Ep.12 隠された暗号
はじめまして。読んでくださってありがとうございます!
Cicada 3301はインターネット上で最大の実在するミステリーです!
こちらを題材にしてできるだけ史実通りの出題を交えつつ、フィクションを交えつつ、書いていきます!
信じるか信じないかは、あなた次第です。
星評価、ブクマで応援してくれたら嬉しいです。
よろしくお願いします!
2012年2月2日、午後9時14分。
「……ずいぶん増えたなあ」
僕はモニターに並んだ写真を眺めながら、シャープペンシルを回していた。
ワルシャワ、シアトル、パリ、ソウル。いずれもCicada 3301のポスターが発見された都市で、この数週間、僕たちが調べていた場所だ。
机の上には印刷した資料が積み重なっていた。先月までは暗号の解読メモばかりだったのに、最近は建築図面や測量記録まで混ざっている。
高校生の机としては、だいぶおかしなことになってきた。
僕はシアトルのフォルダを開いた。
こちらで問題になっているのは、建物の外壁に取り付けられた非常階段の位置。
パリでは、同じ通りを描いた案内図に異なる建物番号が記載されていた。
ソウルでも同様。
「……うーん」
どれも、それなりに説明はつきそうだった。
建物が改修された。撮影年が間違っていた。地図が更新されていなかった。古い書類に記載ミスがあった。
珍しいことではない。
ただ、これらの報告がCicadaのポスターの周辺に集まっているのは気になった。
僕はチャットルームを開いた。
NIL:Ewa, how many locations have we checked so far?
――エヴァ、これまで何か所調べた?
EWA_N:Eleven. We have usable historical material for seven.
――11か所よ。過去の資料と比較できたのは7か所。
NIL:And discrepancies?
――不一致が見つかったのは?
EWA_N:Four, including the uncertain cases.
――はっきりしないものも含めれば4か所。
「7か所中、4か所か……」
NIL:We're only looking where someone already found something strange. We need control locations.
――今は誰かが異常を見つけた場所ばかり調べてる。比較対象になる場所が必要だよ。
WALKER:Agreed. Otherwise we're selecting the evidence that supports our suspicion.
――同感だ。そうしないと、自分たちの疑いに都合のいい証拠だけを集めることになる。
NIL:Let's have someone choose random nearby locations without looking at the photographs first.
――先に写真を見ないで、近くの場所を無作為に選んでもらおう。
すると、見慣れない名前から返信が届いた。
SAMIR:I can help with that.
――それなら手伝えるよ。
「……誰だ?」
EWA_N:NIL, this is Samir Rahman. He works with geographic data.
――NIL、サミール・ラフマンよ。地理情報を扱っている人なの。
エヴァの紹介によると、サミールはバングラデシュ出身の30歳の技術者らしい。地図や衛星画像、測量記録を扱う仕事をしていて、以前からCicadaが公開した座標を調べていたという。
なるほど。今回の調査には、ぴったりの人だ。
NIL:Nice to meet you, Samir.
――初めまして、サミール。
SAMIR:Likewise. Alex says you're the one who spotted the Warsaw problem.
――こちらこそ。ワルシャワの問題に気づいたのは君だって、アレックスから聞いたよ。
NIL:Ewa found the photographs. I just compared them.
――写真を見つけたのはエヴァだよ。僕は比較しただけ。
SAMIR:And apparently you've been keeping everyone busy ever since.
