No.93:追い込んだ!
『名関高校、選手の交代をお知らせします。ファーストランナー、各務くんに代わりまして、栗山くん。ファーストランナー、栗山くん。』
《9回裏ツーアウトで代打各務の打球はライトフライ。しかしこれをライト村田がまさかの落球でツーアウト一塁。代走には2年生の栗山が起用されています。》
『1番、サード、江本くん。』
《打順はそして上位打線に回ります。1番の江本。今日は4打数1安打。先程の大場との対決は低めのボールになるフォークに手が出て空振り三振に倒れています。》
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江本 健太郎 3年生 猿子石中
大会通算成績
打率.308(13-4) 0本 0打点 2盗塁
空三振 空三振 左安 空三振
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佐藤『江本ーっ!!』
小野『繋ぐ気持ちでいけ!!!』
水谷『江本先輩!!思い切っていきましょう!!』
大場(落ち着け。同点のランナーが出たとは言え、まだ勝ってるし、一塁にいるだけで全然ピンチじゃない。)
《セットポジションから第1球!!》
《投げる!!!!》
ビュゴォォッッッ!!!!!
西口(甘い!!)
《真ん中に入ってきた!!!》
江本『そう何度もストレートだけでやられてたまっかよ!!』
カキィィーーーンッ!!!!!
大場(くそっ……!)
《打球は二遊間を強烈に破った!!!1番江本、真ん中に入ってきた甘いストレートを初球から躊躇わずに強打!!!クリーンヒットでツーアウト一二塁!!!これは先程のエラーで流れが変わったか!?》
村田『…………。』
『2番、センター、小野くん。』
西口(ちっ。この流れでコイツかよ…。)
《邦南高校もたまらず伝令です。背番号11をつけた島谷涼太がマウンドに駆け寄ります。》
島谷『小野には外角を使えって。』
西口『そのつもりだ。内角はギリギリでカットが間に合う。変化球交えつつ外角ストレートで押し切る。小野に翔真先輩のボールを外野に飛ばす力は無い。』
小宮『内野はさっきみたいなボテゴロ注意ね。彼、すごく足も速いから。』
慶野『水谷に回る前に終わらせよーぜ。村田も今頃ライトでビクビクしてるだろうしな。』
林『ホンマあのアホヅラは……。』
氷室『ヒットでもシングルなら良くて同点だし、全然気負わなくていいですよ。翔真先輩。』
大場『おし。村田にしっかり声かけてやってくれ。』
林『はい。』
……
『プレイ!!』
林『アホヅラァ!ツーアウトやぞ!』
小宮『シングルのプレスしっかりね!』
林『間抜けた打球の処理はホンマ早よしろ!』
村田『…………。』
林(なんやねんアイツ。返事くらいせんかい。)
《二塁ランナー栗山が帰れば同点、一塁ランナー江本が帰れば逆転サヨナラのこの場面!!打席には7回に大場から同点タイムリー内野安打を放っている小野晃平!!》
小野(とにかく厄介なのは150キロを越えてくるストレート。さっきの打席でもずっと狙ったのに芯にすら当てられなかった。)
(この場面、打席に今日散々粘ってきた俺。絶対にカウント不利にはしたくないはず。早めにカウントを稼いでくるのは間違いない。)
西口(小野は強打する力は無いとはいえ、狙い打ちされたらヒットゾーンに転がされる可能性がある。それは避けたい。)
《マウンド上大場はここを踏ん張ることが出来るか!!初球!!》
小野(外角ストレートで稼いでくるはず!)
ビュゴォォッッッ!!!!!
ガッッ!
西口(やっぱ踏み込んできたか!)
カクッッッッッ!!
小野(フォーク!?ここで!?)
ブンッッッ!!
《初球はアウトコースへのフォークボール!!》
西口(翔真先輩はフォークの変化量を自由自在に変えれるんだよ。)
小野(なるほどね…。さっきの俺がサードにボテボテ打ったフォークより変化量落としてカウントを取りに来るフォークできたのか…。)
西口(やっぱ狙ってきたか。さっきの打席といい、今回の打席といい、完全に粘るスタイルじゃなくて、ヒットを狙いにいくスタイルにしてきてる。スイングの仕方がまるで違う。)
(だけど、この小野は何も怖くない。)
ズッッバァァァーーーーンッッ!!!!
小野(くっ……速い!)
《外角ストレートに空振りでツーナッシング!!再び追い込まれた名関高校!!》
西口(よし。これでカウント完全有利。)
小野(ダメだっ…。フォークを意識するとこのストレートについていけない…。)
西口(こーなっちまえばストレートでもフォークでも仕留められる。)
大場(遊び球は無しだ西口。このままテンポよく決めるぞ。)
千夏『9回裏ツーアウトツーストライク!』
佳奈『あと1球!!』
千夏『大場先輩頑張れーっ!』
佳奈『がんばれっ!がんばれっ!』
小野(ツーナッシングは正直かなり厳しい…。)




