episode3
誤字、脱字が多々あると思われます。
気になった方はコメントなどで指摘の程宜しくお願いします。
不屈のHERO episode3
「ねえ、凌。私と春どちらを取るのだ?」
俺の部屋の寝室に水着姿の2人。そして身動きの出来ない俺に身を寄せ密着する。
「そうだよ凌君。お姉ちゃんより私を取るよね!」
episode3
密着する春さんは俺の腕に柔らかく暖かい胸を押し付ける。その感触が腕に伝わってくる。俺には勿体無いぐらいの時間が訪れてしまっていた。
「やめないか春!」
だが彼女によって引き離されてしまいその至福の時間は終わってしまった。そして彼女が正気に戻ったのだと思ったがそれは俺の勘違いだった。
「凌は、お前より私の胸の方が良いのだ!そうだろ凌。」
"何を言いだしているんだこの人はは!"
焦る俺を無視しお構いなしに彼女は俺の手を取り自分の胸に押し当てた。
「どうだ、私の胸はこれでも世間では大きい方だと思うんだが。凌はどう思う?ちなみにFだぞ。」
"すごくいいものをお持ちで!"
とそう言いたい!心の底から言ってやりたいがしかし、隣で涙ぐんでる春さんを見たらそんな事言えるわけがない。決して春さんの胸が小さいというわけじゃない。俺から見て彼女より一回り、いや二回り小ぶりなだけでどちらかというと春さんの方がタイプであって、いやいやそんな話をしている場合でもなく、
「ど、どうしだんだよ2人とも正気に戻れ!」
「何を言うのだ、私は正気だぞ。ほら、私は今こんなにドキドキしているのだぞ。お前にはわかるだろ?」
こちらに微笑みかけるその顔が可愛すぎる、反則だ!レッドカーード!!
「私もです凌君。真剣なんです!お姉ちゃんよりは小ぶりな胸ですが私のドキドキも感じてください。」
春さんは、俺の頭を抱きかかえるように引き寄せ、頭が春さんの胸にうもれる、春さんの心臓のトクトクという音がはっきりと聞こえた。
"何なんだ、健全な男子にこんな試練をかせる奴は!耐えれる訳がないだろ!どうしようも無いこの気持ちはどうしたらいいんだ!これ以上は俺も耐えられないぞ!"
そして俺はふと思った。
「そうか!これは夢だ!そうじゃなかったらこんなパラダイスが起こるわけがないんだ!そうだ、そうに違いない!」
確信にたどり着く事ができたと小さくガッツポーズをとる俺だったが確信にたどり着いたからといってどうしたらいいんだ。
「「どうしたの?」」
2人が俺の顔を覗き込むように見ていた。
"これは夢だ!これは夢なんだ!こんな、こんな可愛い女の子がこんなところでしかも俺の隣でこんな可愛い水着着て、こんな事してくれるわけがないんだ!"
そして俺は動かない体を無理やりに動かし、2人の誘惑を振りほどいて立ち上がりいく宛もなく走り出した。自分がどこに向かって走っているのかわからないがとりあえず走るしなかった。そして叫ぶしかなかった。
「これは夢だ。これは夢だ!これは夢だ!!これは夢だ!!!これは夢だ!!!!これは夢だ!!!!これは夢なんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
……………夢から覚める事に成功。少しもったいないたとも思えたがまだ知り合って間もない2人があんな事してくるわけがないし、こちらとしても申し訳ない。第一俺の名前すら知らないだろうから、凌なんて呼ぶわけがない。
「鏡見君。鏡見 凌君。起きたんですね。おはようございます。」
"そう、こんな風に名前を呼ぶわけ………あれ?今名前呼ばれた?"
