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『左遷先が神域でした。』 ~地方公務員、淡路島へ。神話夫婦のやりなおしが、私の「業務」になりました~  作者: 梛良次郎衛門八房
第五章: よっしゃこれから忙しなるでぇ~って思ったら、要らんタイミングでチャチャ入れるヤツが来よってん。
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第97話: 石清水の戦い 第2幕! 『みんなで知ろう、八幡大菩薩!』② え、えーと……俺は新選組二番隊組長 永倉新八……えっ?知らねぇって?

「なんかおかしいと思ったぜ……おい総司、どうするよ?」

 俺が訊くと、青い金ぴかの鎧を着たチンドン屋みてぇな恰好をした総司が、肩をすくめて「もう知らねぇ」って風に両手を広げる。


「まー、女将さんがやれってんだからしょうがありませんよ。とにかくさっさとやっちまいましょう。お、敵さん、ケーブルカー乗り場と駅前のロータリーの二手に分かれたようですね。おいおい、アイツら駅員を押しのけていきなり周囲を封鎖しやがったよ。ずいぶん強引だなぁ。」


 時刻は夕方の5時、夏場の今じゃまだまだ明るい。よくこんな時間に来やがるな。敵さん、相当焦ってんだろうぜ。

 俺たちはケーブルカーの索道に待機していたが、敵がケーブルカー乗り場と駅前ロータリーに雪崩れ込んできたのを見ると、一気に飛び上がる。


 しかしコイツはなんとも便利だね!今まで飛ぶっていやぁ、要はジャンプしてたわけだが、それじゃあいったん跳び上がったらあとは落ちるしかねぇから、あんまり長距離は移動できねぇ。


 その点コイツは自由自在に空を飛べるから、思ったところに一気に移動できる。


「で、どうします、永倉さん。」


「そーだなぁー、お理沙さんからは、出来るだけ派手にやってくれって言われてるし、上空から一気に降り立って『八犬士参上!』みてぇなのはどうだい?」


「なんですそりゃ、南総里見八犬伝じゃねぇですか。まぁいいや、そんなノリでってことですね。そんじゃまぁ……」

 総司はそう言うと、凄まじいスピードで駅前に急降下し、敵の真っただ中に降り立つ!始まりやがったな!こっちもいくぜぇ!


 ◆


 俺はケーブルカー乗り場に、すんげぇ速度(亜音速っていうんだとよ)で急降下する。

 爆音と突風がとどろき、兵士たちが一斉にこっちを振り向きやがった!


「Freeze! Put your hands in the air!」

 なんだ?メリケンの兵隊が銃を構えてなんだか叫んでやがるぜ。知るかよ、日本語で言えっての。


 ダダダッ!!……

 あたりめぇだがそいつは俺に向かって撃ってきやがった、しかし……


「こいつぁいったい……」

 敵の銃弾は、俺の鎧……っていうかトカゲのうろこの手前一寸ほどのところで全部止まってる!?いってぇどういう理屈だよ!


『ガム新さん、聞こえでるべ?神鎧の具合さ、どげんだ?』

 おお、銀さんからの通信じゃねぇか。ちょうどいい、聞いとくか。


『ああそれだか?ガム新さんたち神兵ってのは、前にも言っだがも知んねが、物理的身体さ持ってるわげでね。あぐまで霊体の位相をいじって現実空間に干渉できるようにしてるってだけだべ。神鎧さ、そいつを応用しで斥力(せきりょく)場を形成してるべ。だがら敵の弾が届かねぇだ。みんなの背中に生えでる羽根も同じ原理で空飛ぶべさ。だがら敵の攻撃さ気にするこどねぇ。せいぜい派手に暴れでくんろ!』


 そーかい、じゃあいっちょやったるか!


「おいてめーら!そのオメー、こんな日もまだ落ちねぇってのにそんなんぶっぱなすんじゃねぇっての!危ねぇだろ、このトンチキが!」

 するってぇと、そのうちの一人がなんか言いやがる。


「オマエーはだれですか?ミンカンジンは出て行きなさい。これは命令ですダヨ。いうこと聞かないと撃つネ!」


 そういうと、兵隊どもはいっせいに俺の方に銃口を向ける。

 なんだこの馬鹿ども。誰に喧嘩売ってんだっての。


 まぁでも聞かれたからにゃ、教えてやらなきゃいけねぇ。


「おいテメーら!耳の穴かっぽじってよく聞きやがれ!俺は泣く子も黙るは新選組二番隊の組長・永倉新八!我武者羅(がむしゃら)新八たぁ俺のことだぁ!!」


 あ、なんだかヘラヘラ笑ってやがるな……まぁそうか、言葉通じねぇしな。


「What's with the Halloween costume, freak? Nobody cares about your 'Shinsengumi' crap. Go to hell!」