――そのおかげで、みんな忙しくなったみたいだけどね。
「……それは否定できないな」
思わず笑ってしまった。
サミールは早速、比較に使う地点の選び方を提案してくれた。
僕は一覧表に必要な項目を追加し、集まったデータから重複する資料を除くためのプログラムを作った。
✳︎ ✳︎ ✳︎
2012年2月3日、午前10時52分。
東京都立白峰高等学校、1年C組。
「それじゃあ、次の班。前へ出てくれ」
今日は班活動の発表日だった。僕たちの班が調べたのは、災害時に情報がどう伝わるかというテーマだ。
「相沢くん、大丈夫?」
隣にいた桐生さんが声をかけてきた。
「……たぶん」
「緊張してる?」
「かなり」
「あはは。じゃあ、数字の説明だけお願いね。ほかは私たちが話すから」
「……うん。ありがとう」
僕は資料を持って立ち上がった。
人前で話すのは苦手だ。
ネットでは海外の研究者と普通に議論しているくせに、教室の前に立つだけで、どうしてこんなに緊張するのだろう。文字なら何度でも書き直せるのに、口から出た言葉はそうもいかない。
発表は桐生さんから始まった。
災害が起きた直後は情報が不足していること。報道機関によって発表内容が違う場合があること。それが必ずしも誤報を意味するわけではないこと。
続いて本田さんが、新聞記事を比較した結果を説明した。
そして、僕の番が来た。
「……えっと、同じ災害について報道していても、数字が違う場合があります」
声が少し上ずった。
僕は手元の原稿を見た。言うことは決まっているはずなのに、次の文章がなかなか出てこない。
すると、桐生さんが資料の表を指さした。
「相沢くん、ここの比較だよね?」
「あっ、うん」
僕は表に目を向けた。
そこには、災害発生から6時間後の報告と、24時間後の報告が並んでいる。
こういう話なら、説明できる。
「例えば、こちらは発生から6時間後の数字です。でも、こっちは24時間後なので、確認できている情報の量が違います」
僕は表の該当箇所を指した。
「つまり、数字だけを比べて片方が間違っていると判断することはできません。いつ、誰が、何を集計したのか、そこまで確認する必要があります」
先生が頷いた。
「いい説明だな。数字の比較では重要なことだ」
「……ありがとうございます」
何とか言えた。
そのあとは桐生さんが発表を締めくくり、僕たちは席へ戻った。
途中で早瀬が親指を立ててきたので、僕も軽く手を上げて返した。
授業が終わると、班の4人で資料を片づけた。
「相沢くん、お疲れ!」
桐生さんが声をかけてくれた。
「……お疲れさま」
「最初、めっちゃ緊張してたね」
「うん。途中で何話すか飛んだ」
「でも、数字の説明になったら普通に話せてたよ」
本田さんも頷いた。
「私、あそこが一番分かりやすかったと思う」
「……ほんと?」
「うん。最初の声はちっちゃかったけど」
「それは忘れてほしい……」
✳︎ ✳︎ ✳︎
2012年2月4日、午後5時46分。
「……おお、すごい」
僕はサミールが送ってきた一覧表を開き、思わず声を漏らした。
調査地点の座標、使用した写真の撮影年、資料の出典、測量基準。そして、不一致が確認されたかどうか。
必要な情報がきれいに整理されている。
しかも、資料が足りず比較できなかった場所も、きちんと別に記録されていた。
「……仕事が丁寧だなあ」
僕もデータを整理するのは嫌いじゃないけど、こういう作業には経験が出る。特に、異なる時代の地図を比較するには、測量方法の違いにも注意しなければならないらしい。
しばらくして、チャットにサミールの報告が届いた。
SAMIR:I have some preliminary results. They're not conclusive, but the poster locations look unusual.
――暫定的な結果が出た。結論には早いけど、ポスターがあった場所は少し変わって見える。
一覧表の集計欄には、通常の改修や地図更新だけでは説明しにくい不一致が、ポスターの周辺で多く見つかっていることが示されていた。
SAMIR:We need more samples. And someone independent should repeat the comparison.
――もっと調査地点が必要だし、別の人にも同じ比較をしてもらうべきだ。
NIL:Good work. Let's keep the anomaly data separate from the Cicada hypothesis for now.
――いい仕事だね。ひとまず、不一致の記録とCicadaに関する仮説は分けて扱おう。
WALKER:Very sensible. You're becoming responsible, NIL.
――賢明だな。君も責任感が出てきたじゃないか、NIL。
NIL:I've always been responsible.
――僕は昔から責任感あるよ。
WALKER:You once sent me a duck instead of an answer.
――あれから頻繁に個人チャットにアヒルの画像を送ってきた男が何を言う。
NIL:That was educational.
