第39話: 四天王寺で重大会議や!・・・と思ったら、こわいお姉さんたちが出てきた!(色んな意味で)
「ちょっと田島、焼肉みたいなもんどこで食うたかて一緒やって。先月も焼肉と韓国料理ハシゴしてしばらく肉いらんとか言うてたやん!」
「ギクっ!そ、そーだったかな〜あーはは。あ、でもお好み焼きは食べたいかも…」
「アンタなぁ…石清水でも食べたし、しょっちゅうウチ来て食べてるやんか!」
「え〜、お店で焼いたやつ食べたいじゃん…本場だし…」
「あーまってまって」とここでおっちゃんが割り込んでくる。
「お好み焼きみたいなもん、家で作って食べるもんや。せやけど逆にアレやな?四天王寺の精進料理、なかなか食われへんで?」っていうと、田島は急に目をギラギラさせる!
「マジで!じゃあ食べる!わー…スゲー楽しみ!早く行こうよ!」
なんやねん田島…こないに食いしん坊やったかな?しかも、ギャル語にいつものキレがないし。どっか具合悪いんちゃうか?
「でさー、ウ…おじさん、精進料理ってどこに食べに行くの?あ!台湾素食のお店あるよ!ここ行こーよ!」
「ちょ、美紗ちゃん、何いうてんねん?緊急事態やっちゅうに。えー、とりあえず金堂やな。自分らも来てんか。」
金堂っていうんは、四天王寺のご本尊が置いてあるところらしいけど、中に入るとエライ感じのお坊さんがいっぱい並んでた!
「おーい!おーい!夏菜子さーん!」だれや?どこからかウチを呼ぶ声がする。振り返ると、金髪で青い目の美形男子!洲本市役所 DX推進課のアレ君・・・高橋・アレクセイ・銀次郎くんがおった!
アカン・・・なんべん見ても可愛い・・・ここに理沙ちゃんがおらんで良かった。おったらまた変なこと言うてたに違いない。っていうかアレ?田島どないした!
「あ・・・アレ君・・・アレ君!ダメッ!・・・」そう言うと、田島は顔を真っ赤にして金堂を飛び出していこうとする。ちょっと!エライお坊さんおるのに失礼やん!ウチはすぐ追いかけて、田島の手を掴んだ。
「どないしたんな、アンタ・・・アレ君のこと気に入ってるんは知ってるけど、そんな乙女キャラやった?顔真っ赤にして飛び出すとか・・・」
「べ・・・別にそんなんじゃないよ・・・でも・・・恥ずかしいじゃん・・・」
え~?肉食キャラで、なんなら自分からアレ君にアピールしてたのに?
「まぁ、別にええけど、太子のおっちゃんに呼ばれてんから入らんと…」田島を引っ張って金堂に入ると、アレ君がニコニコ顔でそばに来た。
「夏菜子さん、美紗さん!お疲れ様っす!石清水八幡宮だばえらい大変だったみてぇだども、大丈夫だが? LINEでしか連絡とれねくて、おら心配で心配で!」
アレ君はそういうと、ウチの手を両手でしっかり握った!?わっ!?それはちょっと…ウチが俯くと、アレ君は「しまった!わ、わんね! いげねことした!」といって手を引っ込める。
そこに、聞いたことのあるガハハ笑い…立派な袈裟を来たお坊さんやけど…
「あれっ!?真魚さんっ!?」
「おう!そやそや!弘法大師空海、略して真魚!わざわざ高野山から南海電車で来たったでぇ!…ところで、夏菜子ちゃん、そない真っ赤になるくらいやったら、早よ手ェつけなどこぞの女に取られてまうぞ〜!例えば美紗ちゃんとか!…あ、アレ?美紗ちゃんどないしてん?なんでずっと俯いとんねん?真っ先にアレ坊に抱きつきよると思たんに…」
勢いよく出てきた真魚さんやけど、田島の反応を見て怪訝な顔をする。
「ちょ、太子〜?美紗ちゃんどないしてん?お前、この子らに鶴橋の焼肉食わしてへんやろ?メッチャ元気ないやんけ?」
「おいおい、待てや、真魚よ!さっきまで焼肉くわせろ、お好み焼き食わせろ、精進料理うまいんやったらエエ、いうて大変やったわ!…ま、今はそれどこや無い…えーと、あいつら来とるやんな?」
おっちゃんがそういうと、最前列に並んだ二人のお坊さんが立ち上がる・・・っていうか、よく見ると、豪華な袈裟を着た偉いお坊さん……やなくて、優しそうな感じの尼さんと、深いワインレッドの胸元と背中が大胆に開いたワンピースを着た美人さんが・・・って!あれ良えの!?スカートのスリットから太もも見えてもうてるやん!!
