No.99:ラストメッセージ
試合後ベンチ裏に撤収した邦南高校ナインは、川越監督の最後のミーティングが行われていた。
『すまなかった。こんな素晴らしい選手たちを抱えながら勝利へ導けなかった俺の責任だ。』
大場『うっ…………。うっ……。』
慶野『…………。』
『翔真、文哉。お前らには頑張ったとは言わない。』
『ありがとう、そう言いたい。』
『監督になったのは今年の春からだが、お前らが頑張っている姿は去年の夏から近くで見てきて、よく知っている。』
『去年の先輩たちが引退してから、少ない人数とはいえ、よく皆をまとめてくれたな。キャプテン文哉。』
『3回戦敗退という結果は確かに残念だ。今年の夏こそ全国制覇を掲げていたお前達にとって、とても物足りない、不完全燃焼の夏になっただろう。』
『最後まで力を出しきって負けた、去年の夏とは違う。ミスから崩れていって負けた夏だ。でもお前らはまだ18歳だ。この先はまだまだ長い。』
『ただ負けた試合にだけはするなよ。』
『涙で終わったこの夏を一生忘れるな。』
『二人しか3年生は居なかったが、お前らは立派だった。俺から言えることはもう何もない。あとは、後輩たちがお前らの悔しさを晴らしてくれるはずだ。』
慶野『短い間でしたがありがとうございました。』
大場『ありがとう……ございました……。』
慶野『試合に出てなかった人や、スタンドで声張ってくれたみんな、勝つことができなくて申し訳ない。』
村田(…………。)
慶野『こんな俺に着いてきてくれてありがとう。最後の指示を聞いてくれ。』
『外で待ってくれてる、応援してくれた人達に挨拶に行くぞ。荷物まとめろ。』
『『ハイッッッ!!!』』
慶野『翔真、アイシングしろよ。ほら。』
大場『いや、いい。』
慶野『しろよ。』
大場『いいって。なんも考えられねえ。』
慶野『しろ。お前の野球人生、ここで終わりじゃねぇだろ。』
大場『……わかったよ。』
長澤『直政、お前もテキパキ動け。』
村田『お、おう……。』
結衣『巻いて巻いて……っと!よし。出来ましたよアイシング。』
大場『ありがと。助かった。』
結衣『はい!』
慶野『スタンドのみんなからあんなに素晴らしい応援を貰っていたのに、応えることが出来なくて、申し訳ありませんでした。』
『ですが、この悔しさは後輩たちが必ず果たしてくれると信じています。』
『応援してくれた皆さま方、いつどんなときでも味方でいてくれ、色んな世話をしてくれた、お父さん、お母さん、兄弟の皆には感謝の気持ちで一杯です。』
『この場を借りて言わさせてください。』
『今まで、本当にありがとうございました!』
『これからも、邦南高校野球部をよろしくお願いします。』
パチパチパチパチ……
大場(本当に、終わったんだな…。)
(俺の最後の夏………………。)
村田『…………。』
佳奈(直…………、とっても辛そう。)
千夏『行くよ。佳奈。そっとしておいてあげよ。』
佳奈『……。はい…。』
(大丈夫なの…………?直…………。)
『川越監督、大場くん、慶野くん!申し訳ありませんが、少し試合後インタビュー良いですかー?』
慶野『行くぞ翔真。』
大場『あぁ……。』