 あっ、やっぱり撃ってきやがった。


 しかし、四方八方から撃って来た弾丸は、さっきと同じように鱗の手前ぎりぎりのところでピタッと止まり、そのままカラカラと地面に落ちる。

 それをみて、奴らは驚いたように目を開いた。


「これでお仕舞かよ?じゃあ今度はこっちから行くぜ!神道無念流 五加五行 一の太刀(ウソだけどな)!!」

 俺はせいぜい格好をつけると、太刀を上段に構え精神を集中させる。


 すると、太刀から巨大な炎が吹きあがった!おおなんだコレ、6間(10m)くらいあんじゃねぇの?


「喰らえ!!幻炎剣!!」

 叫びながら、剣を横なぎに払ってその場で一回転する。巨大な炎の太刀が敵兵どもを襲うと、そいつらは一斉に倒れ、うめき声を上げながらジタバタしだした。


「Jesus! I'm on fire! Make it stop, please make it stop!」

「Fuck! My skin! It's melting! Get it off me! Ahhhhh!」


 なんだよ、ただの幻術じゃねぇか、何を大げさに言ってやがるんだアホが。だがそこで、


『永倉様、あんまり弱い者いじめっぽいことをしないでくださいませ。敵兵とはいえ、のたうち回って苦しんでいたのでは、子供向けの動画として教育上よろしくありません。それにさっきの名乗り、正義の味方っぽくありませんわ。もっとこうみんなの危機を救う的な演出が……あっ!そうですわ!敵の持っている毒ガス!あれを一気に永倉様の炎で焼き尽くして下さいな!』


『ダメだべ理沙さん!硫化水素は引火性だべ!ガム新さんの炎の剣で焼いちまったら爆発するべさ!』


 おっ、なんだい銀さん、そうなのかい?そりゃ無暗に切っちゃいけねぇな……って思ったが、そんときやたらテンションの高い声で霊子通信が……なんでぇもー、お美紗さんかよ!


『それいーじゃん!ねね、ガム新さん、その“りゅうかすいそ”だっけ?それさ、超能力で空たかーくに持ち上げてさ、その炎の剣でブァン!!って斬っちゃったらカッコよくね?ほら、よく映画とかであんじゃん!』


 なに言ってやんでぇ、この嬢ちゃんは。そんな器用なこと出来るかっての。

 だいたいその『ちょうのうりょく』ってなんでぇ?


「おいおい、お美紗さんよ。そーゆーケッタイなことは空海様とか小角様に言ってくれよ!俺がそんなことできるわけねぇだろ!!」


『えー?なんだよガム新さんノリ悪ぃーなぁー!さっき言ったじゃん、稲荷大神のブーストしたって!ちょっとやってみてよ、なんかこー、手でその毒ガスの入れ物をブァーって持ち上げる感じで!』


『美紗さん、ブァーっとかブァンとか、そんなオノマトペでは分かりませんわ。永倉様、いま美紗さんがいったのは、サイコキネシスとか念動力と云うものです。まぁ、皆様の時代の言い方なら、法力とか気合術とか言うのが適切かしら?ようは念じただけでモノが動くとか、火が点くとかそう言うものです。』


 あっ、それならなんか聞いたことあんな。総司とか歳さんがやってる天然理心流じゃあ、そういうんを大事にするって話だし。

 俺ら神道無念流の剣士はあんまりやらねぇが、何でも経験だ、一発やってみっか?


 そんな話をしてると、軍用のトラックみてぇなのから、機銃で撃ってきやがった!

 おいおい、なに考えてんだ!周りに民家もあるんだぞ!