「か、夏菜子さん、あれだばヤバくねが? おら恥ずかしくて見てらんにぇ……あ? 美紗さん? なした? 顔真っ赤だども? 腹さ痛てぇのが?」
ウチとアレ君が振り向くと、田島が耳まで真っ赤にして、俯いて震えてる。いやまぁ・・・ウチもびっくりしてるけど、ちょっと純情すぎひん?そんなキャラやったかなぁ・・・?
「ちょっと!おっちゃん!あの尼さんはええとして、あの激エロの女の人誰なん!?ていうか、あの人お寺の中に入ってええの!?」
「え?あれ?・・・親鸞と一休は?っていうかなんでアンタらきてんの?真魚、なんか知ってるけ?」
ウチが聞くと、おっちゃんも知らんらしく、隣の真魚さんに尋ねる。
「いや?・・・オレ、アイツら呼んだで・・・えーと・・・」
「っていうが、まんず紹介してけれ。さすがにわげわがんね……」アレ君が言うと、真魚さんはコホンと咳払いして二人を紹介してくれた。
「えーとな、先ずこっちのすんごい優しそ~な尼さんは、南無阿弥陀仏で有名な親鸞の嫁はんで、恵信尼はんや。」
「恵信尼です・・・あなたが太子さまのご縁者の方かしら?」
「あ、そうです。小路夏菜子っていいます。こっちは田島美紗、ウチの同僚で友達で、こっちは高橋アレクセイ銀次郎くんっていって、今は真魚さんと一緒に高野山にいて・・・」そういうと、尼さんはにっこり微笑みはった。うわ~めっちゃ優しそう・・・
「夫が良く言ってます・・・生前、太子様がお眠りになる叡福寺に行けたことは、自分にとって救いの道を見出す旅だったと・・・その叡福寺に所縁のお嬢さんに会えるのも仏の導きね・・・」
「いえ、そんな・・・ウチなんて・・・」やばい、優しすぎて涙がでそう。
「あー・・・恵信尼はん、ワシの娘に優しいんは嬉しいんやけど、親鸞どないしたんやろ?まさかアイツがワシとの約束ぶっちはせぇへんと思うんやけど・・・一休ならともかく・・・」そういうと、恵信尼さんとエロい女性がフフッと笑う。
「ええ、うちの夫は太子様を蔑ろになんてしません。ですがどうも、わたしが言った方がいいのでは?と・・・阿弥陀仏のお導きがあったとか・・・」恵信尼さんがそういうと、おっちゃんは真剣な顔になった・・・
「なんやと・・・そうか・・・うん、ほなそういうこっちゃろ。ほんでこっちが・・・」そう言いながら、おっちゃんがエロい女の人の方を向くと、その人は唇に指をあてて、ウィンクした・・・
「太子様、そんなに言い難そうになさらないで下さいましな・・・森女・・・破戒僧、一休宗純はご存じ?彼の愛人です・・・」
え!?愛人!?田島とアレ君が目をいっぱいに開いて固まる!たぶんウチも固まってた!
