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 バッグについて周りの人たちに訊くと、それなら虎が持って行ったとの証言が…。

 光原さん…何してんの?

 普通に泥棒だよ。仮装競技って銘打ったわりに地味だったから、その虎姿で参加してなよ。そして、誰かとめなよ。

 ひばりんに貴重品が入ってるのって、質問され、素直にリンから貰ったお守り(カード)と、リンへのラブレターかもしれない封筒が6通と伝えておく。……ココさんが『友達』に頼まれたと言って。この光原さんの反応だと『友達』って云うのは怪しい。

 しかし、アディーの様子が気になる。何、キラキラした目をしてるんだ。何か企んでるの?


「るか、おれ、今日、がんばった」


 るかの真似して!って。……この子、私から何を学んでいるんだろ。一度確認しなきゃ。


「……メール、ちゃんと有った」

「テル兄……」


 携帯を確認すると電話とメールが両方有ったが、メールに『バッグ借りてく。ごめん』ってココさん絡みになると冷静じゃない。嫌な予感がする。


「ちょっと、行って」

「女王!」


 誰だ。この忙しい中で私を女王呼ばわりする奴はー…思わず睨み付けたらクラス委員長が血相を変えて、女子達がって。


「リレーに日比谷さんを出すのを反対するグループとあの……、日比谷さんのお姉さんのグループが喧嘩を始めて…」


 私は思わず、アディーを睨み付ける。パァーッと顔を輝かせ、実った。と…、アディー。うん、頑張ってるがタイミングが悪い。

 お姉ちゃんがいないか探すが、もう競技場でさっきの競技の片づけを始める。

 ひばりんに視線を向けると、にっこり、と笑いかけてきた。ど、どうしたの。


「秋月、俺、リンさんを(・・・・・)連れてテル兄の方に行くから」


 ーーやだ。エグい。本当に私の手を真似てる。

 ひばりん、もしかして、怒ってるの?

 とりあえず、セラ様にもココさんの方に行って!と念じてみる。……契約してるけど、この辺ってどうなってるんだろうか。念話とか出来た事ないな。セラ様とは。

 アディーは『囁き』があるけど。


「じゃあ、光原さんに過激な事させないでね」

「うん、きっちり、話し合って(・・・・・)くるから」


 ひばりん、笑顔だけど青筋が浮かんでいる。やっぱり、怒ってるんだ。で、でも、何に怒ってるの?




 日比谷さんの方にアディーと来たけど、私、役に立つのかな?


「だから、皆一生懸命競技しているのに日比谷さんが、またふざけたりしたら困るんです!」

「美晴がふざけるーー?あのね、たまたま一回失敗したくらいで」

「ゴール前で立ち止まって最下位になるのをたまたまとは言いません!」


 言い争ってるみたいには見えるが、ミユミユのグループに分はないな。3年の女子は傍観してる。1、2年の女子の大半が日々谷さんを出すのは反対と。ミユミユにファンが居ても、日比谷さんの為に戦うだけの理由がなくて、勢いがない。

 ……当の本人は、俯いて座り込んでいる。ふむ…、姿が有ったマナルンに近づき、こそこそ耳打ちする。


「マナルン、ちょーっと」

「どうしたの?るかちゃん」

「今から、日比谷さん(当人)に意思表示を聞くからどっちにしても、『3年の意見』っていう言い方で賛同してあげて」

「?どうして」

「え、なんとなく?」


 私も特に意味があるとは思わないけど。3年生が我関せずなら利用しようって話なだけだ。

 まだまだ、ヒートアップしてるミユミユ達を無視して、(何故か、男子に何してんだよって目で見られたが)日比谷さんに近づく。私に気づいたらしく、顔をあげると頬が濡れている。慌てて、ハンカチを貸したら、ありがとう…って。

 ーー弱ってる!

 あ、あの狐野郎。私を誘き出すためにやった事がとんだ大問題だぜ。もっと言ってやればよかった。そして、アディー、あとで泣かす。

 しかし、これでは戦意がなさそうだ。自分がどうしたいのかも言いづらいくらいに弱ってる。仕方ない。悪役は買っておこう。


「うん、…ごめんね。私のせいで」

「?秋月の」


 反応した。これで反応するって、私の事やっぱり嫌いなのかな。


「そうだよー。私がね」


 私が、どうなれば日比谷さんがやる気になるだろ。………あ、会長の名前を使えばいいか。


「会長のお宅に招かれてるんだけどー」


 嘘はついてない。招かれ方が問題だが。ピクピクと、耳が動く人だったんだ。日比谷さん。これは食いついてるよね。


「行くのを断ったら、今日ね。どーしても、ご家族のかたに会わせたかったらしくって」


 お狐様ってご家族なのかな?天久お父さんもいたな。そういえば、


「……お兄さんが『俊平さんの真似』をして、こちらに来たんだけど、私気づいちゃって」


 嘘だよー。頼み事したのお狐様らしいから。天久兄が最低になるけど、本人と遜色ない人間像だからいいか。そして、ここから私が最低になるのさー。はっはっはっ。今日は最低なことしかしてないからいっか。


「……でね、それを利用して」

「なに」


 声をさらに潜める。クスクス笑いながら、多分、頭があんまり回ってないから後からでも矛盾に気づいてくれたらいいなって、わりと運試し。

 考えながら喋ってるから私も穴があるなーって思うし。


「日比谷さん、私と勝負してたじゃない。あのまま、日比谷さんに連勝されてたら、私、勝負に負けちゃうから、天久お兄さんに『ご家族に会うけど、代わりに日比谷さんが次の競技に出れないようにしてください』っておねが」


 最後まで言い終わる前に頬をパシーンッて叩かれた。グーじゃなくて良かった痛いけどさ。


「あんた!最低だ!!」


 ふるふると震えながら、立ち上がり私を見下す日比谷さん。あー、元気になったけど、競技に出る気にさせなきゃ。


「うん。で、勝負は?」

「ーーそこで、見てろ!負け犬」


 猫目って言われるけど、犬は初めてだ。

 大股で自分の参加に反対している側に行き喧嘩腰の姉を止めて、必死に謝る日比谷さん。そしてマナルンが頼んだ通りに


「『3年の意見』だけどー、謝罪してるなら、参加させてあげて?」


 これで、誰か3年生が反対したら、ややこしくなるけどねー。

 必死に謝罪してる日比谷さんにほだされてくれたのか否定する意見は出なかった。うん、誰も好んで鬼になりたくないよね。

 反対派も日比谷さんの謝罪を受け入れざる得なくなり、リレーに日比谷さんが参加する事になった。あー、良かった。

 アディーを見たら、きょとんと目をぱちくりさせて。


「これは、失敗した?」

「これは、って他にどれだけ種を蒔いたの」

「えーと…今日は、たくさん!!」


 人いっぱいだから!って、アディー。


「実るの、待つ」


 今日中って訳じゃないと誇らしく胸を張るアディーはやっぱり、仕置きしよう。



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