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イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜  作者: mitsuzo
第三章

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107「朧十二衆①」



(おぼろ)十二衆⋯⋯?」


 所変わって、こちらは王明凛(ワン・メイリン)


 メイベルと同様、目の前に『朧十二衆』の一人が立っている。


「はい。私は朧十二衆『朧卯(おぼろう)』と申します」


 そう言って、王明凛にペコリと丁寧にお辞儀する朧卯。


「礼儀正しいわね、あなた。⋯⋯嫌いじゃないわよ」

「お褒めに預かり光栄ですわ。私も王明凛様のような上品でお美しく、また格式高い方は大好きでございます。ですので、そのような方のお命を頂戴するのは大変遺憾ではございますが、これもまた運命(さだめ)⋯⋯。ということで、ご覚悟を」


 そう言って、ニコッと笑う朧卯。


「ふ〜ん⋯⋯あなただいぶサイコパスね? 言動と心の声がまるで合っていないように感じるわ」

「お褒めいただき光栄至極でございます」

「褒めてないわ⋯⋯⋯⋯よっ!!」


 ドン!


 王明凛が床を踏みつけ、朧卯に迫る。


 ガキィィィィンン⋯⋯!


「これが、明凛様の『氷剣(アイス・ソード)』⋯⋯! 極上な質の魔力で構成されていることが伺えます。素晴らしい⋯⋯」

「ご高説⋯⋯どうも!」


 明凛は朧卯へと突っ込む際に一瞬で『氷剣(アイス・ソード)』を現出させ一撃を見舞ったが、それを朧卯もまた瞬間で現出させた『長い爪を纏った白銀色の籠手』でガードする。


 ギリギリギリギリギリギリギリギリ⋯⋯!


 明凛が氷剣(アイス・ソード)で強引に押し込もうとするも朧卯のガードは固くビクともしない。そのため、明凛は後方へと跳躍し、一旦距離を取った。


「やるわね、あなた。⋯⋯『朧卯(おぼろう)』だったかしら?」

「ええ、そうですわ」

「『卯』⋯⋯『兎』というわけね。なるほど、どうやら『朧』という組織の幹部は『十二支』で構成されているというのは本当のようね?」

「はい、そうです。わたくしは『兎』を司る朧のネームドですわ」

「ということは、幹部は残り11人ということなのね」

「そうですわ」

「それにしても、あなたやけに素直に喋るわね。大丈夫?」

「はい〜。だって、明凛様や他の要人や顔役のクソ探索者(シーカー)共はここで絶滅させる予定ですから〜」


 と、カラカラ笑って呟く朧卯。


「本当⋯⋯あなた良い性格しているわね?」

「お褒めいただき光栄至極でございます」

「だから褒めてないって⋯⋯⋯⋯言ってんのよっ!!」


 ピキーン!


 突如、明凛の両手から『氷の魔法陣』が無数に展開される。


「こ、これは! 王明凛の二つ名『氷結女帝(ひょうけつじょてい)』足る所以の氷魔法っ!? さすがにまずいですわね。⋯⋯⋯⋯『風神纏(ふうじんまとい)』!」


 朧卯は明凛のギアが一段上がったことを把握すると、すぐさま対応するべく自身の風属性の防御魔法を展開。警戒を図る。


「ほう⋯⋯『風神纏(ふうじんまとい)』か? これは確か上級の風魔法⋯⋯⋯⋯やるじゃない」

「いえいえ、明凛様のその質の高い氷の魔法陣ほどではありませんわ。その氷の魔法陣⋯⋯⋯⋯上級魔法ですわよね?」

「あら⋯⋯知ってたの? であれば、わかるわよね? 私よりも劣る魔力の質で練った『風神纏(ふうじんまとい)』じゃ私の魔法を防げないことくらい?」

「そうですわね。ですが、わたくしにはこれで十分でございます」

「何?」

「私のこの『風神纏(ふうじんまとい)』で明凛様の上級魔法⋯⋯⋯⋯防がせてご覧にいれましょう」

「ほう⋯⋯言ったわね? 容赦しないわよ?」

「どうぞ」

「⋯⋯⋯⋯」


 明凛は朧卯の余裕に怪訝な顔をするも、


「では、望み通りにしてあげましょう⋯⋯⋯⋯『上級魔法:深氷竜巻(ディープ・ハリケーン)』っ!!」


 明凛の目の前に展開されたいくつもの氷の魔法陣から『かまいたち効果』のある風の刃と、氷点下の空気を纏った竜巻が射出され朧卯を襲う。朧卯はその射出された『竜巻』に向かって、


「⋯⋯『上級魔法:深氷竜巻(ディープ・ハリケーン)』!」

「何っ?!」


 明凛と同じ上級魔法の『深氷竜巻(ディープ・ハリケーン)』を展開し相殺させた。⋯⋯と同時に、


 バキィィィィっ!!


