お礼小説 1
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※家族+リンとのほのぼの
秋月ルカ。小学生五年生春。日曜日。
その日、秋月家において。
「お姉ちゃんー、今日は私がお昼ご飯作るね!」
事件が起きた。
………おーい。なんで死んだフリをするんだ。お父さん。
「る、ルカ…お父さんはちょっと…お腹の調子が……外に食べに行こう」
お父さんが起きてるのに寝言を言ってるー。
「ルカ、食べ物で遊んじゃダメなのよ」
お母さんが、何か私を諭している!?
「お、おねえちゃんのご飯、美味しくなかった?」
お姉ちゃん。なんで動揺してるのッ!?
いや、だって、もう小学五年だよ?私だって、そろそろ茶碗洗いだけじゃなくご飯を作るのを手伝うべきだ。生前はそれすらしなかったが、頑張って家族に貢献しようとしている娘に冷たくないか!?
「えーと…、ままごとしたいなら、リンくんが付き合ってくれるんじゃない?」
「お母さん、リン、もう中学生だよ!?」
そして、私は高学年だ。そんな事を二人でしていたら、怖いよ!いやそれ以上になんでリンにままごとを頼もうとするの?お母さんの中のリンのイメージが怖い。
それにしても何故だ。お昼を作るねって言ってるだけなのに皆否定的だ。一回も食事作った事ないじゃないかっ。失敗すらしてないのにこの反応はなんだ。ぐれんぞ!
「えーと…米は洗剤で洗うんじゃないから」
「研ぐっていっても砥石使っちゃダメよ」
「おねえちゃんのご飯、嫌い?」
……え?ボケろって前ふりですか。
なんだか、お姉ちゃんだけ理由がおかしい。私、いつお姉ちゃんのご飯が嫌いって言ったんだろ。お姉ちゃんの作ったご飯は世界一だよ。ご飯が楽しみで生きている!……あ、後、リンとお姉ちゃんの結婚式!!私は一緒に暮らすぞ。新婚生活のうふふーっを全部、ナメ尽くすように眺めるんだっ!!くふふんっ。楽しみーッ。きもちわるーっとか聞こえないもん。こ、この私に罵詈雑言したら、泣くくらいじゃ済まんぞ!ずーっとすがり付いて泣いてやるっ!!メンタル弱いんだからな。喧嘩を売る相手を間違わないでくれたまえ。
「皆を労ってあげたいから作るの!大丈夫、米くらい炊けるし」
「……ルカ、」
お父さんが優しい笑顔を向けて、私の肩に手を置いて一言。
「カップ麺の用意しておいていいか?」
はい、お父さん。正座!
「お母さん、お父さんに説教して!!」
「うん…でも、ルカ…」
お母さんが青い顔をして何故か、電話を持っている。
「救急車は119番で良いのよね?」
お母さん、自分が病院に行ったほうがいいくらい青い顔だよ?
「あ、じゃあ。ルカ、お姉ちゃんがナポリタンとスープ作るから、サラダ作ってね」
何故、名案を思い付いたように私からお昼を作る権利を奪おうとしてるの。お姉ちゃん。
「皆してひどい!私だってカレーくらいなら作れるもん」
「あーっ、カレーね」
「カレイ?買ってくる?」
「食べたかったの?夕飯はカレイの煮付けね」
ーーお父さんがそれなら大丈夫かって顔してるのにお母さんとお姉ちゃんだけ、ボケ続けている。……いや、本当は、チャーハンの予定だったのにカレーになった。……どうしてだ。
どうにか三人を説得し、お姉ちゃんが悲しそうに私を見ているのが気になる。
「……ルカが私から自立するつもりなんだ……」
「え?しないよ!お姉ちゃんがリンと結婚しても新婚家庭に居つく気だよ!?」
「ーーほんとっ!」
あ、何故か女神が眩しい笑顔を。それに比例してお父さんがガッカリした顔をしてる。
「……娘、二人の将来が不安だ」
なんか失礼な。
そして、お母さん。冷蔵庫をがさごそと、何してるの?
ニンジン、ジャガイモ、たまねぎ、鶏肉、カレールー…。
「はい。材料はこれね」
ーーお母さん。
「私だけの力で作るの!みんなキッチンに入っちゃダメ!!」
お母さんをぐいぐいっと背中を押して追い出す。がルーっと皆を威嚇する。
「これから、キッチンは一時間くらい私が籠城します!入らないでください」
「一人は危険じゃないかな」
「ゆ、指を切ったらすぐに呼ぶのよ。お母さん、すぐお医者様に」
「たまねぎの皮を剥きすぎちゃ駄目よ。白いところは食べれるんだよ」
ーーあれーっ。玉ねぎ切ってもいない段階で涙が。 ぷくーっとフグの真似をしながら、三人に背を向け、私はカレーを作るためにキッチンに立つ。ふ、…任せろ。この場で生前プラスαな頭をふる回転させ、最高のカレーを作って見せよう。
あ、オチです?
ご飯、炊き忘れたので、お父さんが回転するお寿司屋に連れてきてくれました。アボガド海老っておいしいねー。
「ルカは安上がりだねー」
お父さんったら、やだ誉めないで。
夕飯は、そのまま私が作ったカレーがお姉ちゃんが添えてくれたサラダと並んだ。リンもお隣から呼んで、一緒に食べることにした。ふふん、私、オリジナルとしてめんつゆとブロッコリーを入れてくれた。
美味しいおいしいとみんなが食べてくれている中で、リンだけが怪訝な顔をして。
「……皆さん、どうしたんですか?」
「……うん。あ、リン、味どう?」
微妙な顔をしたまま、一口食べてみるリンは、そのままの感想を口にした。
「カレーですね」
だよねー。
「特に肉で論戦とかしませんが、普通ですね」
うん。わかってる。みんなのテンションがおかしいんだよねー。
秋月ルカが、今日わかったこと。
料理が異常に美味しくなる補正も不味くなる補正も私にはなかったということ。
そして、リンも私の初めての手料理だとわかった瞬間、
「なんでしょう。普通で残念?」
何を期待したんだろう。




