No.89:戦
《名関高校、ここで今日3度目の伝令です。背番号13をつけた各務が監督の指示を伝えにいきます。これで延長戦にならない限り、守備の伝令の機会を失いました。》
篠田『わり。打たれちまった。』
佐藤『コースは文句なかったし、読まれた俺のリードが悪かったわ。すまん。』
各務『はい!謝罪の会はそこまで!』
江本『そうそう。誰も責めてねぇっつーの!』
水谷『1点ならまだなんとかなります。』
佐々木『ここで止めましょ!』
志田『ズルズル行っちゃそこまで。ここ、1点で踏ん張ろ。』
篠田『お前ら…。』
佐藤『キャプテンがしっかりしなきゃな。すまんすまん。』
江本『はい!また謝った!これはペナルティだね!』
各務『試合終わったらジュース奢ってくれよ!さっとう!』
江本『あっ!俺にも!』
佐藤『馬鹿じゃねえのかー!奢るわけ無いだろ!』
江本『ちぇーっ!キャプテンのケチー!』
志田『ハハハ!』
水谷『んで、監督の指示はなんだったんすか?』
各務『んーっと、なんだっけ?』
水谷『マジですか。』
各務『あっ!そうそう、大場敬遠で氷室勝負だってさ。』
佐藤『なるほどね。了解。』
篠田『大場と勝負したかったけど監督の指示じゃしゃーねえか。』
各務『篠田は左バッター相手にするより右バッター相手にする方が得意でしょ。自慢のシュート使えるし。』
佐藤『勝つための敬遠策だ。守備のみんなも頼むよ。絶対に絶対に追加点はあげないからね!』
佐々木『はい!』
志田『ガンガン打たせろ!』
水谷『任せてください!』
江本『当然当然!』
篠田『さっとうも後ろ無しでお願いね。低め意識してくからワンバウンドも増えるかも。』
佐藤『おう。絶対止めてやっから。安心して低め投げてこい。』
『よし……』
『この回これ以上点はやれないからね!!』
『絶対にこの1点で止めよう!!』
『『『しゃぁっっっっっっっ!!!』』』
《元気良く元の守備位置に戻ります、名関高校内野陣。そして、》
《キャッチャー佐藤が立ち上がりました!ツーアウト二塁で一塁が空いているのでここは4番大場を敬遠で氷室勝負を取ってきました!!》
大場(なるほどね。ま、俺が相手でもそうするかな。)
氷室(ふぅ。やってくれるじゃん。)
西口『佑介。シュートには気を付けろ。あとスライダーも割りと手元でくる。左右に動かしてくるぞ。篠田。』
氷室『俺は考えたって分からないからね。反応で打ってくるよ。』
西口『お前なら打てるぜ。天才君。』
氷室『今日はすっかり森くんの術中にハマっちゃったし、借りは返さなきゃ。』
『ボール!フォア!』
《大場が敬遠で出塁してこれでツーアウト一二塁!!名関バッテリーが選択したのは5番氷室との勝負!!》
『5番、サード、氷室くん。』
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氷室 佑介 2年 香流東中
大会通算成績
打率.700(10-7) 0本 5打点 1盗塁
本日の打撃成績
左飛 中飛 死球 三併
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《前の試合まで7打数連続安打、9打席連続出塁をしていた絶好調氷室佑介も今日は森に抑えられ3打数無安打。先程の打席ではワンナウト満塁からサードゴロダブルプレーに倒れています。今日はイマイチ当たっていません。》
篠田(この回をここで止めるのが俺の今出来る最善のこと。)
《マウンド上、エースの篠田 健之助は2回戦の昭明高校戦で9回1失点完投勝利を収めまして、その中でも右バッターと計23回対戦して打たれたヒット僅か1と、右バッターを非常に得意としています。》