「どうしたんですか?まだ傷が痛みますか?」
「いや、そうゆうわけじゃないんだけど。」
周りを見渡すとそこは俺の部屋で、いつここで寝たのか記憶がない。
「昨日は、ありがとうございました。私もお姉ちゃんも感謝しきれないほど感謝してます本当ーにありがとうございます。」
「いや、そんなお礼を言われるほどの事はしてないけど。」
「そんな事はないぞ凌。」
彼女はそう言いながら台所の方から歩いてきた。髪を後ろで結んだポニーテール。そしてエプロン!これはヤバイ!すっっっごく可愛い。俺も結婚したら奥さんにこういう格好して欲しいです!そんな個人的な思いは置いといて………昨日教えた覚えのない俺の名前を知っている。
「今料理ができたところだ。その後で少し話があるんだが良いか?」
「え?ああ、俺は別に良いけど。これだけ聞かせて欲しいんだけど何で俺の名前知ってるんだ?」
「表札に書いてあったよ。」
"ああ、そういうことか。普通に考えたらわかることだったな。"
そして彼女が作ってくれた料理をテーブルを囲み食べた。
彼女の料理を食べ終わったのだが、正直負けた。そこらへんのレストランに出しても文句も言えない味だった。俺もそれなりに料理が出来るがこれほどのものは作れない。
「では話をしようか。」
そうきりだしたのは春さんのお姉さんだった。食器をかたずける暇もなく、話が始まる。先ほどまで楽しく食事していたことから一変して少し緊張している自分がいた。
「まずは自己紹介からかな。私は『夜城 冬月』(ヤシロ フユヅキ)だ。気軽に冬月と読んでくれ。年は19歳だぞ。」
「次は私、『夜城 春』(ヤシロ ハル)です。17歳で、好きな動物は猫!それと・・」
「そこまで言わんで良いだろ。」
「そうかなぁ?」
春さんは首を傾げる、その姿は可愛いと思った。この2人は本当に仲がいい、兄弟はいないが俺だからなのかそう見える。
「んじゃ、俺の番だよな。」
すると2人は何故か座り直してこっちをジッと見てくる………なんだか緊張する。
「え~。名前は……もう知ってるみたいだけど、『鏡見 凌』(カガミリョウ)だ。18歳で、小学三年から空手やってます。只今、彼女募集中です。」
「なぜ最後にそんなことを言うのだ。」
これは完全に呆れられてるなと自分でもわかったが言っておいて損はないと思った。普通は自己紹介にしかも女の子相手にいうことではない、けど俺は言っておくことが最善の選択と思っている。チャンスなんて人生にそう何回もないものだ。
「一つだけ気になることがあるんだが。」
「何?」
「小学生から空手始めたって聞いたけどそれのおかげであのグローブを壊せるの?」
「それは私も気ななっていたのだ。鋼鉄製のグローブが粉々になっていただろう。どうやったらあんなことができるのだ。」
当たり前の質問。『一般人』がたった一発で鉄を砕くことなど出来るはずもないのだから。だが俺は少し違う。
「その前に俺の方もボロボロだし、出来るか出来ないかわからなかったし、今まで岩ぐらいは殴って砕けたから出来るかな~なんて感じでやったらできたみたいな感じだ。」
「………普通そんな思いで簡単に出来たら苦労はしないはずなんだかな↓↓」
「そうゆうものなのか?」
「普通は出来ないよ。鏡見君。」
「……………。」
俺は何かが喉に詰まったような違和感を感じていた。なんていえばいいのか、喉がイガイガするような感じがするのだ。
「どうした凌?」
「どうしたの鏡見君?」
「それだ!何か違和感があると思ったら春さんだけ凌って呼ばずに鏡見なんて読んでるからか!」
お姉さんの冬月さんは凌って読んでいるのに妹の春さんだけ凌って呼ばずに鏡見なんて読んでいるから違和感があったのだ。
「私何か可笑しなこと言った?」
「いや、そういうわけじゃないんだけどなあんまり鏡見君なんて呼ばれたことがなかったから。」
「そうなの?」
「だから軽く凌って読んでもらった方がいいんだ!」
そう言うと春さんは黙ってしまった。
「ではお前も私のことを冬月さんと呼ばずに冬月と読んではくれないのか?」
「それもそうだな。そっちの方がいいなら俺はそうするけど?」
「うむ!冬月と呼んでくれ!あと春のことも春さんじゃなく春と呼び捨てにしろ!私が許す!」
「お姉ちゃん、初対面の人にそんな!」
「大丈夫だぞ俺は。じゃあ改まって言うのも何か恥ずかしいけど昨日はここまで運んでくれてありがと、そして会えて良かったよ冬月、春。」
冬月はにっこりと笑って頷き、春は下を向いたままこちらを見ようとはしなかった。照れているのか恥ずかしいのかはわからなかったがその姿も可愛すぎだ。俺がそんな春の姿にデレデレしていると電話が鳴った。その時俺は受話器を取ることをためらったのはある人からの電話だと思ったからだ。
「どうした凌?電話に出ないのか?」
「出なくても大丈夫!悪戯電話だから気にしないでいい。」
「だが悪戯にしては長くないか?」
「気にしない気にしない。じゃあ次!何か聞きたいことある?」
「凌!そろそろ出てやれ!これだけ鳴っていたら気になって仕方がないんだが。私が出てもいいか。」
「…………やめて下さい!こんな所で使うとは思わなかったけど一生のお願いです!出ないで下さい!」
俺は必死に冬月に電話に出ないで欲しいと頼んだのだが無理だった。
「わけがわからん。」
「やめてぇぇぇ!」
俺の必死のお願いも虚しく冬月は受話器を手にとった。
「もしもし、鏡見ですが?どなたですか?」
"なぜ俺の名前を出したんだ!そこはもしもし、夜城ですがでいいだろ!"
