21 ワルツ
(最近マオたんスキンシップあまり抵抗しなくなったな、結構甘えてくるようにもなったし。
でも、肉球パンチとかあれはあれで良かったよな。ちょっとさびしいかも…)
「…という訳で行ってきますのチューーーー」
「フギャー!」
ジタバタしてぽかぽかと肉球が飛んでくるが構わず、いやむしろ喜んでブチューとする。
抵抗はその内やんだので存分に堪能してから下ろす。
「じゃあ、行ってくるね」
扉を開けて声をかけると、ミャーと返事をした。
―――
「……行ったか」
人心地付いていると、窓をコツコツ叩く音がした。
見ると見慣れた猫物。
「姐さん…またですか?」
「すまないね。何だかんだ言って、あんたが一番適任なんだよ」
「まあ、良いですけど…」
「よろしく頼んだよ。対象は白にぶちの猫、名前はハマチ。これが写真ね」
写真を受け取り、準備を整える。
「それじゃあ、行ってきます」
「ああ、行ってらっしゃい。気を付けんだよ」
そして、いつものようにあの世界へと向かった。
―――
目覚めるとVRポッドに入ったあの日、あの時間からさほど時間は経っていなかった。
どうやら自分がログインした時点を基準に戻ってきたようだ。
すぐさま猫神の姐さんに相談に行くと、既に準備が整っていた。
実のところオレが向こうに行くことになったのは、姐さんと馬鹿のせいだったらしい。
やっぱり馬鹿の出禁解除は止めて置こう。
VR機器を使用した召喚だが、意識部分のみだったため気付くのに遅れたらしい。
他の世界に直接神が動くことは出来ないので、ちょうどゲームをやろうとしていたオレを見つけて証拠固めのためにと送り込んだという。
こちらの証言などにより4柱の神々は矯正施設へと送られた。
Lost Edenの制作会社の幹部がその四馬鹿だったのは後日談、奴らの代わりの神々や眷属がその後始末におわれている。
大きな不具合が見つかったためサービスを凍結すると発表された際、新は少し落ち込んでいた。
そして、次々に見つかる飛ばされた者たちを戻すため、オレも手伝いを余儀なくされている。
神でもないものが時空移動術を使えるのは貴重なのだと、神や眷属だと別世界にいくのに煩雑な手続きが要るので便利なのだという。
こちらにも色々と益があるので、無碍にも断れない。
こうして向こうとこちらをぐるぐると往復し続けている。
目の前には澄んだ空と長い道が続いていた。
「さて、行くか」