――あれは教育的な行為だったんだ。
チャットに笑いの記号が並んだ。
僕が一覧表を確認していると、エヴァからメッセージが届いた。
EWA_N:I invited someone who might be useful. She's in Chile.
――役に立ってくれそうな人を招待したわ。チリにいる人よ。
「……チリ?」
南米だ。今度もまあずいぶんと遠いところから新しい参加者が来るらしい。
間もなく、チャットの参加者一覧に《SOFIA_A》という名前が加わった。
SOFIA_A:Hello, everyone. I'm Sofia Alvarez. Ewa told me you're investigating discrepancies in old records.
――みんな、こんにちは。ソフィア・アルバレスです。古い記録の食い違いを調べているって、エヴァから聞きました。
エヴァが簡単に紹介してくれた。
ソフィアは28歳で、チリの災害調査や観測記録の分析に携わっている女性だという。古い地形図と現在の測量データを比較する仕事をしているらしい。
これまた、今回の調査には頼もしい専門家だった。
NIL:Nice to meet you. I'm NIL.
――初めまして。NILです。
SOFIA_A:Nice to meet you too. I've heard you're an extraordinary codebreaker.
――こちらこそ。あなたはとんでもない暗号解読者だって聞いているわ。
「……おっ」
そんな紹介をしてもらっていたらしい。
ちょっと嬉しい。
NIL:I hope they didn't exaggerate too much.
――あんまり大げさに紹介されてなければいいけど。
WALKER:We may have exaggerated his manners. Not his skills.
――礼儀正しさについては少し盛ったかもしれないが、腕前については盛っていないぞ。
「おい、アレックス」
そこは褒めるだけでよかったのではないだろうか。
ソフィアから笑いの記号が届いた。
そのあと彼女は、サミールの一覧表を確認しながら、いくつか質問を始めた。
地図に使われている座標系は何か。古い測量記録と現在の記録をどう比較しているのか。撮影年が不明な写真は、どのように扱っているのか。
サミールはそれぞれの項目について、使用した資料と判断基準を説明していく。
2人のやり取りを見ているだけでも勉強になった。
SOFIA_A:Sorry, my brother keeps asking when I'm going to have dinner.
――ごめんなさい。弟がいつ夕飯を食べるのか、ずっと聞いてくるの。
SOFIA_A:His name is Mateo. He thinks I spend too much time looking at maps.
――マテオっていうの。私が地図ばかり見ているって呆れてるわ。
「……ああ、分かる」
思わず笑ってしまった。
僕の場合は地図じゃなくてパソコンだけど、姉ちゃんからよく似たことを言われている。
NIL:My sister says the same thing about me and my computer.
――僕も姉ちゃんにパソコンばっかり見てるって言われるよ。
SOFIA_A:Then you understand my situation.
――じゃあ、気持ちは分かってくれるわね。
NIL:Completely.
――完全にね。
そう返信したところで、廊下から声がした。
「透ー! ご飯だって!」
……タイミングがよすぎる。
NIL:Actually, my sister is calling me for dinner right now.
――というか、ちょうど今、姉ちゃんに夕飯で呼ばれたところ。
SOFIA_A:See? We're not alone.