「【ん?女か?凌はいるか?】」
「ああいるぞ。変わろうか?」
「【オウ!師匠からと言ってくれればわかると思うから。】」
「凌、師匠と言ったらわかると言っているが。」
"嫌だ。嫌なんだよ!今日ぐらいゆっくり春達と過ごしたいんだよ!けどぉぉぉぉ!"
「はぁ………。わかったよ。すぐに行くって伝えといて。」
「ん?わかった。凌の師匠だったな。すぐにいくと言っているぞ。」
「【わかった。いつものところで待っていると伝えといてくれ。】」
そして俺は自分の部屋に置かれた荷物を持ち、玄関に肩を落としながら向かう。
「師匠の所にいくのか凌?」
「うんまあ。」
「うむ、では私達もいくとしよう!」
「え!?」
「だから一緒に行きたいと言っているのだ!」
「いやいやダメ!絶対ダメ!」
「何でだ?」
「それは…………。」
ちょっとアレな人だから2人を会わしたくないのだ!アレ?アレって言うのは世間一般で言う変態と言う奴だな。俺なんて軽々倒してしまうほど強いし見た目もかっこいいのに中身がダメ!論外!クズ!カス!人外!っとあまり言いすぎると俺の命が大変なことになるのでここまでにしておこう。
「どんな人でも、弟子の俺のことを軽蔑しないと誓ってくれ!誓えないなら来たら絶対ダメ!」
「ん~?よくわからんが誓う!」
そうして俺達はこのマンションの裏手にある山に向かった。この先何が起こるのか胸が苦しくなるほど心配になってきていた。師匠はほぼ1年中山に籠り修行をしている。修行と言ってもそこで自給自足しているだけで修行しているかというと少し違うだろう。俺は週に6回師匠のいる山に行って鍛えて貰っている。けれど俺から見てあの師匠は少し残念なものを持っていた。先が思いやられる。
30分ぐらいで師匠の待つ山に到着。師匠が暮らしているこの山は師匠の土地。ここには野生の動物が多く生息している。例えば、熊、猪、リス、狸、鹿。なんでこんな山にいるのかは俺もわからない、だからといって師匠も知っているわけじゃなくこの山を買った時からこんなにいたらしい。そしてこの山には師匠が寝泊まりしている寺以外に建物は無く、その寺も鳥居と狛犬がおいてあるだけの何だか味気ないもので寺の中も奥に大きな仏像が一つとあとは布団などのちょっとした家具がおいてあるだけだ。そんな事を2人に話しながらここまできたが師匠に会わせるのはやはり嫌だ。
「なあ、師匠という奴はどんな奴なのだ?」
「!?」
「どうかしたんですか?」
「いや。えっと師匠は、この世で一番強いかもしれないって言われてる人なんだ。」
「この世で一番強いかもしれないってどういうことだ?」
「世界一強い奴を決める大会があったんだけど大会自体がなくなったんだよ。事故が起きて。」
「事故とはなんだ?何が起きたのだ?」
「大会が始まる前に選手同士で喧嘩が始まって怪我人続出。戦う相手がいなくなって仕方なく師匠が優勝したんだ。」
「だからこの世で一番強いかもしれないってことなのだな。」
「そう。……あっそうだ、絶対師匠に近づいたらダメだぞ。」
「「何で?」」
「………色々とヤバイんだ。」
「「?」」
そんなことを話していると寺に到着。
「あれ?師匠~!どこですかぁ~。」
だがそこは誰もおらず、手分けして探すことに。俺は寺の中を探し、2人は寺の周りを探した。だが寺の中を探したが師匠の姿は見えず寺を出ようとした時だった。
「キャーーー!お姉ちゃん助けてぇーー!」
春の叫び声が聞こえた。俺はすぐに寺を飛び出したが、そこには最悪の光景が広がっていた。冬月が上下ジャージ姿で下駄を履いた男に飛び蹴りをしている光景。この男が師匠なのだ。
"最悪だ…………。"
俺はとりあえず師匠が死ぬ前に冬月を止めることにした。冬月は俺が止めるまで容赦なく殴り続けそうだ。けどいっそこのまま半殺しに合えばあの病気も何とかなるのではなどと思ってしまった。
