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徹夜続きのゲーム開発者、気づいたら自分が作ったはずの文明調律RPGに転移していました 第五部  作者: マスター


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第70話 屋根の水は、落ちる場所まで決めなければならない

第70話です。


第69話では、強風と換気のバランスを扱いました。


《息抜き寝床》で作った上抜き隙間は、息を逃がすために必要でした。


しかし、夜明けの川風が強くなると、その穴から冷たい風が入り、布屋根や小布を飛ばそうとします。


そこで澪たちは、《風選び》を作りました。


通したい青風。


向きを変えれば使える黄風。


寝床へ直接当ててはいけない赤風。


さらに、布や板を斜めにかけることで、風を上へ逃がしながら、内側の息を抜く斜め庇を作りました。


けれど、風を逃がすために屋根の角度を変えると、次は雨水の落ちる場所が変わります。


寝床の端へ落ちるのか。


荷置き帯へ落ちるのか。


通り帯へ落ちるのか。


そこを決めなければ、雨の日にまた青床が黄床へ戻ってしまいます。


今回の条件は、


《屋根の水は、落ちる場所まで決めなければならない》


今回は、布屋根と雨だれの流れを扱います。

斜め庇は、風には効いた。


川風は寝床へ直接落ちにくくなった。


布囲いの中に、息もこもりにくい。


子どもの咳も、少し落ち着いている。


だから、神代澪は一瞬だけ安心しかけた。


だが、ミルカは斜め庇の端を見上げて、すぐに言った。


「これ、雨が降ったらまずい」


ライカが首を傾げる。


「風は防げてるよ?」


「風はね。でも水はここへ集まる」


ミルカが指した先は、青床の端だった。


斜めに張った古帆の先。


そこから水が落ちれば、寝床のすぐ横が濡れる。


さらに、足元の風よけ板が小さな壁になり、水を逃がさず溜めてしまう。


調律核が黄色く点滅する。


《布屋根固定:改善》


《ただし、雨水落下位置:変化》


《斜め庇により、雨だれ集中候補》


《寝床端部:濡れ戻りリスク》


《荷置き帯:水滴増加予測》


《条件候補:屋根の水は、落ちる場所まで決めなければならない》


澪は斜め庇を見た。


風を整えたら、水がずれた。


本当に、ひとつ直すと次が見える。


サヴィが苦笑する。


「帆も同じだ。風だけ見て張ると、雨で荷が濡れる」


リーネが不安そうに聞いた。


「では、また全部張り直しですか」


「全部ではありません」


澪は言った。


「水の落ちる場所だけ、先に決めます」


セラフィナが記録板を開く。


「作業名を設定しますか」


澪は、布屋根の端と地面を見比べた。


屋根は、雨を防ぐだけではない。


雨をどこへ渡すかまで決めるものだ。


「《雨だれ筋》」


セラフィナが頷いた。


「記録します。《雨だれ筋》」


澪は言った。


「屋根の水を、寝床へ落とさない道にします」


***


《雨だれ筋》で最初に決めたのは、三つだった。


落としてよい場所。


落としてはいけない場所。


一度受ける場所。


落としてよい場所は、寝床から離れた土の溝。


ただし、汚れ場や青水置き場へ流してはいけない。


落としてはいけない場所は、青床、病人寝床、荷置き帯、火受け帯、通り帯の中央。


一度受ける場所は、雨受け桶や古い樋の代わりになる竹筒、割った板、古帆の折り返し。


ミルカが地面に線を引く。


「ここが雨だれ筋。水はここへ落とす。寝床の端には落とさない」


ノアが絵板を掲げた。


「雨は寝床じゃなく、溝へ!」


サヴィが縄を結びながら言う。


「屋根の端を少し伸ばす。水を外へ出す。だが伸ばしすぎると風であおられる」


ルシェリアが風を見る。


「斜め庇は残します。ただし、下端を寝床から外へずらします」


フィリアが病人寝床の周りを確認する。


「ここに水が落ちると、すぐ冷えます。最優先で避けましょう」


最初は、病人と子どもの寝床だけを直した。


古帆の端を少し外へずらす。