――ほらね。私たちだけじゃないってことよ。
「透ー! 聞こえてるー?」
「今行くー!」
僕は慌てて返事をした。
どうやら、南米でも日本でも、調べ物に夢中になって家族を待たせると怒られるらしい。
その点については、国際的な共通認識が得られたようだった。
✳︎ ✳︎ ✳︎
2012年2月7日、午後10時23分。
「……っぱ、ここだよなあ」
僕はサミールたちが更新した一覧表を見ながら、ノートに図を描いていた。
調査地点が増えたことで、少しずつ分かってきたことがある。
問題になっているのは、単に古い建物と新しい建物の形が違うことではなかった。
年代の異なる資料の中に、2種類の状態が混在しているのだ。
もちろん、複数回の改修が行われた可能性はある。
でも、僕にはそれ以上に気になっていることがあった。
「……あれ?」
ワルシャワの資料を開き直した。
窓が3つの建物が写っている写真では、隣の通路も狭くなっている。窓が4つの写真では、通路が少し広い。
以前から分かっていたことだけど、ほかの都市の資料と並べると、別の見方ができそうだった。
シアトルでも、非常階段の位置が違う写真では、隣の建物との距離が少し変わっている。
「……そういうこと?」
僕は資料を年代順に並べるのをやめ、建物や道路の形状で分類してみた。
まずワルシャワ。
窓が3つの写真をまとめる。すると、通路が狭い状態の資料が同じグループに集まった。
次に窓が4つの写真。こちらは、通路が広い状態と対応している。
2つの都市計画文書も、それぞれのグループに分けられた。
「……なるほど」
シアトルでも同じ方法を試す。
非常階段の位置で写真を分けると、隣の建物との距離にも一定の傾向が見えた。
僕はノートに2つの図を描いた。
窓が3つの建物と、狭い通路。
窓が4つの建物と、広い通路。
どちらも、それぞれ建物の配置としてはおかしくない。
「……ああ、そうか」
今まで僕たちは、窓の数や通路の幅を別々の食い違いとして扱っていた。
でも、この結果を見る限り、そうではないのかもしれない。
建物の形が違うとき、その周囲も決まった形になっている。
つまり、資料全体が2つのまとまりに分かれているのだ。
「……まるで、2つの街があるみたいじゃん」
僕はすぐチャットルームを開いた。
NIL:Everyone, I think we're comparing these records the wrong way.
――みんな、資料の比較方法を間違えている気がする。
WALKER:What do you mean?
――どういうことだ?
NIL:Don't arrange them by date. Group them by the physical layout they describe.
――年代順じゃなくて、記録に描かれている配置ごとに分類してみて。
僕は作成した比較画像と一覧表を送った。
しばらくの間、チャットに返信はなかった。みんな資料を確認しているのだろう。
数分後、エヴァからメッセージが届いた。
EWA_N:The differences do seem to cluster.
――確かに、違いがまとまっているように見えるわ。
WALKER:Two internally consistent sets of records. That's interesting.
――それぞれの内部では整合している2組の記録か。興味深いな。
NIL:It doesn't prove anything impossible. But it means the errors may not be independent.
――不可能なことが起きた証拠にはならない。でも、個別のミスじゃない可能性はある。
ここは大事なところだった。
同じような違いが複数見つかったからといって、すぐに何か特別な現象だと考えるのは早い。
そもそも、資料が同じ元データを使っていたなら、間違いも同じように受け継がれるはずだ。
それでも、なぜこんなにきれいに2つの状態へ分かれるのかは調べてみたい。
そこへ、ソフィアがチャットへ入ってきた。
SOFIA_A:This reminds me of something I've seen in old survey records.
――古い測量記録で見たことのある問題に、少し似ているわ。
NIL:Really?
――本当?
SOFIA_A:Sometimes two maps use different reference systems. The coordinates may disagree even when both are correct within their own systems.
――地図によって、異なる測量基準を使うことがあるの。そうすると、それぞれの基準では正しくても、座標が一致しない場合があるわ。
「ああ、確かに」
測量の基準が違えば、建物の位置や道路の幅が違って見えることもあるだろう。
でも、それでは写真の窓の数までは説明できない。
NIL:That could explain the maps. But what about the photographs? The number of windows changes too.
――地図の違いなら説明できるかもしれない。でも写真は? 窓の数まで変わってるんだ。
SOFIA_A:Exactly. The geometry might be a survey issue. The photographs are harder to explain.
――その通り。図面の形状なら測量の問題かもしれない。でも写真の違いは説明が難しいわね。
✳︎ ✳︎ ✳︎
2012年2月9日、午後8時41分。
学校から帰って夕食を済ませた僕は、部屋でパソコンを起動した。
チャットルームを開くと、未読のメッセージが大量に表示された。
「……何かあった?」
サミールたちは、別の都市でも同じような不一致がないか調べていたらしい。調査対象となった場所は増えていたが、まだ原因を特定できていないものがほとんどだった。
僕は新しく追加された資料を順番に確認していった。
その途中で、見慣れない参加者の投稿が目に留まった。
古い保存ファイルの中から、意味の分からない文字列を見つけたという報告だった。
"I found an encrypted message in an old archive copy. I can't tell whether it's related to Cicada."
