思い出したよ
昨日、期末テストが終わり皆がもう夏休みモードのまだクーラーの効いていない朝の教室にこいつの声はうるさいぐらいに響いた。
「恋がしてぇえええええええ!!
彼女が欲しい!!!」
「ユウうるさい…」
「なぁナル!夏の魔物っていると思うか!?」
「んー?…あー…どうだろ」
「んだよ!俺は真剣なのに!!
あー恋してぇよ!!!」
俺の名前は草野成司。"セイジ"なのに皆は俺の事を"ナル"と呼ぶ。
そしてこの馬鹿みたいに騒いでいるのは友達の永島優。とても愛されキャラで面白く優しいそして友達も多い。
高校からの友達で3年間クラスが一緒という腐れ縁だ。そして今は隣の席である。
「まーた永島変な事言ってんのかよ」
「馬鹿だねー」
クラスメイトも永島の馬鹿話に呆れ笑いである。
「馬鹿ってなんだ!!真剣に考えてるんだぞ!!」
「恋ってお前…高3だぞ受験があんだろ。」
「あー!受験なんかいらねぇ!恋がしたい!!夏だけでいいんだ!一週間でいいから!!」
「一週間って…」
もう返すのも面倒くさくなった俺は授業の準備に取り掛かった。
その間も騒いでいた永島はクラスメイトにうざ絡みを始めていた。
ーキーンコーンカーンコーンー
始業のベルが鳴る。
一限目は現代文だ。五分程遅れて先生が入ってきた。
現代文の溝端先生はスーツを着ているがいつも気だるげで教科書だけを片手で持って入ってくる。親しみやすいといえば親しみやすいが何を考えているかわからない。授業はとてもわかりやすい。
歳はまだ若そうだし、ちゃんとしたらイケメンと言う噂までたっている。
女子の基準というものはよくわからない。
そんなことを考えている間も授業が始まっているというのにユウはまだ騒いでいた。
「永島ー煩いぞー…後ろ立つかー」
教科書をめくりながら溝端先生が注意を入れる。
「なー先生は夏の魔物っていると思うー?つか彼女とかいんのー?」
「夏の魔物かー……俺はいないとは断言しない。彼女は内緒だ。」
「まーた中途半端な…
するとユウの声を遮って女子も男子も口々に騒ぎ出した。
「え!先生彼女いるの!?」
「密かに狙ってたのに彼女持ちとか聞いてない!!」
「まじかよ!先生に負けたし!」
「こんな気だるげ先生でも彼女いんのに俺は!!!」
「おまえよか全然顔も頭もいいだろ先生は」
「おい!!」
「はい。始めるぞー」
先生のその一言で教室は静かになった。
このクラスのいいところは切り替えがすぐにできるところだと思う。
「あ、永島ー」
「んー?」
「次騒いだら…な?」
先生の指は教室の後ろを指していた。
「はい。」
どっと笑いが起きたのは言うまでもない。
授業が淡々と進む中俺はふと昔の事を思い出し、ノートの端を破りその紙切れをユウの机に投げた。
するとユウは俺の方を見ながら凄い勢いで立ち上がり大きな声でこう叫んだ。
「だよなー!!!!」
勿論その後、後ろに立たされたのは言うまでもないがなぜかとても満足そうであった。
俺は紙切れに
《夏の魔物俺はいると思ってるよ》