「ちょ・・・森女はん・・・そういう言い方はせんかて・・・嫁はんでええやろ。」太子のおっちゃんがオロオロしていると、森女って名乗った女の人は、お色気たっぷりに笑った。
「どうして?わたしはあの人と夫婦になったわけじゃないし、子どもだっていませんわ。それにあの人は、男としてわたしを愛し抜いたんですもの。その方が相応しくなくて?」
「い、いや・・・アンタがそう言うんやったらええけど・・・ほんで、アイツはどないしたんかなぁ・・・なんとなく分からんでもないけど・・・」おっちゃんが恐る恐る聞くと、森女さんはまたしても!エロく微笑む!
「もちろん、理由は簡単ですわ。『ワシには分からんから、オマエが行ってくれ』ですって!まぁでも確かに・・・」森女さんは、ウチと田島を見ると、またおっちゃんの方を向いた。
「わたしたちで正解のようですね。恵信尼様、そうは思いませんこと?」森女さんが聞くと、恵信尼さんもニッコリ笑う。
「そうですね、私も森女様と同意見です。太子様、弘法大師様、詳しくお話をお聞かせくださいませんこと?」
◆
「と、まぁこういうわけや・・・」太子のおっちゃんが、淡路島に姫が逃げてきてウチらと出会ったこと、西宮でヒルコ様と話した「堕天」の話、石清水八幡宮での戦いのことを話すと、金堂に集まったお坊さんたちがザワザワってなった。
一人の、オレンジ色の袈裟を着た、たぶん東南アジア人のお坊さんが「太子様、それはアマテラス様が、この日本の宗主でなくなるということでしょうか?太陽神としての義務を捨てると?」
でも、恵信尼さんはニッコリ笑って、首を横に振る。
「たしかに・・・これは私たちが来て正解だった様ですね・・・まぁ、ミャンマーから来た貴方がそんな風に思うなんて・・・ねぇ、森女さん?」恵信尼さんがいうと、森女さんもフフッて、色っぽく笑う。
「ほんとに・・・ねぇあなた、義務を捨てるなんて、嫌な言い方・・・わたしは、おなじ女としてアマテラス様がイヤイヤそんなお役目をやってるくらいなら、好きな男と駆け落ちでもなんでもすれば良いと思ってるわ・・・ね?そうでしょう?そこの金髪のお嬢さん。」
森女さんが、田島の方を向いてそういうと、田島がビクッてなった。なんで?
「い、いやいや!恵信尼はん、森女はん!駆け落ちてアンタ!・・・そもそも、人間どもは、姫に訳の分からんバケモンを当てがおうとしとるんやで!先ずそれをどないかして・・・なぁ、真魚!」でも、話を振られた真魚さんの方も、なんかオタオタしてる。
「いや・・・まぁその・・・ホラ、とりあえず、そのバケモンとかねぇ、人間のよう分からん兵器をどないかせなアカンし、そのためにアレ君も頑張ってくれてるしね。やっぱり鎌足はんとかも説得してね・・・神と仏で一致団結してね・・・」
んー、真魚さん、今までの切れが全然ない!
「まぁ・・・ほんとダメな男たち…太子様、弘法大師様、・・・何を仰ってますの?しっかりなさって下さいな・・・ねぇ、夏菜子さんって言ったわね?あなた、太子様と橿原神宮や談山神社に行くんですってね?それで、何をどうするつもり?」
え?森女さん、それって?…ウチ、そんなん考えてへんかったけど・・・
お読みいただきありがとうございます! 今回は「四天王寺編」の前半戦でした。
久しぶりにアレク君と対面した田島美紗……あれ?いつもの肉食系ギャルはどこへ?
そしてアレ君、「見た目は北欧の王子様、中身は秋田弁の自称田舎もんの自虐男子」というギャップ、久しぶりですね!
さて、後半からは、強烈な女性陣(恵信尼様&森女様)が参戦! オッサンたち(太子、空海)はタジタジです!「男たちの理屈(政治・義務)」に対して、「女たちの本音(愛・感情)」が切り込んでいく展開になってきました。 森女さんの「駆け落ちすればいい」という提案、極論ですが核心を突いていますね。
次回、覚悟を問われる夏菜子たち。 物語はここから「日本のルーツ」へと深く潜っていきます。
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