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第三十三話 謎の集団来襲!

ようやく主人公が主人公らしくなってきたような気がします……。

第三十三話 謎の集団来襲!


僕らは”怪しい団体”を調査するためリンドン南の森に来ていた。森の中は薄暗く、じっとりしている。僕は辺りを魔力使って探索していたがそれらしき反応はない。


「とりあえず今はこのあたりに誰もいないようだな……。ふぅ、疲れた。一旦休まないか? 神経を張り詰めているから疲れてかなわん」


咲が疲れたのかみんなに提案した。咲は魔力がない代わりに気というものを使える。その気を使って咲は森を探索しているのだが、それは魔力を使うより疲れるらしい。


「わかった。なら開けたところで休もうか」


僕の言葉にみんな賛成のようで、僕らは移動を始めた。この森に詳しいスフィアの案内で少し歩いていく。視界が急に開けた。巨木の群れがなくなり、小さな広場になっている。


「ここって……」


「どうしたの? 気分が悪いの?」


ナルが言葉を失っている僕を見て声をかけてくる。僕は当たり障りのない返事をすると、また物思いに耽った。僕はこの広場に見覚えがあった。僕がこの世界に降り立った場所だったのだ。


「まったく懐かしいなあ、白河」


スフィアが僕の耳元で囁いた。僕は無言で頷く。その様子を咲とナルは奇妙な目で見ていたが、何も言わなかった。


「そろそろお昼。休憩するついでにお弁当食べたいの」


「もうそんな時間か? ならお昼にするとするか」


「そうだね。食べましょうか」


咲とスフィアもナルに賛成した。咲が背中の風呂敷からお弁当箱を出した。僕らはなごやかな雰囲気になる。僕は弁当箱の中からサンドイッチのような物を取り出して頬張る。うーん、おいしい! スフィアの作った物だが最高! フワフワな卵が絶妙だ。僕はどんどん手を伸ばして食べる。弁当箱はあっという間にからっぽになった。


「おいしかったー! スフィアありがと」


僕は腹をさすりながらスフィアを褒める。スフィアは頬を赤くした。


「練習したからな、当然だ」


スフィアは照れ臭いのか、小声で言った。その様子を見ていたナルと咲が膨れる。


「料理なら私も……たぶんできるの」


「私だってそれなりには……」


二人はそう言ったところで沈黙する。それを勝ち誇るような顔でスフィアが見ていた。やれやれ、喧嘩はダメだと言ってるのに。


「三人とも喧嘩しちゃダメだよ。ちゃんと仲良くしなくちゃ……うぬ?」


 僕は殺気に気がついた。みんなも気づいたようで、急いで僕らは探索する。気配が十、こっちに向かってくる。かなりの速さ。隊列を組んだその動きは間違いなく人間だった。

 僕らはそれぞれ武器を構える。僕とナルが杖、咲が刀、スフィアが大剣だ。

 ガサガサと木の枝が揺れた。十の人影が僕らを取り囲むように地面に降りる。人影は黒ずくめの格好をしている。地球の特殊部隊が着るような装甲だ。どう見てもまともな連中じゃない……。


「ついに見つけたぞ! さあ無の精霊よ、我々と来るのだ!」


先頭の黒装甲の男が興奮したように叫んだ。さらにスフィアに向かって手を伸ばす。


「何をするんだ! 貴様ら何者だ!」


スフィアは黒装甲の手を払い退けると苛立ちをあらわにして言い放つ。黒装甲は後ろに下がったがスフィアに向かって殺気を放つ。


「興奮するな。我々はお前の価値の理解者だ。さあ来い、来るのだ!」


 黒装甲はスフィアの言葉に聞く耳をもたない。さらに強引にスフィアの手を掴みとる。くそ、見てられない


「やめろ! 離せ!」


僕は黒装甲たちの前に立ちはだかる。そして黒装甲の手を強くはたきつけた。よろけた黒装甲は後ろに下がる。


「白河……」


スフィアが潤んだ瞳で僕を見てくる。何だかとっても照れ臭いや……。


「スフィアは大切な友達だからね。あんな得体の知れない連中には渡さないよ」


「友達というのが気になるけど……ありがとう」


柄にもなく格好つけたことを言ってしまった。スフィアがさらに赤くなっていく。そこで黒装甲が馬鹿笑いを始めた。


「あはははぁ!笑わせてくれるなぁ。エナジーレベル10程度の一般人のくせに邪魔するつもりか?」


エナジーレベル? 強さを表すのだろうか。それにしても一般人か。一応それなりには僕も強くなったと思うのだけどね……。


「もちろん!」


僕は黒装甲を睨みつけて言い切る。それに続いて僕の後ろからも声がした。


「私たちも忘れるなよ!」


「スフィアは行かせない。彼女を倒すのは私だけだもの」


ナルと咲が力強く言う。そして、二人は魔力や気を高め始めた。僕も負けじと魔力を高める。膨大な魔力が全身を満たしていく。溢れんばかりの力が森の木々を揺らした。


「た、隊長! そいつらのエナジーレベルが急上昇していきます! 何てことだ信じられない! 12000を突破しました!」


腕時計のような物を見ていた黒装甲が悲鳴を上げた。ほかの黒装甲も後ろに向かって後ずさる。


「うろたえるな! ドクターソノラ様は無の精霊を待ち焦がれておられる。何がなんでも連れていくんだ! 行くぞ!」


こうして謎の集団と僕らの戦いの火蓋が切って落とされたのだった……。

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