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第43話: アレ君の料理が絶品でみんな仲良しになれたけど、お父ちゃんの謎発見?

料理を居間に持って行くと、いつのまにか兄ちゃんが帰って来てて、お母ちゃんも部屋から出てきてた。ほんで、なぜかおっちゃんと真魚さんとワインを飲んでいて、既にだいぶ出来上がってる。

「そうですか~、いやほんま、妹がお世話になって・・・アレでしょう?コイツ向こう意気ばっかり強うて、ご迷惑おかけしてませんか?」

ちょっと兄ちゃん、いらんこと言わんでええねん。

「いやいや!そんなことありませんよ!お嬢さんはねぇ、ほんまに誰にでも優しいてねぇ、ほんま私らも大助かりで。なぁ真魚・・・佐伯さん!」おっちゃん、真魚って言うてもうてるやん。


「え!?ええ・・・そうそう!夏菜子さんは・・・えーと、アレですね!チャレンジ精神があるというかなんというか、まま、見ず知らずの祖神を助けたり、それからえー・・・見ず知らずの女神を助け・・・モガモガ・・・」


「え?女神様?」兄ちゃんが一瞬「?」な顔をするので、太子のおっちゃんが慌てて真魚さんの口を手で塞ぐ。

「あ!ははは!いやその、たまたまセクハラ被害から助けた女子高生が大企業のお嬢さんやった、っていう事がね、あったもんで!」


「いやまぁ・・・僕としては、とっつも(ちっとも)家帰ってけえへんけど、コイツが元気にやっとって、皆さんみたいにエエ人らとお仕事さしてもらえてんのやったらいうことなくて・・・って、お!夏菜子、またエライすごい料理やないか!これお前が作ったんか!?」


(ちが)うちゃう、アレ君が一緒に作ってくれたんや!お礼言うといてや。」っていうと、とたんにお母ちゃんが反応した。


「あ、そや!夏菜子!アンタ婿はん連れて帰ってきたんやてな!美桜ちゃん(お義姉ちゃんのこと)が言うてたわ!ごっつい男前やて!アレやろ?外国の人なんやて?」

「ちゃうて・・・秋田出身で、いま洲本市役所におんねん!何がどないに伝わってんねん・・・意味わからんし・・・」


「もうそんなんええから連れてきぃな!みんなで一緒にご飯食べよ!すみませんねぇ~馬戸さん、佐伯さん、この子ほんま気ぃ利かへんで・・・」なんや!いっつもお父ちゃんがおらんで悲しい、とか、なんでウチを捨てたんや、とかピーピー言うてんのに、外面(そとづら)だけはええんやから!


「夏菜、どしたん?なんかプンプン丸じゃね?」台所に行くと、田島が声をかけたきた。

「なんでもない!オカンがわけわからんこと言うからちょっとイライラしとっただけやし!」せやけど、ウチがそういうと田島が淋しそうな顔をする。

「なに?どしたんな?」


「あ、ううん。ちょっとうらやましいなって思って・・・夏菜はママと仲良しで良いなって。お義姉さんもめっちゃ夏菜のこと大事にしてくれるし・・・」

「なに?アンタはちゃうんかいな?」んん?前に聞いた時は、お母さん、お父さんと普通に仲良しみたいな話やったけどな?まぁ、田島は一人っ子とは聞いてるけど。

「分かんないよ・・・あ、でもご飯食べに行かなきゃだね。待たしちゃってるし。アレ君も行こ・・・」


「いんや・・・行くけど・・・美紗さん、どげした?」アレ君が心配そうに田島の顔を覗き込むと、ぱっと顔を背ける。

「な!何でも無いよ!」


「夏菜子ちゃん、美紗ちゃん、アレ君~、もう用意はエエからアンタらもご飯食べや~。あとはウチがするから~」

お義姉ちゃんに声を掛けられて、ウチらは居間に行った。


居間に行くと、兄ちゃんとお母ちゃんがいきなり「おっ!」っていう。理由はもちろんアレ君や。

「いやっ!ほんまごっつぅ男前やないの・・・えぇほんまに・・・なぁ!えーとほんで、お名前なんて言いはんねやったっけ?金太郎さん?」

「お母ちゃん!それはサラリーマンの名前や!さっき夏菜子がいうとったやろ・・・えー、アレクサンダー大王みたいな・・・」


「あ、おら高橋・アレクセイ・銀次郎って言います。まんず急に来てしまってすまねす。ちょっと変わった料理かもしんねすども、母っちゃの地元の料理だすけ(※だから)。」一瞬、お母ちゃんの動きが停まった。


