♥ フィールド 15 / テイム・モンスター 4
エノ
「 えぇと……此でスライムちゃんは晴れて自由の身になれたの?? 」
玄武
『 そうなる。
何せ飼い主は怪物になってしまったからな 』
エノ
「 …………ねぇ、本当に明日の日の出前に死んじゃったら人間には戻れないの?? 」
セロフィート
『 ふふふ。
あれは冗談です♪ 』
エノ
「 じょ…冗談?? 」
セロフィート
『 ああ言えば緊迫感が増します。
因みに転移した場所は城下町の中ではなく、彼の部屋のベッドの中です。
今頃は夢の中で人間達から酷い目に遭ってます 』
エノ
「 夢の中で!?
何だぁ〜〜〜……。
蜘蛛の姿になっちゃったからハラハラしちゃったじゃない… 」
玄武
『 蜘蛛の姿にしたのは、夢の中で体験した事が現実に体験した事だと錯覚させる為の演出です。
其にティッキーゴイスさんを自由にする為にも必要でした 』
エノ
「 そうだったんだ…。
だけど、かなり乱暴な方法だったんじゃないの? 」
セロフィート
『 彼はワタシのエノを「 馬鹿 」呼ばわりしました。
其の報いです 』
エノ
「 …そ、そう…… 」
玄武
『 ワタシは体内で血液を沸騰させた後、心臓を破裂させてやろうかと思ったがな 』
エノ
「 玄武……其は止めて!
事件になっちゃうから! 」
玄武
『 体内で破裂すれば事件にならない。
セロフィートが死体を部屋へ転移すれば、自宅の部屋で死んだ事になる。
事件でも事故でもなく病死として処理される 』
エノ
「 もう〜〜〜っ!
完全犯罪に出来ても殺しちゃ駄目なの!! 」
玄武
『 そうか… 』
エノ
「 ………何で残念そうな顔するの!! 」
玄武
『 エノの〈 守護り手 〉として役目を果たしたいだけだ… 』
エノ
「 …………そですか…。
ところで、自由になったスライムちゃんはどうなるの? 」
セロフィート
『 テイム・モンスターのティッキーゴイスさんは、飼い主を失った事で、野良スライムとなりました。
テイマーに手懐けられ、飼い慣らされてしまったテイム・モンスターは野生へ戻ったとしても生きてはいけず、怪物に襲われ、命を落とします 』
エノ
「 えっ……。
野生に戻ったら死んじゃうの??
本能は何処に行っちゃうの? 」
玄武
『 飼い慣らされている間に消えてしまうな。
自ら望んで飼い主からの解放を望み、尚且つLVが高ければ野生に戻ったとしても生き残れる確率は高いが、大抵はストレスに耐えきれず死んでしまうのがテイム・モンスターの辛いところだな 』
エノ
「 ストレス死……。
人間のペットとして暮らしていた代償って事?? 」
玄武
『 そうなるな 』
セロフィート
『 テイムした側の人間はテイム・モンスターを野生へ帰そうと考え、良かれと思い善意でフィールドへ放す者も居ます。
実際にはフィールドへ捨てたテイム・モンスターへ「 勝手に死ね 」と死刑宣告している事と同じです。
飼い主からの解放を望んでいるテイム・モンスターには、野生に戻っても生き残る力がありますし、何の問題もないです。
けれど、飼い主から解放される事を望んでいないテイム・モンスターも居ます。
彼等は「 要らないから絆を断たれた 」「 主人に捨てられた 」と思い込みます。
飼い主との楽しくて幸せだった生活を忘れられず、恋しがるあまりにストレスに耐えられず死んでしまいます。
人間の考える善意がモンスターにとっても善意とは限りませんし、必ずしも野生へ帰す事が最善の方法とも言えません。
テイムした以上はテイム・モンスターの寿命が尽きる迄、育てる責任があります。
彼は新たな怪物をテイムする為に、ティッキーゴイスさんを間接的に始末しようとしました。
彼のような心無い飼い主は多いです 』
玄武
『 絆を断ち、フィールドへ帰す事も依頼中に命を落とす事もテイム・モンスターにとっては残酷な仕打ちだ 』




