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とある二月の夜、午後七時。

「今日もつっかれた……ってほど、仕事してないか」

 シャッターを下ろして、本日終了。

 売上、一万円。はい、知ってた。

 でもさあ。調剤薬局でこれは、さすがにどうなの。

 親から継いだ薬局。このままじゃ潰れちゃうよ。

 在庫チェックして、ため息。

「……あー、やらかした」

 経口補水液の0S-I(ゼロエス アイ)。箱で残ってる。

 しかも期限、今月。今、冬だよ。誰が買うの、これ。

「おじいちゃんたちが買うからって、夏に入れすぎたんだよなあ……」

 完全に仕入れミス。マジで私、センスないよ。

 これ、もう売れない。はい、廃棄コースです。

 箱を抱えて、裏口に向かう。

 ——ドアを開けた瞬間。

「……は?」

 路地が消えてる。地面がコンクリートじゃない。土?

 とにかく、完全に知らない風景だ。

 っていうか、めちゃくちゃ明るい。

 昼? え、夜の7時だったよね?

 しかもやたら暑い。

「ちょっと待って、今、冬だよね?」

 じわっと汗が出る。

 いやこれ、普通に夏じゃん。白衣、脱ごうかな。

 そのとき。

 どさっ、って音が聞こえた。

 少し先で、男の人が倒れた。

「え、ちょっと!?」

 顔、真っ赤じゃん。汗びっしょり。

 ——これ、完全に脱水じゃないだろうか。

「ちょうどいいや……って言い方はアレだけど」

 私は箱から一本取り出して、キャップを開けた。

「飲める?」

 半分意識が飛んでるっぽいけど、無理やり口元に当てる。

 首を支えて、少しずつ、飲ませる。

 数秒後。

 男の喉が、ごくりと動いた。少しずつ飲ませて、ボトルが空になった。

 んーー、大丈夫かなぁ。ちょっと薬局の方に連れて行った方がいいっぽい?

 ——と思ったら。

 男が、普通に目を開けた。

 私の顔を見て、一言。

「……お前は誰だ?」

 いや、こっちのセリフなんだけど。

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