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ワタクシ。Ritaであります!  作者: リノキ ユキガヒ
第四章「天気明朗なれど…」
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 実際、モデルなんて仕事はこのような地味な作業がほとんどなのだ。


 着ては脱ぐ


  この作業を通常の人の何倍かしているだけ。

 その中で「これは」と思われたものが誌面を飾る。

 大体の人がこの辺りをスッ飛ばして、ファッションショーなんかのイメージでモデルというものを見る。

 満天の星空の如く輝くフラッシュの中を闊歩する。ファッションモデル。

 大体、ファッションショーだってそこに至るまでどれだけの準備が必要な事か…。

 いや、だからと言って雑誌の仕事が楽な訳では無い。私がアパレルメーカーから拝借している衣装が大量生産であっても、自分が袖を通すまで気の遠くなる幾多の工程得て来ているのだ。

 ぞんざいに扱えようものか!

 私が着て誌面に出る事によって、ブランドに傷が付く事はあってはならないのだ!

 私達ファッションモデルがする誌面での着こなしは色々な人の命運を背負っている事を忘れないでもらいたい。

 それを踏まえた上でもファッションショーの準備に要する手数は雑誌の非では無いとだけは言っておこう。

 そもそもその日の為だけに作られる特別な衣装な訳だから、フッティングというよりかは、ほぼ、オーダーメイドに近い感じで色々煮詰めていく。

 予め用意できる代物ではないのだ。

 デザイナーさんによっては初期のデザインから関わる事さえある。

 それは私の意見を求めるというよりかは、いかにすれば自分のデザインする衣装が映えるかだ。

 このモデルなら赤いドレスが似合うだろうとか、このモデルなら多少奇抜なデザインでもいける、だろうとか兎に角ありとあらゆる制約があるなかで、デザイナーさんは可能性というタイトロープを己のセンスで探りながら渡る。

 本当にそれは「針の穴に糸を通す」ような作業であり、私流に言わせてもらえば


「ワラの山から針を一本探す」


 ようなもの。

 深海に潜む潜水艦を何とか探し当てるようなものと言えば理解してもらえるだろうか?

 いや、零戦の7.7ミリ機銃での精密射撃や、20ミリ機関砲の弾道修正を機械的なアシスト無しで成し遂げる、パイロットの神技とも言える技量にも通じるところもある。

 命中率90%という神がかり的な戦果を誇った九九艦爆のパイロットもそれに等しい。勿論、コンピュータなどのアシストはない。人間の経験と勘で成し遂げてるのだ。

 現在地を地図があってもカーナビやGPSなどの電子デバイス無しでは確認できない、現代人からすれば当時のパイロットの腕は奇跡に近い。

 そう、奇跡を意図的起こせるのがプロであり、

 ワラの山から云々と言うのは事この手の作業に関しては全てに通じると思って頂いてもらって構わない。

「己のみを信じて突き進む」

 しかもその手に持てる武器は「センス」のみ。

 それで経済戦争に殴り込みをかける。

 時にいわれ無きバッシングという名の集中砲火を受ける事もある。

 それはまるで戦艦が航空機相手に必死に抗う姿に似ている。

 栄えある英国海軍の戦艦・プリンスオブウェールズは荒鷲の如く襲い来る帝海の一式陸攻の雷撃に成す術なく撃沈された。

 3万6000トンという巨体に14インチ砲を十門積み、ポムポム砲という可愛らしい名前の割には毎分一万発の弾幕を形成できるえげつない対空機関砲。乗員は日本軍機などは恐れずに足らずと士気も旺盛であった。

 しかし、残酷にもそれらの装備も士気旺盛な乗員も、航空機に対する脅威には余りにも脆弱すぎた。

 十問ある14インチ砲は空を虚しく轟音でかき乱すだけで、毎分一万発の弾幕を形成できるポムポム砲は空に40ミリ機関砲弾をバラまいているだけとなった。

 時代という潮目を見誤るとあっという間に地獄の業火に焼かれてしまう。

 それはたとえ三万トンの巨体をもってしても防ぎきれるものではないのだ。

 どの世界においても勝負は非情だ。

 それは勿論、我々のいるファッション業界もだ。

 大艦巨砲主義に胡坐をかいていて時代の趨勢を見誤ればそこに待つのは敗北という名の死だ。

 それだけ厳しい。

 地味な作業とはいえ疎かには出来ないのだ。

 以上。

ポムポム砲。ポンポン砲ともいう。一万発の弾幕形成は多分、全力斉射ダナ

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