「冬月、その辺にしてやってくれないか。それ以上したら死んじまう。」
「何を言うのだ!こんな変態を野放しにしていたら次の犠牲者が出るのだぞ。」
いや、そうかもしれないけどさすがに半殺しを超えて殺してしまったらそっちのほうがダメだろ。
「ふふ……はははははははははははははは!」
「「「!?」」」
"これは……ついに頭までおかしくなったのか!……いや元からか。"
師匠は、体をグニャグニャと曲げながら起き上がってきた。その姿は気持ち悪いの一言で十分すぎるほど気持ち悪かった。冬月はそんな師匠を見てすぐさま後ろに下がって春を守るように構えをとった。
「いいぞ………。もっとだ。もっと殴って来い!そんなもので俺は止められない!俺の欲望を止められるのは全力でぶつかってくる女の子だけだぁぁぁぁぁぁ!!」
「一回死んで来い!この変態がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
俺は、無意識に師匠に殴りかかっていた。けどいいと思っている。何故か?そんなの簡単なことだ。師匠が気持ち悪いから、それと2人がこれ以上こんな大人に害を与えられないようにここで終わらせようとした。だが流石は世界一強いかもしれない男。俺の拳を片手で止められてしまった。
「おいおい。仮にも俺はお前の師匠だぞ。師匠にそんな拳で……。」
「ふん!」
この時にもう一方の拳で殴ったがまたも簡単に防がれてしまった。
「おいおい師匠に殴りかかってくるなんて弟子のすることか?」
「その変態的な行動をもう少し抑えることができるんなら考えるよ。けど考えるだけでやめないけどな!」
「そうかそうか。じゃあ俺もその心意気に答えてやらないとな!」
俺と師匠は、そのまま力比べを始めた。俺は負けじと押し返す。だが師匠も弟子の俺に負けるわけもなく押し返してきたそして容赦なく腹に前蹴りをして、俺は後ろに飛ばされた。
「今日はとことんしてやろうと思ったが、そこの2人の方が興味がある。誰なんだ凌。」
「教えてやる必要なんてない。」
「そうか、仕方が無いか力尽くで聞くまでだ!」
そう言うと師匠は構えた。俺もそれに合わせて構えをとった。
「ちょっと待て!いきなり何を始めようとしているのだ!私達の事を無視しないで欲しいのだがな!それでこの変態野郎は誰なのだ!」
「え?ああ、俺の師匠だけど。」
「どうも!凌の師匠やらせてもらってます。」
「「えっ?!」」
「だから俺の師匠だって。こんな人だから会わせたくなかったんだけど。」
「こんなのとは何だ。俺はただ女が好きなだけだ!」
「普通好きだからっていきなり抱きつく大人はいない。」
「それもそうか。」
「とりあえず2人に謝ってもらえないかな師匠。」
「すみませんでした!」
師匠は頭を90度まで傾け2人に謝っていたが2人は何だか意味がわからなく、その場の状況が把握できていなかった。俺はそんな2人に近寄り俺と師匠の関係とさっきの会話の説明をした。そして
「そうなのか。そこの変態野郎が凌の師匠で、春に抱きつこうとしたことを謝っていたのだな。どうする春?許してやるか?その前に一発ぐらい殴っておくか?」
「もうしないって約束してくれるなら許します。」
「だって師匠。」
「わかった。絶対しない約束する!」
そう言うと春に近づき小指を出した。だが春は師匠が何がしたいのかわかっていないらしい。
「指切りを知らないのか?こんな風に約束をする時にするんだ。小指と小指を絡ませてするんだ。それじゃあほい。」
師匠がまた小指を春の方に出した。春は師匠の小指に自分の小指を絡ませたが俺には師匠が約束を本当に守るとは思えなかった。抱きつこうとするのをやめるだけで別の何かで変な事をしないかとても不安だった。これからどうなってしまうんだろう。
続く。




