表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/46

第二話 精霊さんあらわる!

タイトル通りの内容です。

第二話 精霊さんあらわる!


僕は怪奇現象に遭遇していた。目の前に女の人がいるのだが、僕以外には彼女が見えないようなのだ。


「あなたなんですか!」


僕はどうにか声を搾り出した。その声は恐怖で震えてしまっている。


「私は精霊だ。それにしてもお前、私が見えるのか?」


精霊? なんてファンタジーな存在だ。異世界に来たとはいえこんなに早く出会うとは。


「見えますよ。博士には見えないようですけど」


「やっぱり気のせいではなかったか。見える人間に会うのは久しぶりだ。うれしいぞ」


精霊さんは嬉しそうに笑った。僕も釣られて笑う。

ここで博士が僕の様子がおかしいことに気づいた。


「どうしたのだ? さてはその辺の笑い茸でも食べたか?」


精霊さんの見えない博士は不審者でも見るような目をした。


「いや、精霊さんと話しているんですよ。博士には見えないようですけどね」


博士は極限まで目を見開き僕を見つめた。


「なんだと……そんな興味深いものが……。見せろ、見せるんだ! わしの脳細胞が研究対象をよこせと叫んでおるぅ!」


博士は血走った目で僕を押し倒した。必死にもがくが博士の力は信じられないほど強い。

死ぬ! 死んでしまう!


「な、なあそちらの御仁は私が見たくて騒いでいるのか?」


「そうですよ! なんとかしてー!」


精霊さんは顎に手を当てて何やら考え始めた。早く、早くなんとかして! 意識がなくなりそうだ!


「仕方ないな、放置して置いたら殺されそうだし……」


精霊さんはぶつぶつとつぶやくとまばゆい光を放った。光が収まると博士は鼻息を荒くした。


「おお、素晴らしい! さすが異世界、精霊が実在するとはな!」


精霊さんが見えるようになったようだ。博士はさっそく恍惚とした顔をして精霊さんを見る。


「すまないが、もうそろそろ元に戻っていいか? 実体化は力を使うのだ」


しばらくして精霊さんは申し訳なさそうに博士に切り出した。

すでに機材を巾着から取り出して調べる気マンマンだった博士は顔を真っ青にする。


「そんな、あともう少しなんとかならんのか!」


博士に懇願された精霊さんは急に僕の方を向いた。


「君が私と契約してくれるならあるいは……」


そんなこといきなり言われても……。

困った僕は博士の方を見てアイコンタクトで助けを求める。


「契約するのだ。しなかったら人間核燃料として原子炉に入ってもらう」


博士はにこやかに言った。光線が出せそうな目をしていた。


「精霊さん! ぜひ契約しましょう!」


「そうかやってくれるか!」


精霊さんは指を噛んだ。赤い血が少しずつ出てくる。


「君も早く血をだすんだ」


痛いのは嫌だが命には代えられない。僕は指を噛み血を出した。


「私の血を吸ってくれ」


精霊さんの血を吸うと少し甘かった。僕が血を吸い終えると、精霊さんは僕の指を見つめる。指を差し出して欲しいようだ。僕が指を差し出すと、彼女は血をおいしそうに吸った。

この人、実は吸血鬼じゃないのか。


「あとは私に名前をつけてくれれば契約完了だ。良い名前を期待するぞ」


名前ねえ……。神話とか読まないから精霊の名前なんて知らないしなあ。どうしよう。期待を込めた目で見てくる彼女に変な名前つけたくないし。僕は脳内辞典を全力で探した。


「スフィアなんてどうだろう?」


スフィアというのはゲームの登場人物だ。僕の脳にある名前のストックなんてこんなものである。


「スフィアか。悪くないな。良いだろう、契約完了だ」


スフィアはほほえんだ。僕はホッとため息をつく。


「よしよし、上手くいったようだな。えらいぞ白河君」


博士は手をパチパチと叩いて僕とがっしり握手をした。


「さて、スフィア君だったかの。街までの行き方を知っておるか? わしらは街へ行きたいのだが」


「待って待って! 契約しましたけど副作用とかないんですか? すごく心配ですよ」


僕は心配だったので我慢できずに聞いた。スフィアは自信ありげに胸を張る。大きな胸が強調された。青少年には刺激的すぎる姿だ。


「副作用なんてとんでもない! 精霊との契約は人間にとっていいことばかりだぞ」


「例えばどんなことですか?」


「魔力が上がったり、身体能力が上がったりするな。あと精霊魔法を使えるようにもなるぞ」


やっぱりあったか魔法。どこまでもファンタジーなんだな。


「あと一番重要なのは……」


スフィアが僕にしな垂れかかって来た。大きな膨らみが当たり、僕は顔を赤くする。


「私が君のものになっちゃうことだぞ。これからはいつも私と一緒だな」


何ですと……。かわいらしくしかもサラリととんでもないことを言ったよこの精霊さん。


「スフィアが僕のものになるってどういうことなんだー! それにいつも一緒なんて……。ありえませーん!」


「ありえないってどういうことだ? 私はそんなに魅力ないのか?」


スフィアは涙目で僕を見つめる。その目つきはずるいぞ。


「そういう訳ではないですけど……。スフィアさんの方は良いんですか?」


「見える人間との契約は名誉なことだからな。私はまったく構わないぞ」


スフィアは僕に腕を絡ませて来た。さらに居心地良さそうに抱きついて来る。正直血圧が上がりすぎてやばいです。


「わしも良いぞ。研究対象が近くにいてくれるのはありがたい」


博士! 一応僕はあなたの助手って扱いなんですよ! 助手の危機を助けて下さいよ!


「さて決まったな。さっき街の場所を聞いたよな。もう日が暮れそうだ、続きは街についてからにしよう」


スフィアがその場を仕切って街へと歩き始めた。

僕と博士もすぐに後をついて行く。こうして僕らは街へと向かった。

作業がはかどることはかどること。こういう話は作者大好きです。

ぜひ感想よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