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まる、さんかく、はーと  作者: 星野 ツキナ
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ha-to

長男を生んだ時は母乳指導の厳しい病院だったため生後、完全母乳だった。当時なんの知識もなかった私はそうするのが普通なんだろうと思っていた。ミルクを足して飲ませれば、もっと夜眠れたのになんて誰も教えてくれなかった。

そんな訳で、次男も母乳オンリーで頑張ろうと思った。しかし次男は生まれて2日目あたりはだらーんとやる気なく、あまり吸い付きも良くなかった。

小さな産院の看護師たちも

「あーお母さん、無理しなくてもミルク飲ませるから大丈夫ですよ」

なんて感じだった。

しかし、退院してから駿の母乳の飲みは素晴らしかった。一度育てているからなのか、それとも赤ちゃん返りを心配しすぎて紘一を優先していたからか、駿は寝てばかりいて手がかからなかった覚えがある。とにかくおっぱいさえ飲めればあとは寝ているような子だった。部屋の掃除をしていて、籠に乗せて高いところに置いたら、そのまましばらく存在を忘れてしまったこともあった。

 駿はやとという名前はちょっと聞くと「はーと♡」みたいで響きが可愛い。まったく偶然なのだが、同じ団地の同時期に生まれた近所の赤ちゃんの名前はそういえば「ダイヤ」だった。

当時夫は仕事が忙しく、今みたいに「イクメン」みたいな言葉も育児休暇を取る男性もいなかった。

夜中まで仕事をして朝早く出勤する夫にはほとんど会わなかった。

ある朝、紘一が夫を見て、びっくり仰天、人見知りして泣いたのが忘れられない。

2人の男の子を育てるのは本当に大変だった。

紘一はいつまでもトイレトレーニング、駿はずっとおっぱい。

紘一が泣いて、駿が泣いて。こっちも一緒に泣きたかった。

幼い頃から神経質で始終キーキー言っている紘一と、なんだか濁点の多い舌っ足らずなハスキーボイスの駿という兄弟だった。

 世の母はみんなそうなのか、母は次男の駿が可愛くて仕方なかった。

早生まれで何をするにも周りより遅く、おねしょばかりしていた駿、

参観日に大勢の母親たちが教室の後ろにいるのにいつもと変わらず、知らん顔して机の上に鉛筆を立てて遊んでいた駿、そういえばよく学校帰りに手をつないで桜並木を歩いたなあ。

 兄弟はあっという間に大きくなった。


その日何をしていたか、覚えていないがとにかく衝撃的なニュースだった。まさに青天の霹靂、寝耳に水というやつだ。

「駿さん、今日逮捕されました。」

本当に何かの間違いかと思った。そのあと何と説明されたか、まったく記憶にない。目の前が真っ暗になるというが、まさにそれだった。

夜になって我に返り、必死でネットを調べた

「家族が逮捕されたら」…そうだ、とにかく弁護士に相談だ。

普通に生活していたら弁護士なんかと縁はない。検索して一番最初にヒットした弁護士事務所に電話した。

事の次第の説明をしていて途中で情けなくなって涙があふれた。


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