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ワタクシ。Ritaであります!  作者: リノキ ユキガヒ
第五章「月月火水木金金?」
26/47

 本日はオフである。仕事は無い。が他に予定も無い。しかし、

 

 それが、なにか?


 私はベッドルームに降り注ぐ朝日で目が覚めた。

 そのまま、寝ぼけ眼でリビングに向かう。

 そしてソファーに腰を落とした。ボーっとする。

 ボリボリと後頭部を掻く。ついでにアクビを一発。

 まだ、意識はハッキリとしない。眼鏡をかけちゃいるが視界もハッキリとしない。

「風呂にするか」

 そう呟くとバスルームに向かった。昨晩半身浴の為入れていたお湯は既に水になっているので、追い焚きで温め直す。

 お風呂が沸くその間も私は脱衣所兼、ランドリーにボーっと突っ立っている。

「あ」

 私は何かを思い出したかのように書斎のような書庫のようなパソコンのある部屋へと向かった。

「折角のお休みだし、小難しい本は嫌ね」

 しかし、戦争関連会社の書物でそういった物以外は中々無い。

「ん~。これかな?」

 そう言って手に取ったのはコンビニで売っていた仮想戦記もののマンガ本だ。様々な作家が書き連ねているアンソロジーで、戦争漫画にありがちな哲学的な事はあまり書かれてない。どちらかと言えば何かホッとする内容。寸前のところで助かったとか、敵も同じ思いだったとかだ。

 肩のこる話ではない。

 で。ねまき兼普段着のスエットやらを脱ぐと私は湯船に浸かった。

「あ~」

 夜入る風呂とはまた違った感覚。残念だが私はマンション住まいなので、朝日を浴びながらの入浴ではないが、その夜の風呂とは違う感覚になにかしら贅沢な気分になる。

 暫く漫画を読みながら半身浴に興じる。例のごとく溢れる汗を私は、風呂桶から湯船のお湯をすくい上げ頭からかぶって簡単に流した。

 別段人に会う予定もないしこれでいいだろう。

 王侯貴族とまではいかないが、贅沢な気分になる朝ブロを終えると私は普段着のスエットで再びリビングに赴いた。

 ソファーに腰を落とす。

「ふぅ」

 起きた頃に比べると頭は幾分シャッキリしたが、朝ブロのせいで何かフワフワした感覚だ。

「あー。腹減った」

 出し抜けにそう声に出すと私はキッチンへと向かった。

 冷蔵庫を開ける。

 ものの見事にミネラルウォーターと調味料しかない。

「お……」

 我ながら酷い内容に絶句しながら今度は冷凍庫を開ける。

「ん…」

 こちらは何も無い。スッカラカン。

 我が部隊の糧秣は壊滅状態に瀕していた。

 さて、この伸びきった補給線をなんとかせねば。いや、補給線は切れていた。といった方が適切だろう。

「とりあえず、米位焚いとくか」

 幸い米はあるから炊く事にした。

 シンクにある飯盒を手に取る。

 軽量カップで一合分、テーブル下にある米の入っているビニール袋からすくい取る。

「一合あれば事足りるか…」

 一人呟き、飯盒の本体に米をぶっ込む、続いて水を200cc入れる。

 よく言う、ひと関節分などという曖昧な水加減を私は信じない。

 大体、男性と女性で指の長さは違うだろう。レシピと言うには大袈裟だが、キチンとした分量が判っているのであればそれに従えばいいことだ。

 ちなみに米は無洗米だ。

 ま、私はパーツモデルでもないので、手荒れにそこまで気を使う必要は無いが…。

 ただ単に研ぐのがめんどいだけだ。

 で、飯盒をガスレンジにくべる。

 火加減?そんなものは簡単だ。

 強火。吹きこぼれたら弱火で10分。そして2、30分蒸らす。ただそれだけ。

 炊飯器と対して変わらない時間で「銀シャリ」はできる。


 …。なぜ飯盒?


 答えは簡単。

 楽だからだ。これほど合理的食器はないだろう。

 炊いてそのまま食べられる。茶碗に盛る必要もない。

 炊飯器だの、土鍋など、茶碗だの、これらは使った後が非常に面倒だ。


 特に炊飯器。


 炊くだけ炊いて、メンテナンスは人間任せ。しかし、飯盒なら洗うだけでOKだ。

 ちなみに土鍋は万が一落とすと割れるし、置く場所も少々気を使う。

 しかし!飯盒なら乱暴に扱っても何も問題はない。

 私みたいなズボラな性格の人間にはもってこいな訳だ。

 別にミリタリーマニアだからでは断じてない!