――古い保存ファイルの中に、暗号化されたメッセージを見つけた。Cicadaと関係があるかは分からない。
「……暗号?」
僕は思わず、その投稿を開いた。
説明によると、シアトルの街並みを調べていた参加者が、以前の調査で作成されたデータの保存用コピーを入手したらしい。写真や地図の情報を整理したファイルの中に、意味不明な英数字が紛れ込んでいたという。
投稿には短いテキストファイルが添付されていた。
僕はまず保存元の情報を確認した。
Cicadaの公式な手がかりを示す署名はない。誰が文字列を書き込んだのかも分からない。
これだけで、暗号だと決めつけるのは早いだろう。
でも、見てみる価値はありそうだ。
僕はファイルを開いた。
「……ふうん」
画面には、英数字を組み合わせた長い文字列が並んでいた。
とりあえず、全体の長さと使われている文字の種類を確認する。
7vX9mP2qL4kF8sR1wZ5jD3bH6xN0tC9fY2hG5bV8mK1pX4lQ7dF2zJ6sW9vN3tR5yM8
英字の大文字と小文字、それから数字。目立った区切り文字はない。
文字の出現頻度も調べてみたが、単純な換字式暗号にしては偏りが少なかった。
「……これだけじゃ何とも言えないな」
暗号化されたデータなのか、何かを符号化しただけの文字列なのか。それすら分かっていない。
「……うーん」
こういう問題は、手がかりが少なすぎると厄介だ。
どんな暗号方式が使われたのか分からないし、そもそも元の文章が英語なのかどうかも不明だ。
片っ端から試すだけでは、いくら時間があっても足りない。
僕は一度文字列から離れ、元の保存ファイルを調べることにした。
NIL:Who found this file? Can we confirm its source?
――このファイルを見つけたのは誰? 出所を確認できる?
しばらくすると、投稿者から返事が届いた。
保存元の情報なら送れるが、文字列を読めた人はまだいないらしい。
僕は資料の提供を頼み、もう一度テキストファイルを開いた。
そこへ、アレックスからメッセージが届いた。
WALKER:NIL, are you looking at the encrypted file?
――NIL、例の暗号ファイルを見ているのか?
NIL:Yeah.
――うん。
WALKER:Several people have tried the obvious approaches. No luck so far.
――何人かが一般的な方法を試したが、今のところ成果はない。
「……そっか」
どうやら、すでに結構な人数が挑戦しているらしい。
僕はそれまで試した方法を確認した。単純な換字式暗号、多表式換字暗号、よくある符号化方式。どれも決定的な結果は出ていない。
僕も似たようなところを調べていたので、このまま続けても同じ結果になりそうだ。
NIL:Then I'll try something less obvious.
――じゃあ、あまり普通じゃない方法を試してみるよ。
WALKER:That's what I was hoping you'd say.
――そう言ってくれると思っていた。
「……期待されてるなあ」
そういう言い方をされると、余計に解きたくなるじゃないか。
僕は新しいノートを取り出した。
まず、文字列そのものの特徴を書き込む。文字数、使用されている文字、繰り返しの位置。それから、元のファイルに残っていた画像の識別番号。
そこでペンを止めた。
「……待てよ」
そもそも、これが普通の暗号文だと考える必要はあるのだろうか。
最初のCicadaの画像でも、見えている文字だけが手がかりだったわけじゃない。画像そのものに情報が隠されていたし、ファイルを解析しなければ気づけない仕掛けもあった。
今回も、文字列だけを取り出して考えているから、何かを見落としているのかもしれない。
はじめまして。読んでくださってありがとうございます!
Cicada 3301はインターネット上で最大の実在するミステリーです!
こちらを題材にしてできるだけ史実通りの出題を交えつつ、フィクションを交えつつ、書いていきます!
信じるか信じないかは、あなた次第です。
星評価、ブクマで応援してくれたら嬉しいです。
よろしくお願いします!