板を細く割り、仮の樋にする。


雨受け桶を置く。


水が落ちる場所には、石を敷く。


泥跳ねを防ぐためだ。


ライカが石の上を見て言う。


「水が落ちても、泥が跳ねにくい」


「はい」


澪は頷いた。


「寝床に跳ねたら意味がありません」


すべてを完璧にしない。


まず、寝床へ落ちる水と泥跳ねを減らす。


そこから始める。


***


試す前に、雨が来た。


空が暗くなり、細い雨が降り始める。


外縁避難居住帯に緊張が走った。


「桶を出せ!」


「布を押さえろ!」


「荷物を中へ!」


人々が一気に動き出す。


澪はすぐに声を張った。


「荷物を通り帯へ出さないでください! 荷置き帯の内側へ!」


リーネも続ける。


「寝床の端に桶を置かないで! 雨だれ筋へ!」


ノアが走りそうになり、サヴィに襟を掴まれた。


「走るな!」


「はい!」


「返事だけじゃなく止まれ!」


今度はちゃんと止まった。


雨は強くない。


けれど、屋根の水の道を見るには十分だった。


斜め庇を伝った水が、板の樋へ流れる。


樋の先から、石を敷いた溝へ落ちる。


泥は大きく跳ねない。


青床の端は、まだ乾いている。


調律核が青く反応した。


《病人寝床:雨だれ回避》


《青床端部:濡れ戻り低下》


《泥跳ね:軽微》


「いける」


ミルカが頷いた。


だが、別の場所で問題が起きた。


荷置き帯の上だ。


斜め庇から逃がした水が、寝床を避けた結果、荷置き帯の端へ落ち始めていた。


布袋が濡れる。


麻袋が水を吸う。


中には、寝床用に粉落としした麻袋も混ざっていた。


ライカが叫ぶ。


「荷布が濡れてる!」


調律核が黄色く光る。


《荷置き帯:雨だれ集中》


《麻袋吸水:上昇》


《寝床用下層材:再湿り候補》


澪はすぐに言った。


「荷置き帯にも雨だれ筋を作ります!」


「寝床だけじゃないね」


ライカが言う。


「はい。濡れた荷物は、また寝床を濡らします」


サヴィが荷置き帯の端へ板を渡す。


ミルカが溝を少し曲げる。


ルシェリアが風で布のばたつきを抑える。


マルセが商用荷箱の覆い布を見て、部下へ命じた。


「荷を浮かせろ。床に直置きするな」


ライカが小声で言う。


「商人、ちゃんと働いてる」


澪も少し笑った。


「荷物のことになると強いですね」


荷置き帯の荷は、少し高く置かれた。


下に石。


その上に古板。


雨だれは溝へ。


濡れた麻袋は黄干しへ戻す。


調律核が青く変わる。


《荷置き帯:雨だれ筋追加》


《麻袋再湿り:抑制》


《荷物直置き:低下》


《下層材再汚染:回避》


***


雨は短く、すぐに弱まった。


だが、問題は十分見えた。


屋根から落ちる水は、寝床だけでなく、荷物、通路、火受け帯、清め場にも影響する。


水の落ちる場所を決めなければ、どこかが濡れる。


濡れたものは、また別の場所へ湿りを運ぶ。


《雨だれ筋》は、少しずつ広がった。


病人寝床。


子ども寝床。


青床の端。


荷置き帯。


通り帯の入口。


火受け帯の周り。


清め場の手前。


雨受け桶は、飲み水にはしない。


最初の雨水は泥落としへ。


後の水も、用途を見て使う。


青水系統へ混ぜない。


調律核が青く光る。


《雨だれ筋:仮運用》


《青床端部:濡れ戻り低下》


《荷置き帯:水滴管理開始》


《泥跳ね:低下》


《火受け帯水濡れ:回避》


《清め場周辺ぬかるみ:低下傾向》


《条件候補:進行》


《屋根の水は、落ちる場所まで決めなければならない》


澪は、濡れた地面の線を見た。


雨は、隠れていた流れを見せる。


どこへ落ちるか。


どこへ溜まるか。


何を濡らすか。


それを見れば、次に直す場所が分かる。


リーネが言った。


「屋根を張るだけでは駄目なんですね」


「はい」


澪は頷いた。


「屋根は、雨を消すものではありません。雨を別の場所へ渡すものです」


ライカが空を見上げる。


「なんか、屋根を見る目が変わる」


「私もです」


