14回目 最善の道を進む者達 4
ミチオが艦艇や兵器・武器を奪って逃げ出したのは、星を捨てる為ではない。
まともに戦えないからである。
無駄死には御免だった。
それに、人を見捨てるつもりもない。
可能な限り多くの人を救いたい。
そういう思いもある。
それを実現するのに、様々な制約が邪魔になる。
だから独自に行動を起こすしかなかった。
それさえなければ、普通に出撃しても良かったのだが。
残念ながら、様々な法律や制度のおかげでそれも出来ない。
これについては様々な反論もある。
規約や方針で普通に戦闘は出来るなど。
そんな夢想や妄想が割とはびこっていた。
つまり、法律やその他の制度などは変わってない。
戦闘が可能なように改正されてるわけではない。
ただ、規約や方針があるだけ。
法律を上回るものではない部分で決まってるだけだ。
つまり、何の効果も効力もない。
実際に戦闘において全く手出しが出来なかった。
先制攻撃の指示もなかった。
これが事実である。
戦闘における反論は全く何の意味もなかった。
加えていうならば。
法律や制度によらない部分ではより最悪な状態になっている。
先制攻撃が決して出来ないような仕掛けが兵器に施されている。
特に電子機器を搭載してる兵器がそうなってるのだが。
これらは先制攻撃が実行できないようにプログラムがなされている。
武器の制御機器に、攻撃を受けるまで稼働しないように処置が施されている。
この為、例え指揮官や最前線の兵士が独断で攻撃をしようともだ。
兵器や武器が動かないので何も出来ない。
一方的にやられるだけとなる。
どこまでも戦闘をさせないように、兵士を殺すための処置がなされている。
それが当たり前なのが国防軍であり、日本という国だった。
これらをミチオも把握していた。
機器の整備を担当する者達から聞き出している。
もしかしたらそういう措置がされてるかもしれないと思って確認をしてた。
調べてみると、確かにこのような措置がなされていた。
「何考えてんだか……」
呆れるしかなかった。
可能であるなら、これらを解除するよう求めた。
本当に万が一があったらたまったものではない。
整備の者達もそれは承諾してくれた。
だが、さすがに高度な技術が必要な部分になる。
整備員くらいではどうにもならなかった。
やむなくミチオは、そうした機器を外し、代わりの部品を組み込むよう求めた。
性能は落ちるが仕方がない。
何も出来ないでいるよりは幾らかマシだ。
だが、これで最低限戦う事はできるようになった。
あとは、どのように動くかだ。
これについては色々と考えていく事になる。
戦力差がありすぎるから、敵との戦闘は極力避ける。
それでいて、必要な時には戦えるように。
「さて、どうする」
集まった仲間と共に考えていく。
この先どうするのか。
何をするのが効率的なのか。
生き残ったまともな軍人達による、まともな軍事活動がこうして開始されていく。