 と、言っておこう。


 ご飯を蒸らす間に食材の買い出しに向かおう。

 私は髪の毛が乾いてるかどうか?手串で確かめた。

 ほんのりしっとりとしているが、まぁドライヤーをかけるほどでもないだろう。

 適当にブラッシングして黒の髪ゴムで後ろで一つに束ねた。

 白のブラウス、黄色のカーディガン、膝下まである地味なスカート、黒渕の眼鏡。そして足元はバッチリ。


 トイレで履くような靴底が木でできたサンダルだ。


 まぁ鼻緒ない下駄。と言った方が正確か?

 カラコロと踵を響かせながらマンションの廊下を歩く。

 そのいで立ちは昭和のドラマに出てくる事務員さんと、いったところか?

 私の住んでいるマンションは商業施設が併設されている。

 一階はコンビニや薬局など複数の店舗が入り、二階は居酒屋となっている。その二階の脇にマンションの入口はひっそりとある。

 が、私はその向かいにある大型のスーパーで食材は買うようにしている。

 運がよければ揚げたてのフライ類が手に入るからだ。炊き立てのご飯にコロッケ。

 これだけで十分だ。

 と、いう訳で献立は成り行きまかせである事が多々だ。

 昼前の平日。駅前であり私の自宅近辺。朝の通勤や通学の謙遜がはすっかり落ち着いている様子だ。

 夕方や、休日と違い人影はまばらで、その中を私はサンダル下駄の音高らかに、横断歩道で道路を横断する。

 そして大型のスーパーの入り口へと向かった。

 自動ではない左右両開きのドアをあける。そして風除室となっているのでもう一回、おなじドアを開ける。それでようやく入店だ。

 店内は御世辞にも賑わっているとはいえない状況だ。エンドレスで流れてくる店内放送がよく聞こえる。

 平日の昼前だからまぁこんなものだろう。

 私が今いるフロアは勿論一階で、ここは薬や季節商品、催し物系が多い。

 私はそのフロアを通り抜け一旦店を出た。

 このスーパー。大型なので本館、別館に建物が分れている。

 私の目指す食料品売り場は別館になる。

 本館と別館にある中庭を抜け、別館へと入った独特の匂いが鼻をつく。だがそれは不快なものではない。

 そして時折り聞こえてくる威勢のいい掛け声。

 生鮮食品売り場特有の雰囲気だ。

 そしてこの売り場は先ほどの売り場と違って賑わいをみせている。

 とは言ってもメチャメチャに混んでる訳でもない。視界に程よくお客がいる感じで、メインはやはり主婦っぽい方が多い。

 さて、ここらで一発女子力とやらを発揮したいが私にそんなものは皆無だ。

 いや、そもそも女子力とは何を基準にして測るものなのか?その基準たるや実に曖昧だ。

 なのでとりあえず、何も目的無しにフラフラと売り場を見て回る事から私の買物は始まる。

 ま、現状把握って事で。

 入り口を入って左手には山の様に菓子パンの類が什器に盛られている。

 その奥に壁にそって設置されている冷蔵庫型の陳列棚には乳製品とパックジュース。

 私が目指すものはその奥にある。そこにつく前に油の揚がる香ばしい香りが漂う。いわゆるお惣菜コーナー。

 さて、お昼に何を頂こう。

 黄金色に輝く揚げ物達。こういういかにもハイカロリーな食べ物は我々の業界的に御法度のような気もするが、たまの休日位ハメを外さなければ気分転換にはならない。

 と、いう訳でトレイに盛られたそれらを見ていく。

 ふむ。どれも美味しそうだが食指が伸びない。

 確かに腹は減っている。食欲もある。しかし今日は揚げ物の感じではない気がする。

 と、なると…。

 盛大に肉でも焼いて喰うか!

 う~ん。

 これもそんな気がしない。かといってここまで来てお茶漬けと、いう訳にもいくまい。

 さてさて…。


「トンカツが只今揚がりましたよ~」

 

 高らかに店内に響く店員さんの声。たまたまそこにいた私の目の前をカートに載せられたトンカツ達が通り過ぎる。

 シュワシュワパチパチとまだ油とパン粉が爆ぜる音がしている。正真正銘、揚げたてのトンカツは悪魔的な香りを放ちつつ、什器に陳列される。

 私の目つきがスナイパーの如く鋭くなったのはいうまでもないだろう。


 

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