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外伝4

 私は集合時間より一時間前に駅前の噴水が一望できる喫茶店に来ている。しかし、私が来る前から奏音君が待っていた。まずはプラス一かな。

 三十分後――。瑞希ちゃんも噴水へやってきた。二人とも噴水のところに来たというのに、二人は噴水を挟んで待っている。そのため、お互い一向に気付かない! 何やってるのよ、あの二人!

 奏音くんは数分ごとに時計を見てるし、瑞希ちゃんはぼーっと空を見上げている。

 そして、集合時間から一時間たった。最初にしびれを切らしたのは私だ! どうして二人とも気付かないし、何の行動も起こさないの?

 携帯で奏音君に連絡を取る。

「もしもし?」

「もしもし。奏音君、何やってるの?」

 一時間以上前から待っててもこれでは何の意味もないよ!

「穂乃香ちゃんを待ってるに決まってるだろう!」

「奏音君、待ってるのはいいんだけど、もう少し周りに気を配ったら?」

 時計しか見てなかったら、来てもわからないじゃない!

「何の事を言っているんだ? とりあえず来てくれないかな?」

「だ~か~ら~、奏音君は後ろを見てよ!」

 奏音君は振り返って噴水を見る。

「後ろには噴水しかないぞ!」

 当たり前でしょう! あなたは噴水の前で待ってるんだから!

「そうじゃなくて、噴水の向こうを見てよ!」

 これでやっと奏音君は瑞希ちゃんに気付いたみたい!

「あれは……」

「気付いた? ずっと待ってたんだからね! 謝ってね!」

 それだけ伝えると、電話を切った。

 奏音君は電話が切れたのを確認すると、瑞希ちゃんのところに行って何かを言った。その一言で瑞希ちゃんの顔がさっきまでと打って変わり、笑顔になった。ん~、ここからじゃわからないよ。

 しばらく二人で話しているので、近くに寄ってみる。

「瑞希、誕生日って来週じゃなかったっけ?」

「えっ! そうだけど、覚えてたんだ……」

 えー! 忘れてたの? 奏音君、それはひどいよ!

「よし! じゃあ、ちょっと早いが瑞希の誕生日プレゼントを買いに行こう!」

 それは私もついていかないと!

 奏音君と瑞希ちゃんが歩き出したので、私もこっそりついていこうとすると肩を叩かれた。

「何ですか!」

 こんな街中で話しかけてくる人なんてろくな人ではない。第一印象が大事だからと、少し怒ったような顔をして振り返るとそこには周君がいた。

「しゅ、周君! なんでここに!」

 こんなところで周君に会うことになるとは思いもしなかった。家ではいつも周君の顔を見てるけど、外で見るとまた違った印象を受ける。

「別にいたっていいだろ! 穂乃香は奏音達を後をつけるのか?」

 周君の指をさした先には小さくなっていく奏音君達! 待って、見失っちゃう!

「ごめんね、周君! 今は忙しいから、また家に帰ったらね!」

「お前に付きまとわれる事の面倒くささは俺が一番知ってるからな。とりあえず、今日はやめてられよ」

 そう言うと周君は少し強引にごつごつした大きな手で、私の手を掴んで引っ張って行く。そんな~、ひどいよぉ、周君! 私の楽しみなのにぃ――。


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