸』をさらに張った(ドヤァ)。
話を聞くと、どうやら唐沢と胡桃沢は二人でレベリング対決をしていたようだ。ルールは『キリ番』ごとに競っているらしい。ちなみに、キリ番『レベル50』のときは唐沢が。『レベル60』のときは同時だったらしく、今回の『レベル70』で胡桃沢が奪取したようだ。
そうして、俺たちが騒いでいると、
「⋯⋯ご、ごめん。ちょっと今聞こえたんだけど胡桃沢君は今、レベルが上がって『70』になったって聞こえたけど⋯⋯⋯⋯本当?」
後ろから、蓮二さんが胡桃沢に話しかけてきた。
「え? はい、そうです! 今の魔物を倒したらちょうどレベルアップして『70』になりましたー!」
「⋯⋯マ、マジか」
蓮二さんは胡桃沢の言葉に呆気に取られている様子。
「⋯⋯う⋯⋯そ⋯⋯? レベル⋯⋯⋯⋯70ぅぅぅ〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
すると、今度は美鶴さんが叫び、
「あ、あり得ない⋯⋯探索者デビューして一年も経っていないのに『70』だなんて⋯⋯あり得ない」
ミズホさんは放心し、
「レベル70ぅぅっ!! 趙クールじゃんっ!!!!」
獅子神さんは⋯⋯⋯⋯まーいつもの獅子神さんだった。
しかし、様子を見る限り『乾坤一擲』のメンバー全員が胡桃沢のレベルにかなり驚いている。
でも、どうしてそこまで驚くのだろう? だって、帯同するなら俺たち『新進気鋭』の情報も伝えているはずなのに。⋯⋯⋯⋯⋯⋯ん? いや待てよ?
「あ、あの、すみません⋯⋯蓮二さん」
「な、何だい、ソラ君?」
「ちなみに、俺たちと帯同する話は誰から聞きましたか?」
「え? あ、ああ。ギルドマスター⋯⋯⋯⋯炎呪さんからだ」
炎呪! も、もしかして⋯⋯、
「え、炎呪さんからは、今回の帯同について⋯⋯⋯⋯何て聞かされたんですか?」
「ん? えーと⋯⋯⋯⋯今回帯同をお願いしたい『新進気鋭』は、炎呪さんの権限でA級ランカーへ昇格させた⋯⋯と。理由は『天罰』の今後の活動でソラ君以外の二人のレベルアップは必須だから⋯⋯と」
うんうん。
「で、唐沢君と胡桃沢君の探索者レベルはB級ランカーに成り立てレベルの⋯⋯『レベル50前半』程度だから⋯⋯と」
うんう⋯⋯⋯⋯んんっ!?
「だから、Aランクダンジョンで君たちのレベリングをしっかりとフォローしてほしいと⋯⋯」
あんの、腐れショタギルマスぅぅ〜〜〜っ!!!!
「あ、あの、それたぶん⋯⋯⋯⋯炎呪さんのイタズラです」
「え?」
俺は、非常に申し訳ない気持ちで、唐沢や胡桃沢の本当の探索者レベルの話をした。
「な⋯⋯! そ、それじゃあ⋯⋯君たちは⋯⋯本当にA級ランカーの実力はすでに⋯⋯ある⋯⋯と」
「は、はい! すみません! こんな大事なことを!⋯⋯⋯⋯炎呪さんが説明していると思っていたので」
何で、俺が炎呪の尻拭いをしないといけないんだっ!? ぐぬぬ⋯⋯炎呪、許すまじ!
「そ、そうか⋯⋯なるほど。私たちは炎呪さんに一杯食わされたというわけか」
「マジかっ!? くぅおんのぉぉ〜〜〜〜〜!! あのチビぃぃ〜〜⋯⋯⋯⋯殺す!」
「マジ、ムカつく。炎呪さん、マジムカつく」
「ひゃっはー! そういうことだったかぁー! 随分、手の込んだイタズラを〜! 相変わらずクールだな、ウチのギルマスはっ!!」
俺の話を聞いた『乾坤一擲』のメンバーは怒りを露にしていた。⋯⋯⋯⋯獅子神を除いては。
ていうか、獅子神さん。だいぶズレてるな!
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mitsuzo




