13回目 最善の道を進む者達 3
「やってらんねえよな」
そんな声は国防軍には常々存在していた。
一方的に攻撃されて殺される軍隊。
そんな現状に不満を抱く者は多い。
ミチオもそうした者達と適当に合わせてやってきた。
気持ちも分かるし、考えも同じようなものだというのもある。
それもあって、常日頃から「どうにかならないかねえ」と愚痴り合っていた。
そういった者達に声をかけ、呼びかけていった。
今まさに悲惨な事になりそうになっている。
「このままだと殺される」
敵に、ではない。
馬鹿げた制限をかける味方にだ。
「やってらんねえよ、こんなの」
そう言って話を持ちかけていった。
そうした打診を続け、少しずつ根を張っていった。
戦争が起こらなければ表に出る事無く終わる。
だが、最悪の事態が発生したら効果を出すように。
非常時の脱出計画。
それを少しずつあちこちに声をかけ、浸透させていった。
戦う事もできない状態で戦場に放り込まれないように。
必要な人員を集め、何を持ち出すのかを決めていく。
誰にも見つからないように、どこにもバレないように。
それを着任してから続けてきた。
賛同者は少しずつ増えていった。
最悪の事態において、何をどうするのかの手順も決められた。
「まあ、こんなの必要な状態にならなきゃいいけど」
そう言いながら。
残念ながら、その悲惨な状態が発生してしまった。
地球の他国との戦争という形ではなく。
異星人という予想外の存在によって。
それらとの交渉が始まり、その結果が伝えられる。
それを知るにつれ、ミチオは更に計画を積極的に進めていった。
「このままじゃまずい」
ミチオのみならず、他の賛同者もこの言葉を口にしていった。
そして、計画は実行に移された。
第一陣が出撃し、第二陣も出航してから。
なんのかんの理由をつけて残っていたミチオとその仲間は行動を開始。
出澄の衛星軌道に浮かぶ防衛基地を制圧。
艦艇や兵器を奪って脱出をした。
その際に通信機器や生命維持に必要な設備を破壊。
追跡がなされないようにした。
「それじゃあな」
死ねと命令する者達から逃げだし、ミチオとその仲間は安全圏に離脱していった。
「さて」
強奪した駆逐艦。
様々な物資を搭載した輸送艦。
これらによる小さな艦隊を率いて次を考える。
「これからどうすっかな」
さしあたって、生き延びてる者達を救出したい。
主要都市が爆撃を受けてるとはいえ、全ての人間が死んだわけではない。
まだ生きてる者達を可能な限りすくい上げる。
その上で、
「上手く脱出しないと」
出澄から逃げ出す。
まともな戦力がない今、こうするより他に道はなかった。




