侵略者
「あぁ、はいはい。なるほど、何となく理解した。」
「リビィ、彼女はなんて?」
リビィ達は今、大陸人と会話をしていた。
ずっとダンマリだった大陸人はメルに絆されて口を開き始めたのである。
予定通り、リビィはメルの通訳として隣で二人の中間役をしていた。
「名前はサラザランか。やっぱり大陸出身と………」
「サラザラン、お前は何でそんなに傷だらけで倒れていたんだ?」
「………………」
それに関してはダンマリのままだった。
まだ、こちらを信頼していない事が読めていた。正確にはリビィの事を信頼していなかった。
メル一人だったら話していたかもしれないが、言葉が分からないと会話ができないのでそんな事はない。
もしかしたら、メルと二人で話したいから。
話し始めたのではとリビィは思っている。
相変わらず、人たらしぷりである。
「サラザラン……」
「メル、もういい。」
「でも!」
メルからしたらサラザランは自分より遥か強者である。
そんなサラザランをここまで追い込む相手が攻めてきたらこの群れはただでは済まないと分かりきっていた。
だから、少しでも情報が欲しかった。
そんな必死訴えをリビィは止めた。
もう意味がなくなったからである。
「何かがこっちに来ている。速いな。」
「なにっ!」
リビィが向く視線の先にメルも音波を飛ばしてみると確かに何か三体ほどが飛んできている。
肉体からして強さはひしひしと感じ取れていた。
「っ!」
「おい!」
「俺たちも行くぞ。」
サラザランは急に起き上がると外に駆け出て行った。
焦るメルとは対照的にリビィは冷静に後を追った。
「ぐっ!」
「がはっ!」
外は死屍累々と言った状況だった。
羽の生えた人型種が同胞を虐殺していたのである。
サラザランは何か三体に抗議している様だが、三体は聞く耳を持たない感じだった。
「メル様!逃げて下さい!!この者たちの力は異常です!!」
「皆んな!」
メルの仲間達が傷つきながら子供を守っていた。
圧倒的な劣勢を感じた部下達はせめてメルだけは逃がそうとしていた。
まともに戦えているのはリビィの母やビレイなど古参の者達だけだった。
「マルク!」
「父さん!逃げっ!」
侵略者の凶刃がマルクの首目掛けて振り下ろされそうになっていた。
マルクは死を覚悟したが、死が一向に襲ってくる事はなかった。
「不味いな。」
「リビィ様!!」
侵略者の凶刃はリビィによって捕食されていた。
侵略者達はいきなり現れたリビィに驚き警戒して天高く距離を取った。
「マルク、メルのところまで下がって他のもの達手当てに回れ。」
「リビィ様!一人で戦うなんて危険です。ここはっ!」
マルクが一緒に闘うと訴えようとした時、リビィの目がチラッと見えた。
それだけでマルクは息を飲んだ。
いや、マルクだけじゃない。昔からリビィの事を知る者なら誰もが息を呑み急いで前線から下がって行った。
後ろにいたメルもこの時は珍しく空気を読んで今もなを侵略者に怒声を飛ばすサラザランを掴んで下がって行った。
今のリビィに関われば問答無用で喰われる。
「よくもここまで荒らしてくれたな。………いや、別に怒ってはいない。この世は弱肉強食だ。ただな……自分を絶対的な強者とでも思っているお前達を気に食わない。」
仲間の死は悲しい。
でも、それはコイツらが弱かったからだ。
強い奴らは今も生き残り息している。
だがな、命を無駄にする奴らを許す事だけは出来なかった。
「何よりお前達は美味そうだ。」
「「「っ!」」」
侵略者達は悪寒を感じていた。
まるで蛇に睨まれた蛙の様だった。
それを振り払う様に仲間の静止を無視して一人こっちに攻撃を仕掛けてきた。
「いただきます。」
「ギャァァァァァ!!!!腕がぁぁぁぁぁぁ!!!」
「う?あぁ、やっとお前達の言語に耳が慣れてきたか。」
さっきまでサラザランの言葉を聞いていたからかコイツらの悲鳴もよく聞こえると侵略者の腕を咀嚼しながら感じていた。
「ゴクン!やっぱり美味いし、それにコイツら神の眷属だな。言っていた通り力が増したな。」
神の眷属になるには二通りある。
一つは神から眷属の勧誘を受けてそのまま受託する方法であり、ほぼ100%がこの方法で神の眷属に昇華する。
リビィは知らないが、もう一つは大陸人では邪法と呼ばれている忌み嫌われている方法である。
「コイツ、神喰いかっ!」
「へぇ、大陸ではこの方法をそう呼ぶのか。」
「何でこんな魚類が、私達の言語を!」
神喰い
それは神の眷属を喰らい己が血肉にする事によってその身を神の眷属に近づけて神へと至る邪法である。
侵略者はメルが自分達の言語を話し始めた事を驚いていた。
「さぁ、食事を始めようじゃないか。」
「お前ら!!空だ!コイツは飛べない!!空から攻撃するぞ!!!」
「分かった!」
「了解!」
お喋りはお終いと食われた腕だった部分を押さえている侵略者を食おうとしたらリーダーだと思う奴に邪魔されて食いそびれて空に逃げられてしまった。
リビィとしては音波で攻撃しても良かったが、一度も試していなかったあの種になってもいいと思った。
「なっ!」
「ド、ドラゴン!!」
「この種になるのは初めてだけど案外使い勝手は良さそうだった。」
リビィがなったのはドラゴン。
正確に言ったらワイバーンである。
だが、その大きさは既にドラゴンと言っていい大きさになっていた。
この種はリビィが首を落として食ったワイバーンであり、そこからリビィによって進化した種だった。




