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ワタクシ。Ritaであります!  作者: リノキ ユキガヒ
第五章「月月火水木金金?」
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 さて、戦利品を引っさげて私は自宅へと戻った。

 お行儀は悪いが、何重かにしたキッチンペーパーに購入したトンカツをのせ、あいうちに切った。


 勿論、普通の包丁で。


 ここで、ゴボウ剣とかサバイバルナイフとかを想像した方には申し訳ないが、私はコレクションと実用品をごちゃ混ぜにはしない主義だ。

 第一、後方支援の主計科だって調理には普通の包丁を使う。それだけ台所用品は洗練されているのだ。それをわざわざ別のもので代用しなくてもいいだろう。

 まぁ、便利そうなアウトドアグッツでそういう雰囲気を味わいたいなら別だが、残念ながら軍隊だって主計科が野外で炊事する時は普通の包丁だ。

 なので巷で売られているそのテのモノは正直、使い物になるかどうか怪しいものだ。

 で、それらを持って私はリビングへとおもむいた。


 因みにまな板はある。

 

 が、洗うのが面倒だからキッチンペーパーで代用したまで。

 まぁ、少々不作法だが、あのスーパーでお惣菜をいれる極端に薄くヘコヘコした容器のままに先ほど切ったトンカツを盛り、これまたお惣菜コーナーに併設されている袋入りの中濃ソースをトンカツにかけた。

 

 弾着イマ


 心の中でつぶやく。

 さてさて、飯盒で炊いたご飯はどうか?

 上蓋を開けた瞬間にご飯の甘い匂いがした。こちらも良く炊きあがっている。

 まさに至福の瞬間。

 銀シャリは何ものにも変えがたい。

 リビングのテーブルに置かれた飯盒とトンカツ。


 …。

 

 一瞬自分の仕事が何か見失う位に無骨な取り合わせ。

 ナントカばえとかあったもんじゃない。

 まぁそんな事はともかく私は朝メシ兼昼メシをかっこんだ。

 腹が膨れると眠くなる。

 私はソファーでウトウト始めてしまった。

 っと。さすがにそれはいけない。眠気覚ましに何かしなければ…。

 リビングから外を見る。実にいい天気。私的にいうなら絶好のフライト日和に艦砲日和。

 陽の高さ加減からして大体、昼過ぎだろうか?

