表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/153

閑話 藤咲葵


 正直、おいしいネタの宝庫だった。


「おい、これ、◯◯議員じゃないか」

「うん、あ、これあの大物女優じゃないかな。へー、オシドリ夫婦で売ってるのにね」


 同級生の弟で警察の権力者の孫という以外、興味はなかったがこれは意外な才能だなと愛川美草を見直した。ただ、全部が少し、どうなんだろうという内容だけれどね。

 ホテルの一室を用意してもらい、遵とPCで中身の確認作業。


「くそ、あのアイドル意外と好きだったのに」

「清純派って、そう見える子をそうやって売りにだしてるだけで清純じゃないんじゃない」

「いるだろ。どっかには」

「いても真偽計れないって、諦めたら?」


 没収したカメラやヴォイスレコーダーには、逢引、売春の現場、生々しいキスシーンやそれ以上内容が大量に写っていた。


「『(じゅん)』、君のもあるよ」

「うるさい。『鶴』よぶんじゃねえよ。…くそ、この角度でばれないって、忍者か」

「才能って、こうやって開花するんだね。無駄に」


 とりあえず使えそうなのを遵と仕分けする。同級生の弟の件だからと父に処分は任せて貰ったが少し痛い目に合わせたくらいで反省しないのはわかりきっているので、一緒に来ていた親に連れて帰って貰った。恩を売っておくほうが得だという判断からだ。カメラを返せと騒がれたので、もちろん拒否しておいたが、まさか、俺のネタまであるとは。あの時、美草の盗撮を指摘してくれた秋月さんには感謝したい。

 それにしても、


「随分、ここ最近随分秋月さんの写真ばっかりになったね」

「げ、あのチビのかよ」


 なぜ、顔を顰めるんだろうか。確か、さっき『小鳥』とか言って絡んでいただろ。ガシガシと頭をかき、スーツのポケットから飴玉を出す。ちゅぱ…ま、いいや。


「いるか?」

「貰えるなら」


 素直にくれたのは良いが、そろそろ調べるのが面倒になってきた。


「愛川さんと一緒に居ることが多くなったから被写体にされてるんだね。盗撮っていう以外きわどいのはないし」

「盗撮が問題なんだろ」


 感覚がおかしくなっていたらしい。最近、あくどいことばかりしていたせいか、すっかりと常識的なことへの麻痺が始まったのだろうか。

 ノック音が響き、遵が対応すると天久が入ってきた。


「あ、」


 秋月さんは?と聞こうとしたらため息でさえぎられた。


「神取の娘らしい」


 しぃーんと辺りが静寂に満ちた。あれ、遠縁って。…ああ、そういって、天久達と距離を取るつもりとかかな?


「神取がそういった。遺伝子上はそうだと本人も認めた。姉は神取と血が繋がっていないらしい。とりあえず、遵。あれは予想以上に面倒な相手だ。諦めろ。むしろ、諦めてくれ」


 珍しいことに俺は目を丸くした。俊平が遵に頼み込んでいる。遵も驚いた顔をしたが、すぐにむっとした顔をする。


「そんなにもう調べ上げてたのかよ。なんで言わなかった」

「確信を持ったのは今日だ。今までは候補でしかなかった。遵が『花』だと言ったせいだ。悪いが、アレが神取の『花』に見えたのなら遵を眼科に連れて行く」


 俊平の真面目くさった物言いに吹いてしまう。確かにあの子が神取蓮の所の『花』ならクレームどころの話じゃない。


「~~っ、もういい。俊平には頼らないからな!」


 子供みたいなふて腐れ方をし、ベッドにダイブする遵に呆れたが、視線を盗撮された内容に戻す。

 今日の内容もあったが、ああ確かにこれはやばいと云うのもあった。あの天使と悪魔が突然現れた瞬間の映りがボケている。とりあえず、あれらのデータは全部消すと。


「本当に話していただけなんだな」


 後ろから覗き込んできた俊平に振り返れば、疑いの目を向ける天久にお前は父親かと口に出しそうになったが、飲み込む。耳元でぎゃんぎゃん騒がれたくない。


「上着の皺を見れば疑いたくもなるだろ」

「いやん、意外と妄想ひどいんじゃね。むっつり」


 反射的に返してしまった。まあ、後ろから殴りかかるほど、小者でもないからな。拳は握っていたがどうでもいい。

 あー、精神病みそうな写真ばっ……ゲッ。スクロールの手を止めてしまった。なんでもないことのように流せばいいのに。


「葵……」


 後ろから殺気を感じる。いや、だからお前は彼女の親か。久々に下の名前で呼ぶほど、怒気をまき散らすなよ。


「俺にはこれが、婦女子に対する暴行に見えるのだが?」

「必要なことだったんだけど」


 確かに口の中に無理やり指を突っ込んだけど。あ、意外とあの時の秋月さんの嫌がりようは癖になりそうだった気がする。もう一回くらいなんかしようかなー。なんて。


「おい、藤咲」

「はいはい」


 適当に俊平をあしらい、PCに向き直ると面白いモノが見つかった。


「天匙の生徒会長」

「なんだ」


 怪訝な顔をする俊平に俺は笑いかける。ああ、本当にもう一回くらい何かに巻き込んでみようかな。秋月さん。とんでもないおまけだ。さすがリンの義妹候補を好んで名乗るモノ好き。トラブルも大好きらしい。

「はい。例の事のデータ。必要だったろ。証拠が」

 怪訝そうにPCを覗き込む天久の顔がどんどん……俊平、顔が間抜けだぞ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