第八幕(閑話):学協連議事録
※「文書保存規定」に則り、保管等は厳重にし、部外者の閲覧には特に留意すること。本件記載の内容は全て特級機密事項である(機密区分A)。
〈 学校間協同連絡会・最高幹部会 〉
「第十八回臨時連絡会 議事録」(一部抜粋)
(1)日時・場所
時:聖暦2020年2月22日 午後4時
於:桜町高等学校生徒会室(Ⅱ棟4階)
及ビ各通信端末ヲ介シタ電子空間内
(2)出席者一覧
※伏セ字ハ機密事項ヲ表ス。
○本部
・議長:シロノ本会会長(桜町高校生徒会長)
・補佐:本会事務官A(桜町高等学校第二副会長)
・通信:本会事務官B(桜町高等学校会計長)
・書記:本会事務官C(桜町高等学校書記長)
○最高幹部会役員
・議員(第一支部):桃園高等学校生徒会長
・議員(第二支部):洛陽高等学校生徒会長
・議員(第三支部):塔南高等学校生徒副会長
・議員(第四支部):塔陵高等学校生徒会長
・議員(第五支部):聖カマエル学院高等部生徒会長
・議員(第六支部):東城高等学校生徒会書記長
・議員(第七支部):寂涙寺学園大江高等学校生徒会長
・議員(第八支部):天竜西高等学校生徒会長
・議員(第九支部):大宮高等学校生徒会長
・議員(第十支部):藤宮高等学校生徒副会長
・議員(グリム代表):●●●●
・議員(ソドム代表):○○○○
・議員(テトラ代表):▲▲▲▲
・議員(シャルル代表):△△△△
(3)審議題:「非行学徒集団ギメラ等による藤宮高等学校襲撃事案の経緯と今後の対応等について」
(4)議事内容
「――ではこれより、回線感度の確認等を行う」
「本部より各位、音声ノイズ等どうか」
『第一支部、感度よろし――』
『第二支部、感度よろし――』
『第三支部、感度よろし――』
~省略~
『第十支部、感度よろし――』
『ソドム代表、感度よろし――』
『テトラ代表、感度よろし――』
『シャルル代表、感度よろし――』
『………………――――』
「どうした、グリム」
『――――――』
「本部よりグリムへ。代表者は至急、我に応答されたし」
『…………こちらグリム代表、問題なし。今の件について、陳謝する』
「本部よりグリム代表へ。謝罪を受理する。以後、注意されよ」
「定刻を回っている。……では、第十八回臨時連絡会を開催する。
本日の審議題は次の通りである。
今朝がた配布したレジメにあるように、一昨日発生した〈ギメラ〉等による藤宮高等学校内無断侵入及び〈ドロル〉並びに〈シャルル〉に対する襲撃事件に伴う、監察区分引き上げ措置に関してである。
これについては、シャルル代表に詳細を報告させたい。その他の諸君は、別紙1〈監察対象:非行学徒等集団ギメラ及びその傘下に与する不良集団等 通称:ギメラ同盟に対する監察措置規定の一部引き上げについて〉(案)を適宜、参照されよ」
『承知。シャルル代表より、本会に詳細の報告を致します。別紙1の裏面をご覧下さい。時系列に沿ってご説明します。
当日1638時、我が情報部員より『ギメラ構成員の襲撃計画察知』との緊急連絡があり、その直後、本校西門付近で騒動が発生致しました。
我が精鋭の特別攻撃隊が駆けつけたのですが、奇しくも壊滅。
1645時、我が指揮の下、昇降口を最終防衛ラインと定め、我が直属及び合流した〈ドロル〉部隊が協同で戦線を展開したのですが、〈ギメラ〉の増援があり、守備部隊は壊滅。
1653時、全軍敗退。軽傷者二十九、重傷者六、うち〈特務隊員〉の損害は軽傷三名、重傷二名です。同時刻、最終防衛ラインは完全に寸断しました――』
『『『……………………』』』
「………………」
『『『……………………』』』
「………………」
『なっ何たる……、何たる失態か――』
『これで西下城地区のパワーバランスには確実に悪影響が出るぞ――』
『当初の計画では、〈撤退〉という表現が用いられていたはずだが――?まして〈敗退〉などと――』
『これは実働した第六特務隊だけの問題ではないぞ。関与した全要員の降格だッ、降格処分を提案する――!』
『〈ドロル〉はさておき〈シャルル〉が地に伏するとは……』
『貴君らの失敗が、延いては我らの計画全体を脅かしうる。何故それが分からないんだ――ッ!』
『……も、申し訳ございません…………』
「諸君、静粛に。発言はすべて議長の許諾を得てからこれを行うこと」
『『『……承知』』』
「よろしい。では次に、別紙1表面の事柄に先んじて、先ほど指摘がなされた、西下城地区における今後の対応等について検討したい。まずはじめに、グリム代表から原案を提示してもらう。
グリム代表者の、ただ今からの発言を許可する」
『承知。
……では各位、別紙2〈西下城地区における非行学徒等集団間の勢力圏闘争の概況〉をご覧じられよ。グリム代表として、本会には以下の4点を報告申し上げる。
その内容としては、第一に……――――』
~以下、部外秘~
※常任役員以上ノ者ニノミ「アクセス権」ヲ認メル。
※該当者以外ノ者デ閲覧ヲ希望スル場合ハ、3名以上ノ役員ノ推薦ヲ得ルベシ。
(5)付録
『学校間協同連絡会組織図』(概略)
○「最高幹部会」(定員15名)
※本会最高ノ議決機関デアル
各種委員会ヲ管掌スル
○「監察委員会」(内5名)
・監察隊10個隊(人員50名)
※主二諜報活動等ニ従事スル
○「特務委員会」(内5名)
・特務隊10個隊(人員50名)
※主二武力行為等ニ従事スル
○「総務委員会」(内5名)
・事務官5名(本年度)
(別添)
5.1 補則
※本会会長ハ、最高幹部会議長ヲ兼任スル。
※総務委員長ハ、本会会長ガコレヲ兼任スル。
※事務官ハ、総務委員会ノ諸業務ヲ補佐スル。
又、此ノ職ハ本会会長ガコレヲ任命デキル。
※最高幹部会役員ハ、必ズ何レカノ委員会二属スル。
5.2 本会ノ意義(目的)
本学協連(以下、本会ト称ス。)ハ、非行学徒等集団ノ「動向」ヲ調査シ、其ノ「主義」・「主張」及ビ「思想」ヲ監察シ、以テ学校内外二於ケル学徒等ノ学生生活等ガ平穏無事デアルヲ目指スベク組織サレタ、非公式且ツ私設ノ団体デアル。
※本会最高幹部会議員及ビ特別ノ許シヲ得タ本会職員ニノミ、本件記載内容ノ閲覧ヲ認ム。
※保管等管理者ヲ恫喝・脅迫シ、若シクハ保管場所等ヘ無断侵入シ、若シクハ保管等管理部署ノ職員用端末等ニ権限無ク侵入スル等シテ不正ニ此レヲ閲覧セシ者、其ノ如何ヲ問ワズ「処分」セラル。