「本当にとんでもねぇロクデナシどもだなぁ……」

 弾が(あとで聞いたら12.7㎜ってヤツらしい)、俺の鎧の前でカランカランと音を立てて落ちるのを見届けると、おれは一歩、二歩と、そのトラックに向かって歩を進める。


「ほー、アレかい?毒ガスってのはそのトラックの中にあんのかい?」

 俺が何事もなかったように近づくと、兵士たちはパニックを起こす。


「な!?なんだこいつは!重機関銃が効かないだって!?」

 お?こいつは日本人みてぇだな。ちょっと聞いてみっか。


「オメーよぉ、こんな物騒なモン(硫化水素ガス)持ち込んでどうするつもりでぇ?あと、さっきは民家があんのに機銃ぶっぱなしたろ?どういうこった?」

 が、そのヤローは俺が訊くと、こう抜かしやがった。


「な、何だ……この国の皇大神に逆らう者どもなど、生かしておく価値があるものか。だいたい……」

 悪ぃな。いしゃあの言うことなんざ聞いてらんねぇぜ……クソが。


 俺はそいつの首筋に手刀を叩き込み、トラックの外に放り出すと、毒ガスってのが詰まってる鉄製の入れもん(ガスボンベ)の方を向いた。

「こういう感じかね?……」


 トラックに手のひらを向けて握り、持ち上げるような仕草をすると、トラックがわずかに持ち上がる。

 今度は、両手でそれを持ち上げるような仕草をして見ると、トラック一台分が丸ごと宙に浮いた。


「はぁ~なるほど。何でもやってみるもんだな……おーい!美紗さんよぉ!その『ちょうのうりょく』とやら、使えそうだぜ!どう派手にしてほしい!?」


『はいはーい♪おっ!良い感じ持ち上げてるじゃん!!。じゃあさー……めっちゃ高い空の上まで持っていって、一撃で焼き尽くしてよ!!たぶんメッチャカッコいいから!!』


 はは、まあそうなるわな。俺は、それを目に見えない力で空高くまで引っ張り上げる。


 神鎧……俺にとってはドラゴンとか言うトカゲの鱗だが、その翼が翻して空を駆け上がっていく。


 次第に、大地は青くて丸い巨大なもの変わり、空は青みが深くなり夜の色に近くなる。


「これが地球……俺たちが生きる大地か……なんだか群青色の海に浮かんである泡みてぇだぜ……」

 俺が妙な感傷に浸ってると、お美紗さんから通信が入る。


「すご……そっちの映像、こっちでも見えてるよ!大気圏突破してんじゃん!」


「はは……そうみてぇだな……じゃあ、ここらで一発超ド派手なヤツをやってみっか!!


 俺が、十兵衛殿に教わった奥義、『剣禅一如(けんぜんいちにょ)』を修すると、太刀に纏わりついた炎が徐々に青く変化していく。


「行くか……五加の太刀!」

 そう叫んで太刀を上段に振りかぶると、剣の炎が天に伸びる柱のように伸びた!!


「邪悪なる企てを焼きつくせ!無念炎龍斬!!」

 その巨大な炎の柱がトラックを切り裂くと、そいつは瞬時に爆散し、破片が流星となって地上に降りそそぐ。


『すーごーい!バッチリ配信できてるよ!コメント欄お祭り騒ぎみたいになってるし!!』


 お祭り騒ぎって何だよ……まぁでも目立ってんなら良いこった。

 そんなことを考えながら地上に戻ると、メリケンの兵隊さんたちが腰を抜かしてへたり込んでやがった。

 そのうちの一人が叫ぶ。


「あ、悪魔!我らが御子の聖名において!……」


「オメー、自分たちが何のために、なにをしようとしてたか知ってっか?」

 俺が訊くと、そいつは首を捻りながら、


「お前たち悪魔と悪魔崇拝者を撃つためだ!」って叫びやがった。

 はぁ……どうしようもねぇ連中だ。だいたい全国にライブ配信されてんのによくそんなこと言うよなぁ。


「あのよぉ、この八幡宮の商店街のおっちゃんやおばちゃんが、オメーらになんかしたかい?」


「し、知るかそんなこと!とにかくアーロンさまがお前たち悪魔崇拝者を撃てと言ったのだ!」

 なんだこの野郎、自分でわけも分かってねぇのに人殺しするんか?

(永倉新八のボヤキ)

「やーどーも!皆の衆、見てくれたかい?

お理沙さんやお美紗さんの無茶振りにはどうにも参っちまうよなぁ!トラックごと宇宙まで行ってぶった切れなんてよぉ!


 ところでよぉ、全国のちびっ子たちに言っとくぜ!

 自分が気に入らねぇから相手を踏みつぶしていいとか、やれって言われたからやる、俺は何にも知りませんとかはねぇからな!

 そういうことをやってる奴は、いつか自分でケツ拭かなきゃなんねぇ、よく覚えときな!


 ……ところで、駅前のロータリーの方に行った総司の奴ぁどうなった?」


 ――ってなわけで、まぁ何とか良い感じにヒーロー感を出せたガム新さんでした!


 次回、いよいよ新選組一番隊組長、沖田総司の撃剣だぜ!

 ※「ガム新がこれやったら総司は何してくれるねん?」と思った方は、ぜひ下部の星マーク【☆☆☆☆☆】から評価をお願いいたします!皆さんの応援が、彼らの原動力になります!

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