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まる、さんかく、はーと  作者: 星野 ツキナ
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3/3

まる

ところでまったく話が変わるが、私はおそらくHSPというやつだと思う。日々の出来事の刺激にめっぽう弱い。いつのころからか定かではないが、人からの視線、批判、否定とにかく心に強く響きすぎる。

自分に自信がないのは、育てられ方の影響か、もともと持って生まれたものなのか。

不細工な顔立ち、長すぎる手足、低い声、自分のすべてが嫌いだった。先に触れたが、中学生くらいから始まった自分の指をかむ癖は大人になってもなかなか治まらなかった。何本かの指の節が赤くところどころ血が出ているような状態で、瓦割りの空手家みたいだった。みっともなくて人前に出せなかった。

主人と出会って結婚して長男が生まれても、次男が生まれてもまだその癖は健在だった。私のほかに同じ癖があるという人にいまだに出会ったことがない。いろいろと検索をしてみたが、口唇期の問題だかなんだかで、苛立ちからくる「爪かみ」「指しゃぶり」なんかと一緒のカテゴリーに分類されるようだ。

苛立ち?苛立ちか。それにしても長い長い苛立ちだ。私は当分この苛立ちと付き合っていくことになる。


 さて、人生半世紀も生きてくると、体のいろいろなところにガタが来るものらしい。私の場合はまず頭だった。普段から頭痛持ちでまるでラムネのように鎮痛薬を飲んでいた。その日は右の眼の奥が痛くて、目玉が押し出されるのかと思った。常備薬を倍量飲んでもまったく効かなかった。そういえば十数年前に髄膜炎を患った時もすごい頭痛だった。木槌で頭をがんがん殴られたようなとよくいうが、そんな感じか。そんなわけで入院したこともあり、その時のデータもあるだろうからと軽い気持ちで近所の脳神経外科に行った。


私のMRIの写真を見て、医師は言った。

「脳動脈瘤です。」

「は?」

「中脳動脈というところにあります。右です。」

「手術をおすすめしますが、どうしますか?コレが破裂するとクモ膜下出血になります」

自分の病名を告げられても、どこかほかの人の話のような気がして、頭が働かない。どんどん医師は話を進めていく。そもそも私は自分の感情を表すことが不得意である。この時は冷静に見えたらしい。

「大きさによっては手術をしないで経過を見る場合もある、手術をしなくてクモ膜下出血になる可能性はこのくらい。クモ膜下出血は場所によっては今ここで起こっても救命できるか、わからないです。どこでいつどんなタイミングで出血が起こるかもわかりません」

説明のマニュアルでもあるのか、絵や表を見せながら医師は淡々と話しを進めた。

「はあ。できたら短い入院で済むものが良いです。」

この時私はまず仕事のことを考えていた。お休み取れるかな。

「手術の方法はコイルを詰める方法とクリップで挟む方法があります。瘤の大きさや形、できた場所によってどちらが良いか決めます。来週造影CT撮りましょう。」

ぼんやりしているうちに検査の予約が済んだ。


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