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不屈のHERO  作者: ポテ男
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episode13

勢いって怖い。

不屈のHERO episode13


3時間走りやっとお屋敷に着いた。休み休み走ったおかげでそれほど疲れることはなかったが周りを少し見渡すだけでスーツ姿のガードマンと警備員達がうじゃうじゃおりアリの一匹たりとも侵入させぬ様に巡回している。どう見ても一般の俺達と同じ人間にしか見えない。


episode13


「よし。お前達はここで待ってろ。俺が行く。」

「「えっ?」」

師匠はスッと立ち上がり真正面から向かって行った。

「ちょっ師匠!正面から行く気!そこにいるのは外見は人かもしれないけど化け物かもしれないんですよ!!」

「大丈夫、大丈夫。ちゃんと手加減して気絶させるだけだよ。」

そう言うと俺の心配など他所に堂々と正面から向かって行った。

「何だ貴様は!」

「何処からやって来た!ここは立ち入り禁止ださっさとここから立ち去れ!」

「立ち去らなかったらどうなるんだ?」

「ここで今すぐ死んでもらう!」

「それは困るな。なら俺がお前達を倒してしまえば問題ないなっ!」

師匠は目の前にいたガードマンの腹を力強く殴るとガードマンが倒れ込むその前にその場にいる全員の前から姿を消していた。

「なっ何だこいつは!」

「速い!速過ぎる!」

「人間じゃない!こいつ人間じゃないぞ!」

「にっ逃げろ!こんな奴相手にしてたら命がいくつあっても足りねーぞっ!」

師匠は姿勢を低くしたまま敵を翻弄する様にその場を駆け回り1人1人倒して行く。そして気が付くとそこには師匠だけが立っていた。

「お前達行くぞ〜。」

と師匠が手招きしている。師匠はやはり凄い人なんだと改めて思った。結果、師匠の独壇場、なんの苦労もなく俺達は堂々とお屋敷の領地に入りお屋敷の扉の前に立った。

「それじゃあ開けますよ。」

「ちょっと待て凌。ここも俺がやる。下がってろよ。」

「師匠……聞きたくないんですが何するんですか?」

「そんなこと決まっているだろ。ここからは彼奴らの領地だ。だから挨拶代わりに一発デカイのを……と思ってな。それじゃあ行くぞ〜。」

流れる様に構える師匠。左手を前に突き出し、右手は拳を作りながら脇を締め捻じる様に引き大きく息を吐く。そして吐き終わると同時に一歩踏み出し引いていた拳を過剰なまでに回転を加え放った。

「『回流拳』!」

その凄まじい回転から左右の扉はたった一点の螺旋痕を残して飛んで行った。その衝撃で周りは砂煙で視界が埋め尽くされて行く。そんな中でお屋敷の入ってすぐの大広間から低い声が聞こえてくる。

「なぁ〜ボブ〜。急にビックリしたなぁ〜。」

「そうだなぁ〜ブブ〜。急に扉が飛んでくるんだもんなぁ〜。」

「そうだよなぁ〜ボブ〜。こんなことした奴はお仕置きしないとなぁ〜。」

「そうだなぁ〜ブブ〜。お仕置きは薄切りハムみたいにペラペラにするのはどうかなぁ〜。」

「それはいいね〜ボブ〜。それじゃあこれをやった奴の顔をみるとしよ〜か〜。」

そして砂煙の奥から太く見覚えのある鋼鉄のグローブをした腕が左右から伸び勢い良くその煙を払った。姿を見せたのは巨人だったがあの時の巨人と違い、喋り、服装はストライプの囚人服だが服の色が違った右が赤で左が緑。そしてあの巨人とは一回りも二回りも大きく高さ3Mは超えているだろう。この大広間の天井に届きそうなほど大きかった。

「何だぁ〜?これをやったのはお前等かぁ〜。」

「そうだが何か悪いか?」

「何だぁ〜。期待外れだなぁ〜ボブ〜。」

「そうだなぁ〜ブブ〜。それじゃあ軽くぺちゃんこにしてやろうぜぇ〜。」

そう言って2人は手を組み合わせ頭の上に振り上げたがその時にはもうこの2人には勝機などなかった。俺は右のブブと言う名前の巨人に。春は左のボブと言う名前の巨人に。師匠は2人に向かって行く俺達にこう言った。

「思う存分やって来い!」

腕を組みして動くことなく堂々と俺達の背中に語りかける。その姿は俺達が自分よりも早く動くことを知っていた様に思えた。俺はブブに真正面から突っ込み両手を引き脇を締める。そして振り下ろされる両拳に対してブブの懐に入った俺は地面に根をはる様に足を固定して振り下ろされるそれを右拳で殴り勢いを相殺した。その隙に左拳に溜めていた力を一気に解放する。