「え?え?外国語や・・・どうしよ?お母ちゃん英語は分からへんわ・・・」

「ちょ!オカン、どう聞いても英語ちゃうがな!アレや、東北の人やないかな?山形とか秋田とか。」

これには、アレ君が少しびっくりしてた。


「お兄さん・・・おらの言葉、わがるすか?」アレ君が聞き返すと、お兄ちゃんはニッコリ微笑んだ。

「最近、これから国産のワインをどないして売ってこう、みたいな話しで全国のワイン農家さんとzoom会議すんねんけど、山形の人もよう出てはるからね。それに・・・」


「日本中の人らと話しとったら、その方言がええなって思うねん。島根のワイナリーの人やったら『そげしてごしない』とか。みんな故郷を大事に思うてるんやなって感じがするんですよ。アレクセイさんのその方言、僕はかっこええと思うなぁ!」


「お兄さん・・・おら、そったらこと言われたん初めてだす・・・東京さいた時は、みんなにバカにされたもんだす・・・」

「ほっとき!そんな連中!まぁ・・・僕らがだいたいバリバリの河内弁やからね!秋田弁がおかしいんやったら、河内弁かておかしいわ!それよか早よ食べよう!あ、そっちのお嬢さんは・・・すんません、お名前なんやったっけ?」

兄ちゃんが田島の方に話をふると、田島は正座して指をそろえて畳に付け、あたまを下げる。


「お母様、お兄様、ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。夏菜子さんの職場の同僚で友人の、田島美紗と申します。また、今日は急に押しかけまして、重ねてお詫び申し上げます・・・」

流れるような言葉、指を畳について頭を下げる動きの綺麗さ・・・どう考えても何時もの田島と思われへん・・・お母ちゃんも、お兄ちゃんも、さっきとは違う意味でびっくりしてた。


「いやその、夏菜子・・・オレさっきママ(美桜お義姉ちゃんのこと)から、友達茶髪のヤンキーって聞いてビビッててんけど、まさかのスーパーお嬢様?」

「そ、そうやで夏菜子!こんなきれいなお嬢さん、ウチみたいなボロ屋に泊めてええんやろか?」


それで、お義姉ちゃんも、さっきと違う田島の雰囲気に戸惑ってる。「あ、あれ?さっきまでは可愛い元ヤンの女の子くらいの感じやった気が・・・」


「なぁ・・・夏菜子ちゃん、美紗ちゃんってこんな子やったかいな?・・・確かに、ちょっとええとこの子かなとは思うたけど・・・」真魚さんも困惑したような顔になってて、おっちゃんも頭を捻ってる。

「豊受姫の影響・・・にしても、いや、トヨウケ姐さんそんなキャラちゃうかったと思うけどな・・・??ま、アレや。細かいことは抜きにして飯にしようや!ほんでこれはなんや?」

おっちゃんが聞くと、アレ君がドヤ!って胸を張った。


「よぐ聞いでけれす! こっちのマリネみてぇなのは太刀魚のスグダイ、こっちはカゴカキダイのウハ―、まぁ魚の鍋だす! もともとロシア料理だども、ウチでは塩の代わりに『しょっつる』さ入れるんだす! 今日も入ってるす! あと、白ワインがいっぺぇあったすけ(※あったから)、それも入れたす!」


「な、なんやその無国籍料理・・・ちゅうか、アレ君なんでそんなハイテンションやねん・・・って!何じゃこりゃあ!」っておっちゃんが叫ぶ。

「お、おい太子・・・やなかった、馬戸さん・・・日も暮れてんのにそないに大きな声出してから・・・って、旨っ!めちゃ旨い!アレ坊なんやこれ!?」ってこれは真魚さん。


「え?そないに美味しいんかいな?ほなお母ちゃんも呼ばれよか・・・うっ!」スグダイをひと切れ口に入れたお母ちゃんが食べるなり口を押えた!