 部屋に引きこもってネット閲覧にふけるには勿体ない青空だ。

 こういう日は…。

 私はテーブルの上にあるスマホを二台手に取ると再び玄関へと向かった。

 今度はサンダルではなく、スニーカーだ。そしてマンションに併設されている駐輪場から愛機を取り出した。

 ミヤタの銀輪。いわゆるママチャリ。これが私の普段の足だ。

 自宅であるマンションを背をにして勢いよく漕ぎだした。

 目的地は赤羽。目指すは環八。

 地元の人なら解るが、環八は昔。練馬で途切れていた。それでも板橋には一部区間はあったし、道路標識もあった。

 なのでその板橋にある一部の環八は「ニセ環八」と呼ばれていた過去がある。

 だが、長年の工事でその環八は繋がり(平成18年)その汚名は返上と相成った。

 まぁ、地元民である私からしたら最近の出来事だ。

 と、言うと私の歳がバレそうなので詳しい事は割愛させて頂く。

 ママチャリをこいで幾らもたたないうちに馬鹿でかい歩道橋と首都高五号線の高架に出くわす。

 ココは二股交差点といって一つの道路から二つの道路が別れている特殊な場所だ。それを覆い尽くす位に巨大な歩道橋。

 しかし、私が目指す方向ではこの大きな歩道橋は使わないのでその脇を通り過ぎる。

 だが、この歩道橋。自転車も乗り込める程デカイのだが、それなりの勾配を登らなければならない欠点もある。なかなか痛し痒しな代物だ。

 それを過ぎ、左手にゴルフの打ちっばなし練習場。

 そこまで行くと環八は目の前だ。


 環八の高架と首都高の高架が交差するところにボーリングのピンが目印の大型遊技場がある。

 それを横目に環八に接続する。幹線道路らしい広い道端。そこを私はチャリンコで悠々と走る。

 300メーターも進むと中山道に当たる。そこを横断して暫くすると北区だ。

 特長が無いのが特長と。言わんばかりの住宅街が続く。道路も広く交通量も少ない。緩いカーブがある位で、勾配もないので実に良いサイクリングロードだ。

 電車の高架を二回くぐると赤羽の駅前に通じる通りに当たる。

 そこからちょっと裏路地っぽいところに行けば私のお目当ての店はある。

 駅前商店街とは少し趣きの違うその路地は、小さい雑居ビルと飲食店、美容院なんかが建ち並ぶ。

 そこに異彩を放ちつつ存在するのが


「ミリタリーショップ・新天地」


 なんか名前だけ聞くと大阪あたりにありそうな感じだが、東京は北区赤羽にその店舗を構える。

 私はお店の目の前に自転車を止めて降りる。

 そして、とりあえず外見を眺めた。

 コンビニの半分もない広さの店構え。観音開きのガラス戸。

 ガラス戸にはベタベタと最新のツールやエアガンのポスターが張られている。

 表は有りがちなワゴンに大量のセール品が載せてある。

 そして、取りづらく見づらい壁にも商品は展示されており、それらをとりあえず眺めた。

 セール品が載せてあるワゴンにグッと身を寄せ、壁に吊るされている商品に近づく。こういう時背が高いと助かる。

 意外な事だが、この辺りのラインナップは案外変わらない。

 やたらデカくなるバックやどこに取り付けるやら(私には)解らないポーチの類だ。

「ま、こんなもんだろう」

 と、心の中で呟きながら入店した。

 ポスターだらけのガラス戸を開けると、早速なにやら話し声がボソボソ聞こえてくるがその内容はサッパリ解らない。

 まぁ、私自身その話の内容に興味がないのとエアガンなり、そのようなものに使う道具の名称やブランドが解らないからでもある。

 御世辞にも店舗は広いとは言えない。しかし、狭いながらも何とか多く品物を展示しようとかなり高いところまでラックが積み上げられてあり、その様相はさながらジャングルの密林の如くだ。

 幸いな事に私はその密林を掻き分ける必要は無い。

 なぜなら私が目当てにしている品物は、店内にある得体の知れない品物のワゴンセールだからだ。

 ぐるりと店内を見渡す。まぁ見通しは効かないが…。

 自分の琴線に触れる品物は無いのにとりあえずは見てしまう。一体何なのだろう。

 しかし、ここに来て毎度驚かされるものがある。

 それはやはり照準器の類だ。

 昔は高嶺の花だった光像式照準器が今や当たり前になりつつある。

 と、いうか正規の軍隊ではほぼ当たり前だろう。

 前項したが、もとは戦闘機の為に開発されたものだ。

 しかし、このようにさも当たり前のようにショーケースに陳列されているのを見ると、時代進化を感じざるを負えない。

 カネコさんなら

「んぁ。自動車にも使われている技術は素はといえば飛行機のモンだ」

 と、言うだろう。

 まぁ、ごもっともであり私もそう思う。

 で、改めてセール品が載せてあるワゴンをあさる。

 このワゴン。表のものとは比較にならない位に雑多に色々盛られている。

 例によって私にとってどこに付けるか解らないポーチの類やエアガンに使うと思われるパーツ、それとどさくさ紛れになぜかあるキャストモデルだ。

 そう。私のお目当てはこのなぜかあるキャストモデルだ。

 それを目当てに品物を漁る。指先にコツンと当たる重たい感触の箱が時折ある。

 それは大概がキャストモデルである事が多い。

 正に垂れていた釣り糸が獲物にかかるが如くその箱を掴んで品物の山から引きずり出す。

 ズボリと音を立てんばかりにそれを引き抜くと、商品の山は少し変形した。


「?」

 

 私は引き抜いたそれを見た。確かに飛行機の形はしているものの正直見覚えがあまりない…。

 まぁ、レシプロ戦闘機ではあるが…。

 日本の飛燕やドイツのメッサーシュミットに似たフォルムだが、何か違和感とは違う別の様なものを感じる。

 アニメとかに出てきたオリジナルか?

 箱の一部がモデルの形に切り取られていて、透明のプラスチックから中身は見えるようになっている。

 色々な角度からその箱を見てその正体を探る。不思議な事に日本語の表記が一切ない。一体全体どこからどういった流れでこの赤羽に来たのだろうか?

 その中に


『Yak』


 という単語を発見した。

「まさか!」

 私はその箱を目の前まで持って来て穴が空くほど見つめ続けた。すけて見えるところからもそのモデルを観察した。

 機体と主翼の『赤い』星印に確信を得た。

 間違いない!

 これは旧ソ連軍の戦闘機。ヤク1!!

 本能的に私はその箱を胸に抱いた。そしてなぜか周囲の様子を伺った。

 別に秘密警察やカーゲーベーの存在を気にしている訳でも無い。政治将校でもないぞ。諸君!

 私以外にこのワゴンの品物に興味のある人を確認しているだけだ。

 幸い、その気な感じな客は見当たらない。安堵の胸を撫で下ろす。そして値札を探した。

 箱の側面にそれはあった。気になるその価格は…。

 いや、値段の事については語るのをよそう。いささか無粋な気もする。

 そこから察してくれたまえ。

 

んぁ。意外と財布のヒモは硬い女なんだヨ。このネーちゃん。

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