「『桜花……正拳』」

拳はブブの腹部に拳跡を残しブブは泡を吹きながら後ろへゆっくり倒れていった。そして春はボブの両拳を避けようともせず刀も抜かずに刀の柄に手を置くだけで動かなかったがボブの懐に少しの隙間ができた瞬間だった。春の身体が半身から開いたと思うとまた元の自然体に戻っていた。この時聞こえたのは刀を収めた時の金属音だけだった。

「『斬破』」

ボブの右腹から左肩にまで一筋の斬撃が走る。そして血が噴き出し前のめりに倒れる。すると師匠は俺の方に近づき肩に手を置いて。

「よくやったぞ。」

と一言言ってボブの元へ。

「おい。まだ寝てないはずだ!聞きたいことがある。ここに冬月ちゃんが来たはずだが何処に捕まっているか知っているか?」

「お前達はなんだ?何でそのことを知っているんだぁ〜?」

と頭だけを起こして師匠の話をするボブ。だが身体は動かない様だ。

「質問しているのはこっちだぞ?知ってるのか知らないのか答えろ。」

「ふん!お前達なんかにもし知っていても教えるかっ!」

それを言った瞬間壁に大きめの穴が空いた。それは師匠が拳を向けた場所だ。多分溜め無しの『閃空拳』でも撃ったんだろう。

「お前もあの壁みたく穴を開けられたくなかったら答えろ!冬月は何処だ!」

「ん〜。」

「そうか。なら話は早いか。お前の友達が兄弟かは知らないがそこで倒れてるブブを今から殺す。彼奴はまだ息があるみたいだからな。5秒だけ待つ。行くぞ。5!」

「ちょっと待て〜。」

「4!……3!」

「ぐっ〜。」

「2!」

「わかった!わかったからやめてくれ〜。」

「そうか。それはありがとな。」

「夜城 冬月は千道さんが地下五階に連れて行って実験の続きをするって言ってたぞ〜。」

「地下?その入り口は?」

「おいらのすぐ後ろにある扉からしたに行く階段がある。そここらならいけるぞ〜。」

「そうか。ありがとな。ちなみに俺は人殺しはしない主義なんでな。殺すって言うのは嘘だ。脅しとしては中々の迫力があったみたいだがな。」

「ぐぬぬ。だが行っても彼女の所には付けないなぁ〜。おいら達だけが足止めしているわけじゃないんだからなぁ〜。」

「そんなことわかってるよ。俺を邪魔する奴らは全員ぶっ倒して行く!それだけだ。」

俺はその決め台詞の様な言葉を残し師匠達と地下へと進んだ。


地下へと降りる階段。ボブが言ったとおりだった。階段を降りたそこは長方形状の広間になっており、刀を持ったマネキンや甲冑、それに壁には槍やら剣やらが飾られてあった。突然広間の電気が消えて一点だけにスポットライトが当たる。そのスポットライトが当たる床が円状に斬り取られゆっくりと下から現れたのは………。

「んぁぁぁぁぁぁ〜!!!エクスタシィィィィィ〜!!!!」

変態だった。腰には2本のレイピア。全身タイツの様な肌にぴっちりと張り付いた服。はっきり言って見るに堪えないその凄まじいファッションセンスと存在感に吐き気が止まることはない。

「あら。可愛いお客さんが来たわね。道着姿の男の子とそれと………中々ダンディーなジャージの男の人、私……嫌いじゃないわよ2人とも食べちゃいたいぐらい。」

「「っっ!!!!」」

背筋が凍りそうなほどぞっとする。見た目からもあまり想像はしたくはなかったがこいつオカマだ。

「私は無視ですか!」

と春が言う。そういえば春のことは何も言っていなかった。やはり女には興味がないのか。

「あら、いたの。残念だけど私、女には興味ないの。それにあんたみたいな女と言葉を交わたくないの。だからこうやって返事して貰っているだけありがたく思いなさいよ。」

「何ですかその言い方は!私が女だからいけないんですか?!」

「そうよ!あんたみたいな男を2人も連れて居るお肌もピチピチでスタイル抜群で性格の良さそうな女はね!」

"えっ?それってただの逆恨みじゃないの………?"

と心の声で呟く。決して口に出さないのはこれを口にしたら標的が俺になるからだ。だがだからと言って春に相手をさせるのも気が引ける。

「それって逆恨みじゃないですか!」

と春が指差して叫ぶ。その時このホール全体が静まり返り俺達、オカマ含めて口を閉じることができなくなっていた。

「むきーーーー!!!そうよ!何か悪いのこうなったら私と勝負なさい!もし私が勝ったらそこの2人私がもらうわ!!」

「ええいいですよ!!」

「「ええっ!!!」」

春とオカマはすぐに刀と剣を抜き構えた。


続く。


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