本当に、見えるものが増えていく。


増えすぎて、少し怖いくらいだ。


***


夕方には、《雨だれ筋》は仮成立した。


完璧ではない。


でも、青床へ直接落ちる水は減った。


荷置き帯の濡れも少し抑えられた。


火受け帯と清め場にも、簡単な水逃がしができた。


調律核が青く光った。


《雨だれ筋:仮成立》


《斜め庇:雨水落下位置調整》


《青床濡れ戻り:低下》


《荷置き帯吸水:低下》


《通り帯ぬかるみ:低下》


《火受け帯水濡れ:回避》


《条件候補:一部達成》


《屋根の水は、落ちる場所まで決めなければならない》


澪は息を吐いた。


「一部達成」


ライカも頷く。


「屋根、少し屋根っぽくなった」


「はい」


「今度こそ、休む?」


澪は返事をしかけた。


その前に、リーネが清め場の方を見て眉をひそめた。


「……地面が、まだぬかるんでいます」


澪もそちらを見る。


雨だれを避けた水は溝へ流れた。


だが、人が何度も通る場所の土は柔らかくなっている。


清め場。


寝床くぐり。


汚れ場へ向かう夜道。


そこに足跡が重なり、泥がこねられていた。


調律核が黄色く点滅する。


《雨後地面:ぬかるみ発生》


《清め場前:泥化》


《寝床くぐり:泥戻り増加候補》


《夜道:滑落リスク》


《泥落とし砂:消費増加》


《次条件候補:踏み固めた泥は、また寝床へ戻ってくる》


ライカが足元を見る。


「雨は屋根から逃がせたけど、地面が泥になった」


「はい」


澪は頷いた。


「次は、歩く場所です」


雨水を落とす場所を決めても、人がそこを踏めば泥になる。


泥は足について寝床へ戻る。


清め場を整えても、その前が泥なら、また汚れる。


澪は、ぬかるんだ足跡を見つめた。


外縁避難居住帯は、少しずつ屋根を持ち始めた。


しかし、その下を歩く地面は、まだ住まいを支えきれていなかった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


第70話では、布屋根と雨だれの流れを扱いました。


第69話で《風選び》が作られ、強い川風を直接寝床へ入れないために、斜め庇が作られました。


しかし、屋根の角度を変えると、今度は雨水の落ちる場所が変わります。


今回の条件は、


《屋根の水は、落ちる場所まで決めなければならない》


でした。


澪たちは、《雨だれ筋》を作りました。


雨を落としてよい場所。


落としてはいけない場所。


一度受ける場所。


それを分けます。


寝床、病人寝床、荷置き帯、火受け帯、通り帯の中央へ水を落とさない。


古帆の端、板の樋、雨受け桶、石を敷いた溝を使い、雨水を寝床から離しました。


ここで大事なのは、屋根は雨を消すものではない、という点です。


屋根は、雨を別の場所へ渡すものです。


だから、落ちる先を決めなければ、寝床や荷物、通り帯が濡れてしまいます。


途中では、寝床を避けた水が荷置き帯へ落ちる問題も起きました。


濡れた荷物や麻袋は、また寝床へ湿りを運びます。


そこで、荷置き帯にも雨だれ筋を作り、荷を床に直置きしない形にしました。


結果として、《雨だれ筋》は仮成立しました。


青床への濡れ戻りは下がり、荷置き帯、火受け帯、清め場周辺の水も少し管理できるようになりました。


しかし、ラストでは新たな問題が見つかります。


地面のぬかるみです。


雨水の落ちる場所を決めても、人が何度も通る場所は泥になります。


清め場前。


寝床くぐり。


夜道。


そこがぬかるめば、泥はまた足について寝床へ戻ります。


次の条件候補は、


《踏み固めた泥は、また寝床へ戻ってくる》


です。


次回は、雨後の地面、ぬかるみ、歩く場所、敷石や板道、泥落としの消耗を扱います。


屋根の次は、その下を歩く地面です。


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成・文体調整:G(ChatGPT)

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