 怯んだ明凛の隙をついて、懐に飛び込んだ朧卯が渾身の拳を明凛の顔面に叩き込む。


「ぐはぁっ!!」


 まともに喰らった明凛は数メートル先にある壁まで飛ばされた。


「ふふふ、『油断大敵』⋯⋯⋯⋯ですわよ?」


 うっとりと愉悦の笑みを浮かべながら言葉を投げる朧卯。


「なるほど。確かに『油断大敵』だったわ。私としたことが⋯⋯」

「えっ!? ノーダメージ⋯⋯⋯⋯ですの?」


 かなりの勢いで壁に叩きつけられたはずの明凛であったが、何事もなかったかのようにスッと立ち上がった。


「あたりまえでしょう、あの程度(・・・・)の攻撃? 伊達に中国ギルドマスターやってないわよ?」

「な、なるほど⋯⋯。結構手応えあったのですが⋯⋯流石⋯⋯ですわね」

「フッ⋯⋯あなたのほうこそ、かなりイイわよ? ただでも⋯⋯」

「!」

「私を倒すには、まだまだ修行が足りないようね」

「フフフ、一体何を仰ってい⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯え?」


 明凛がそう呟いた瞬間——朧卯の体が『金縛り』のように硬直し動けなくなった。


「か、体が⋯⋯動かな⋯⋯」


 朧卯は自分の体が石のように固くなり身動きできないことにショックを受けていた。


「い、いつ⋯⋯の間に⋯⋯どうやって⋯⋯」

「フフフ⋯⋯それは、さすがに企業秘密(・・・・)よ? さ〜て、とりあえず、あなたにはこのままギルドへご足労願うわね」

「くっ!? な、何よ、これくらい! ぐ、ぐぅぅぅぅ⋯⋯っ!?」


 そう言って、朧卯は無理矢理に体を動かそうとするもまったく動かすことができなかった。


「⋯⋯無理よ。この『金縛りの原理』がわからないあなたがこれを(ほど)くなど⋯⋯」


 と、明凛が愉悦の表情を浮かべてマウントを取ってくる。


「うっせー、このクソメス豚がぁぁっ!! 早く、解きやがれってんだよぉぉっ!! クソがぁぁぁ!!」


 すると、さっきまで余裕を見せていた朧卯が打って変わって醜いほどに顔を歪め明凛を罵倒し出した。


「あらあらあら⋯⋯これがあなたの本性? はぁ〜〜〜〜〜⋯⋯何だかガッカリね」

「んだと、コラァァ〜〜っ!!!!」

「もういいわ。あなたへの興味は失せました。さっさとギルドの職員に受け渡しますわ」


 ガシ!


「痛い⋯⋯痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃぃ〜〜〜〜っ!!!!」


 明凛は雑に朧卯の髪を鷲掴みすると、そのままズルズル引っ張っていこうとした。しかし、


「っ!?」


 ババっ!!


 首筋に強烈な殺気を感じた明凛は、朧卯を離すと咄嗟に今いた場所からできるかぎり飛び離れた。


「何者ですかっ!!」

「いやいや、ごめんなさいね? 一応この子、これでもウチの幹部でしてね。いえ、顔はキレイですけど、私でもここまでのサイコパスはさすがにパス⋯⋯⋯⋯あ、ダジャレじゃなくてですね」


 と、ブツブツと何を誰に対してなのかわからない言い訳をしている男が朧卯を抱き上げる。


「だ、だから⋯⋯何者か⋯⋯と⋯⋯⋯⋯聞いているっ!!」


 そんな男に明凛が尋常じゃない冷や汗を垂らしながら、何とか絞り出して(・・・・・)男に質問する。




「え? あ、すみません。申し遅れました。わたくし『朧十二衆』やらせてもらってます⋯⋯⋯⋯『朧辰(おぼろたつ)』と申します」


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