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お礼小説 2

※なんらかのif、胸キュン

もしもリンが留学しなっかたら。



「ーー暑い。プールに行きますよ」



 不機嫌そうに隣の家から現れたリンに今日も図書館通いを始めようとした私はラチられた。ーー女にはそれなりの準備がーッと騒いだのに急げ。水着をつめろってこの人勝手だー。

「ーー悪魔に言われたのにっ!」

「悪魔より僕の言うことを聞きなさい。ほら、雲雀。さっさと水着、持ってきなさい」

 ーー暴君!

 みなさーん。暑さでイライラした暴君がここに君臨しています。……一人で行けと言ってやりたかったが、一人だとナンパされるもんね。私、暴君の護衛頑張るよ。お姉ちゃん!

「マルにも来れたら来なさいってメール」

「あいさーっ、お義兄様」

 もう、図書館についていたひばりんに無茶を言って一時間後でもいいから市営プールに来いと命令するリンは暑さに弱い。たまに頭が沸いてるんじゃと心配になるようにだれていたりする。

 迷惑極まりないが、仕方ない。身内以外に迷惑をかけてないし……あ、ひばりん、いまメッチャ迷惑かかってる!でも、リンに命令されたとき、何故か嬉しそうだった。ーーまさか、マ………ううん。ひばりんを信じてる。

「あーっ、ようやく生き返ります」

 なんだか、温泉に浸かったお年寄りみたいな事言ってる。

「リン、水着新しいの?」

「去年のですよ。買う気なかったですし」

「私も去年の!」

「……選んだの僕とマルだから知ってます」

 四点セット!と叫んだのにリンはほとんど無反応だ。……ビキニの上に短パンとキャミがついているタイプだ。ほとんど服だね!

「しかし、短パンはちょっと恥ずかしいね!」

「君の恥ずかしいの基準がときどき理解から外れます」

 浮き輪も借りてきてくれぷかぷかと浮く私の浮き輪をひょいっと掴み、引っ張りながら泳ぐリン。おお、楽しい。人も多い。それをかき分けてすいすいと……私、カエルになった気分!それにしても、ひばりん、来て迷子になってたら可愛そうだ。

「そろそろ、来そうな時間ですよね」

「うん」

「ちょっと、探してきますから。大人しくあそこの売店前にある椅子に座って待ってなさい」

「はーい」

 プールからあがり、大人しくを強調されながら、言われた通りに椅子に座る。うーん、家族連れが多い。は、あのお姉さんの水着、なかなかきわど…っ。あのお兄さん、腹筋が凄い。ピクピクしてる。うーん、二の腕に捕まってぶら下がってみたいってお願いしたらさせてくれるだろうか。

 あー、あの子…ピンクのワンピース型の水着の幼子よ。どうして一人なんだろ。あ、こっちにきた。

 かわいいねー。キョロキョロ、ご両親はどこですかー?

「ぅ………ひ、」

 あ、迷子か。

「えー、と…ふ、不審者じゃないよー」

 目の前で泣きそうになっている子に私、かなり頑張った。頑張って笑顔を振り撒いた。しかし、……ダメだった。

「ふえぇーっ」

 生前プラスαでも、子供への愛想は磨かれなかった。ーーど、どうしよう!

「ち、違うんだ。君、冷静に話し合おう。今、私と君の間にはだね。誤解が生じている。決して、怪しくない。いや、ちょっとあやしいかも…だが、害になる気はないんだ。このまま速やかに撤退するべきだろうが、泣いてる君を置いてどこかへ行くとなると、それはそれは社会的にも精神的にも懺悔せねば」

「落ち着きなさい。バカ」

 ふんわりと泣いてる幼子を抱き上げ、困ったお姉さんですねーと、リンが幼子をあやしている。……あ、泣き止んでるどころではなく、笑った。そうか、君。そんな幼子だというのに美形好きか。将来が心配だ。

 ひばりんがリンの後ろから、やあ!と笑いかけると、そっちにも笑いかける。……な、なんだ。この敗北感は。

「まったく、そのよく動く口が役にたつ日がいつ来るんですか」

「ーーいつか、きっと!」

「無理ですね。雲雀、僕はこの子を係員に預けてきますので。ルカをよろしくお願いします」

 バッサリ切り捨てて行きやがったー!

「ひばりん!私、悔しい!!」

「え?あ、……リンさん、行動がスマートだな」

「行動がスマートな人間は、人を脅してプールに来たりしないよ!くそ、リンよりいつか子供に好かれてみせる!勝負だ。ひばりん!!」

「え、俺も!?」

「そうだよ。ひばりんも子供に好かれるようになればと将来、役にたつよ」

 ……ひばりんが何故か赤くなってる。暑いもんねー。プールに入ろう。

 ぷかぷか浮き輪で浮いてたら、泳げないの?と失礼な事を聞いてくるひばりんに沈むのが得意だと言えば、浮き輪を外してひばりんが手を引いて泳ぐことになった。……そう、決して、泳ぎの練習ではない。ひばりんが誘導してくれるだけだ。

「ほら、そこでバタ足」

「ふあ」

「もっと、しっかり捕まっていいから」

 ひばりんの誘導にどうしても足のつかない不安定感に手まで動かしてしまった。

「秋月!?」

 暴れたせいで手が一瞬ひばりんから離れ、沈む私の身体を抱き上げるひばりん。ひばりんの腕の中で、礼を言おうと見上げた一瞬。呼吸が止まりそうになるちかっ。顔が近い!!慌てて離れようとしたがひばりんが離してくれない。な、なぜだ。やだ、ちょっと、半裸の異性にいつまでも抱き着いてたら死ぬ!!

「……何故でしょう。雲雀が手を引いてるのに溺れてるようにみえましたよ」

 リンの声にようやくひばりんが私を離してくれた。あーびっくり。リンが溜息を吐きあっぷあっぷぷと息継ぎをしている私を見ていたらしく、犬の方が安心してみてられるとー…どういう意味だ!?

「あの子はどうなりました?」

「親が係員に相談していたので、そのまま親元に。……離れるとき散々泣かれて困りましたけど」

 やだ。女泣かせ。

「ルカ、泳ぎの練習がしたいなら手伝いましょうか?」

「やだ。私は、泳げないんじゃないから」

「マルが溺れたとき助けに行かないつもりですか」

 ーーはっ!?確かに一緒に沈めるかもしれないがそばに行けない。うーん、うーん……。

「あ、の…」

「ん?どうしたの。ひばりん。」

「秋月さえ良かったら俺も、教えるし」

「ほんとっ!」

「あ、うん……」

 良かった。リンにさんざん嫌みを言われながらより、ひばりんの方が優しいに決まってるもんね。わーい。

「ルカ、言っておきますけど、僕も教えますよ」

 ゲッ。

「身体を絞りたがっていたようですし。ちょうど良いじゃないですか。未来のお義兄様がじっっっっっっくり、教えてあげますからね」

 にこーっと、微笑むリンに私は、ひゃいっとお返事を若干丁寧にした。

 お姉ちゃんも合流し、さんざん泳ぎを教え込まれた私は、この夏。クロールで25メートル泳げることになる。

「さんざん、教えたのに」

 人間、諦めが肝心だぞ。リン。



これからもよろしくお願いします。


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