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No.10:予

キーン!コーン!カーン!コーン!

 授業終了のチャイムが鳴り響く。学業面でも県内公立校トップレベルの邦南高校は、授業中の生徒達の集中力も高く、緊張感のある授業が展開されていた。


酒井(さすが進学校だけあって授業のペース早えー。野球だけやってたらあっという間に授業ついていけなくなりそう…。)

 そんな緊張感から解放されてホッとするものの、家に帰ってもしっかり復習しなければ置いていかれると悟り、ちょっと気が重くなる。



『はい!じゃあ次の授業までに問題集のP12までやってくるように!』


村田『…。』



酒井(ったく直政は…。1限全部寝てんじゃんか…。)



原田『直政、ずーっと寝てたね。』


酒井『朝練でいきなり走り込んだからな。ピッチャーメニューってこともあったけど。』



村田『…。』


村田は1限が終わった休み時間だが、机に突っ伏して寝ている。




酒井『寝かしとくか。』


原田『だね。変に起こして機嫌悪くされても困るし。』


酒井『トイレ行こうぜ。』


原田『いいよ。』








村田『………。』





ガツーン!!


 机に突っ伏して爆睡する坊主頭を大地震が襲う。誰かが不注意にもぶつかってしまったようだ。



『んぎゃ!誰だよ!』

 疲労の中やっと深い眠りについた村田が、舌打ちしながら睨みつける。その様子に限っては、まるで偏差値35のそれだ。



『ご、ごめんなさい!気持ち良さそうに寝てたのに…。』

 ぶつかったことに対しては勿論のこと、身長180センチ越えで肩幅も広い坊主に睨まれて、ビクビクしながら謝る女の子は



『………?』

 とんでもなく美人であった。



『ほんとにすみません!』

 ちょっとかがみながら、手を合わせるショートカットの女の子。



『大丈夫。』

 不意の事で素が出てキレてしまったが、ふと我に返って声を静める坊主。



『村田くん、だよね?』

 少しホッとしたように、可愛い系の女の子が頬を緩める。


『ん?俺の名前なんで…?』



『いや、いつも面白い人だなーって思ってたからさ!下の名前は何て言うの?』

 ふふ、とニコニコしながら笑う。


『直政。』


『へー!じゃあ直でいいっか!』


『おう。……ん?』


『ウチの名前は斎藤 佳奈。良かったら佳奈(かな)って呼んで!』


『はいはい。』

 お前の名前は聞いてないっつーの、と内心思ってほぼスルーする。


『よろしくね!直!直は野球部なの?』


『勿論。』


『へー!そうなんだ!ウチ、野球観戦も結構したことあるよ!野球大好きなの!』


『ほぉー。マジかー。』


『なによ?全然興味なしってカンジ?』


『どちらかと言えば。』


『フン!せっかく直のこと応援しようと思ってんのに!もうちょいなんか反応無いの?』


『今は大切な睡眠を邪魔されて気分が悪い。』


『だからゴメンって言ってるじゃんか。わざとじゃないんだから許しなさいよ。』


『はいはい。今回だけな。』





酒井『なぁ、何があったんだ…?』


原田『わかんないけど…。あとで事情聴取だね…。』



酒井『おっす。起きたか。直政。』


村田『起きたと言うより起こされた。』


原田(めちゃ可愛い人と話してたけど。)


酒井(あの子超可愛いな…。)


村田『睡眠が足りてねえ。』


酒井『昨日の夜はちゃんと寝たのか?』


村田『お前はここのピッチャーメニューを全く理解してない。なんだその愚問。』


酒井『悪い悪い。ハイペースのインターバルお疲れ様です。』


原田『あ、もうすぐ授業始まる。席につこう。』




キーン!コーン!カーン!コーン!


村田(斎藤佳奈か…。)



(よくわかんねえけど、次起こしたらキレてやる。)




 ***



酒井(またアイツ寝てるし…。テストやばくね…。)


先生『コラ。村田。起きろ。』


ゆさゆさゆさ…


原田(揺さぶっても起きないとかどんだけ爆睡してんだよ…。)


バシーン!!

先生が寝る村田の頭を教科書で叩き、教室にその音が響く。


村田『イデッ!!!!』


先生『入学早々寝るバカが居るか!起きんかい!』


村田『悪りぃ。』


ワハハハハハ!!


教室が笑い声で包まれる。


村田『にしても教科書の角で叩くのはさすがにいてーよ…。』


チラッ


村田と佳奈の目が合い、佳奈がクスッと笑う。



佳奈(野球部大変なんだな~。)



村田(なに笑ってやがる…。お前のせいで昼放課に十分な睡眠が取れなかったんだぞ…。)



酒井(やれやれ…。この先が心配だね。留年とかしなけりゃいいけど。)






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