No.61:ただの遅い球?
『1回の表、邦南高校の攻撃は、1番、ショート、慶野くん。』
《さあ間もなくプレイボールの夏の全国高等学校野球選手権大会!3回戦です!2年連続の夏の甲子園出場を目指す邦南高校と2回戦で昭明高校を撃破している名関高校の一戦!先頭打者はキャプテンの慶野!》
『プレイボール!!』
《さぁプレートアンパイヤの澤田がプレイボールの合図です!!名関高校の先発はエース篠田ではなく背番号10の森!!さぁ注目の初球!!》
慶野(どういうつもりか知らないが…、)
ビュッッ!!
慶野(手加減はしないぜ!)
佐藤(甘い!!)
カキィィーーーンッッ!!!
《初球を捕らえた!!!》
佐藤『ボールサード!!!』
《打球はいきなり右中間を破る!!!ライト青山も懸命に素早く処理する!!》
森(あちゃー。ど真ん中はそりゃ俺のボールじゃ打たれるわな…。しっかりコントロールしないと…。)
《余裕のスタンディングトリプル!!快速飛ばして一気に三塁到達!!邦南高校、いきなりノーアウト三塁と先制のチャンスを迎えます!!》
【106km/h】
林(106km/hやって?変化球から入ったんか?)
小宮(いまの外野守備と試合前ノックを見る限り、外野守備はそこまで鍛えられてない。遅いボールを投げるピッチャーだし、外野まで飛ばせばなにかしら起こせる。)
慶野(やけに遅いと思ったが、106km/hか。変化球が抜けたのか?)
『2番、セカンド、林くん。』
林(遅い左ピッチャー?右バッターにとっちゃカモ中のカモやんけ。)
(火傷する前に代えた方が身のためやで?名関はん。)
………
ズバン!!
『ボール!!フォア!!』
森(ありゃ。全然コントロール出来ない…。)
林(ストレートのフォアボール…。せっかくカモやと思うたのに。)
【104km/h】
《2番林がストレートのフォアボールでノーアウト一三塁!!打順は中軸へ回ります!!》
林(にしても………、)
(なんや…。このエラく遅いロートルピッチャーは。あれ、たぶんストレートやろ?)
『3番、ファースト、小宮くん。』
小宮(球速はまだ1球も110km/hすら越えてない。相当遅い。だったらやることはひとつ。)
ビュッッ!!
小宮(そのボールを自分のスイングで強く叩く!!)
カキィィーーーンッッ!!!!
佐藤(元ちゃんボール高いよ!!)
《高めのストレートを捕らえた!!!打球はセンター後方!!入るか!?入るか!?》
パシッッ!!!
小宮(ウソ…。)
《捕った!!!捕りました!!!センターの小野 晃平、後方のフェンス際の難しい打球を背走ジャンピングキャッチ!!!スーパープレーが飛び出した!!!》
小宮(最後のジャンピングキャッチもスゴいけど、打った瞬間から打球までのムダの無い動き。センターの小野くん、侮れない…。)
《1塁ランナーの林は大きく1塁ベースを飛び出していた!!ショート水谷が1塁へ遠投だ!!》
藤武(一塁ランコー)『早く戻れ!!来てるぞ!!』
林(わかってますって!!)
《水谷から良いスローが帰ってきたぞ!!!際どいタイミングだ!!!》
『アウトォォ!!!!』
《一塁もアウト!!!センター小野のキャッチから水谷の中継を挟んで大きく飛び出していた一塁ランナーの林も刺した!!これは名関守備陣、ナイスプレーです!!ピッチャーの森を助けます!》
林(もっとハーフウェーの距離縮めるべきやったか…。っちゅーか、あの打球捕るとかホンマか…。)
青山『ナイスプレーです!!小野先輩!』
萩森『ナイスセンター!!』
小野『おうっ!』
《しかし邦南高校、今の一連のプレーの間に三塁ランナーはタッチアップから生還したので1点を先制しました。ツーアウトでランナーはいなくなりましたが、初回まず先制で4番を迎えます。》
『4番、ライト、大場くん。』
西口『ナイバッチ。哲都。惜しかったな。』
小宮『ちょーっとパワー足りなかったかなぁ。小野くんにやられちゃった。』
林『すんませんわ。』
酒井『しゃーないしゃーない。切り替えてこ。まさかあれ捕るとは誰も思わなかったよ。』
林『次の打席で挽回するわ。』
カキィィーーーンッッ!!
《これも痛烈!!!しかしセカンド志田正面のライナーでスリーアウトチェンジ!!邦南高校の1回の表の攻撃は1点で終了です。》
西口『ああーっ!正面か。』
慶野『でもあの程度のピッチャーならいつでも点取れる。しっかり初回三人で切るぞ。』
西口『ですね!』