「どないしたんお母ちゃん!」ウチが駆け寄ると、お母ちゃんはキッとアレ君の方を向く!

「銀ちゃん!あんた彼女はおるんか!」えっ!?なに言うてんの、この人!?



アレ君の料理が大好評やったこともあり、晩御飯は大盛り上がりで、ウチの家族もおっちゃんや真魚さん、アレ君や田島とすっかり仲良しになった。

「へぇ~馬戸さんは、アレなんですね、全国の神社とお寺の相談役?そらまたエライさんやないですか!」っとこれはお兄ちゃんや。


「いえいえそんな、まぁいうたらライオンズクラブの理事ですわ。もうホンマねぇ、雑用ばっかりさせられて、いまも大きい神社のお嬢さんにセクハラした奴がおる、どないかして下さいとかねぇ・・・もうホンマそんな面倒ごとばっかり押し付けられて大変でんねん。」

うんまぁ、ギリ嘘ちゃうな。姫はバケモンを婿にしようと企んどる連中から逃げて来たんやから。


「へぇ~、そうなんですか・・・神社とかお寺さん言うんも大変なんやねぇ・・・あ、そない言うたら、お義父さんもなんやそんなこと言うてへんかった?」ってこれはお義姉ちゃんやけど・・・え?お父ちゃんそんなん言うてたっけ?ウチがそんなことを思ってると、真魚さんが身を乗り出した。


「すみません、その、お父さんが言うてたって?」真魚さんが聞くと、お母ちゃんが急に泣きそうな顔になる。さっきまで陽気に喋ってたのに。


「やめてぇやお母ちゃん・・・ホンマもう、ちょっとでもお父ちゃんの話が出ると、いっつも半泣きなんねん・・・」

「こら!夏菜子ちゃん!何言うてんのんなもう・・・お義母さんはずっとお義父さんのことが好きやねん!・・・ウチらが子供のころからそやったがな・・・」


「子供の頃?美桜さんは小さい時からのお付き合いなんですか」

「え?えぇ、ウチは春輔(お兄ちゃん)くんと、夏菜子ちゃんの幼馴染で、お義母さんにも良うしてもらって・・・お義父さんも優しくて・・・あ、でも時々急にどっか行っておらんときあったような・・・せいぜい半日とか長うて一日のことやったけど・・・」


「ウチの人、たまにそういうことあったんです・・・物置に入ってしばらくしたら、『なんぼ掃除しても追っつかへん』って言うてて・・・」お母ちゃんがいうと、おっちゃんの目つきが一瞬鋭くなる。


「掃除って・・・あれですか?葡萄畑の掃除で忙しいとか?」おっちゃんが聞くと、お母ちゃんは首を横に振る。

「いえそんな・・・確かに葡萄づくりは大変やけど、掃除っていうようなことはあんまり。別に家の掃除してくれるわけやなし、お父ちゃんは何を言うてるんやろうって思ってましたけど?」


すると、兄ちゃんが思い出したように手を叩いた。

「そない言うたら・・・親父、物置の中でなんか短剣みたいなん振ってたなぁ・・・両端に刃が付いた。それなんや、って聞いたら、『ホウキみたいなもんや』って。確か、まだ中にあったて思うたけど…」


ここで、おっちゃんと真魚さんが顔を見合わせる。

「お母さん、夜分にすみませんが、ちょっと物置の中を見せてもらえませんか?」


読んでくださってありがとうございます! 今回はアレ君の「男の料理」が大活躍。 何気にグローバルでビジネスマンのお兄ちゃんと、ダーリンが大好きなお母ちゃんの心もガッチリ掴んでしまいました。 ズーズー弁で、料理が上手くて、イケメン。これはモテますね(笑)。


そして田島にも異変が……。 急にお嬢様言葉になったのは?


しかし、楽しい食事の後に判明したお父ちゃんの秘密。 「掃除」=「魔を祓うこと」 「ホウキ」=「???」 日常会話の中に隠されていた真実が見えてきました。


次回、いよいよ夜の蔵へ。 そこで見つかる「お父ちゃんの遺したモノ」とは? 物語が大きく動きます。お楽しみに!

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