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軍人、買い物をする

「さて、まずは買い物をしないとな」


 前回は殆ど準備もなしに出立したからな。

 味気ない携帯食や硬い床で寝るのはもうこりごりである。

 金はまだまだあるぞ。うん。


「それはいいが何を買うんだ? アレクセイ」

「携帯寝具、あと大量の水と食料は必須だな。他にも色々と欲しいものはある」


 俺の言葉にセシルは呆れた顔をしている。


「おいおい、アイテムボックスもないのにそんなに持っていけれるはずがないだろう。商人でも連れていくつもりか? だったら仲間を探すところから始めないと……」

「問題ない。『商人』のジョブならすでに持っている」


 そう言って俺はジョブを『商人』にセットする。


 アレクセイ=ガーランド

 レベル86

 ジョブ 商人

 力A

 防御B

 体力SS

 素早さB

 知力SSS

 精神S

 パッシヴスキル

 売買上手C アイテムボックスC


 アイテムボックスの空きは……うん、まだ結構入るな。


「まさか『商人』まで持っているとは……底が知れない男だよ。君は」

「隠していたわけではないんだがな」

「だが、ふむ……それなら問題あるまい。冒険者用品を取り扱っている店なら心当たりがある。そこへ行ってみよう」


 セシルに連れられ向かった先は、大きな建物だった。

 外には一山いくらの安い武具が置かれており、それだけでなく掃除道具や荷車など様々なものが置かれている。

 この雑多な感じ、ホームセンターみたいだな。もしくは大型スーパーとか。

 置かれていたカートを取り出し、押して歩く。


 中に入ると入口付近には水の入った大きな樽や革袋、干し肉などの携帯食が並んでいた。

 自前の携帯食はまだあるが、補充は出来ないし節約していきたいところである。

 水の入った皮袋を10個、干し肉を5枚、乾パンを少々カートの中に入れておく。

 これで数日分はあるな。あとは現地調達で十分だろう。火や水は魔術で出せるし。

 アイテムボックスがあるとはいえ、荷物は少ない方がいい。

 セシルも同様に、水と携帯食を幾つかカートに入れていた。


 次に向かったのは武器コーナーである。

 こちらはそれなりにお高いもののようだ。

 ちょっと見てみるか。

 俺はジョブに『魔術師』をセットし、鑑定で確かめてみる。


 アイアンソード(C)

 攻撃力54 耐久値50


 おっ、結構強いな。俺の買いだめしたロングソードは攻撃力20、耐久値10しかないぞ。

 多分外に置いてある奴と同じくらいだろう。

 ところで(C)ってなんだろうか。他のも触ってみたが、全てこれがついている。

 鑑定がBに上がったからその品質を見れるようになったという事だろうか。

 まぁ武器はとりあえずいいか。ロングソードがまだまだあるし。

 セシルは熱心に並べられている剣を比べ見ていた。


「なんだ、新しい武器を買うのか?」

「せっかくクラスアップしたからな。自分へのご褒美だ」


 嬉しそうに武器を見ている。

 自分へのご褒美って女子かよ。


「……ん」


 丁寧に並べられた剣の中から一本、妙な気配を感じたので鑑定で確かめてみる。


 アイアンソード(A)

 攻撃力82、耐久値70


 これだけ能力が違うな。やはりAだからか。

 同じ武器でも一本一本能力が違うという事か。


「セシル、買うならこれがいいと思うぞ」

「む、自分で選ばせろ」


 買い物を邪魔したからか、セシルは不機嫌そうな顔になる。


「へいへい、お好きにどうぞ。俺は自分の買い物を済ませるからよ」

「わかった。あとで落ち合おう」


 セシルと別れた俺は、野宿の為のテントや椅子を置いてあるコーナーへ足を踏み入れる。

 その片隅に、寝袋的な物が置かれているのを見つけた。

 あったあった。その中を色々と見比べて、一番大きなものを選んだ。

 中は起毛になっており、暖かそうだ。

 しかも足が出せるようになっており、いざという時はこのまま戦闘を行えるという事らしい。ウケる。

 テントは組むのが面倒そうだし止めておこう。折り畳み椅子はあってもいいか。

 コップも欲しいな。おっ、釣り竿もあるぞ。

 なんだか楽しくなってきた。


『これはまた……ずいぶん買いましたねアレクセイ』

『そうか?』


 そうかもしれない。カートの上には大量の買い物が積まれている。

 下着や衣類、財布にベルトや歯ブラシ、などの日用品も買っておいた。

 いい加減新しいのが欲しかったしな。

 カウンターへ持っていくと、店員が驚いていた。


「……以上で銀貨58枚と銅貨25枚となります。お客様は『商人』ですので割引させていただきまして……銀貨52枚と銅貨42枚となります。更に大量購入していただいたので、端数はおまけして銀貨52枚となります」

「ありがとう」


 俺は財布から金を取り出すと、代金を支払った。

 ふむふむ、商人だと割引してくれるようだな。

 えーと……一割くらいか。地味だが得したな。

 購入したものをアイテムボックスに全て突っ込むと、中に入っていたアイテムに気づいた。

 そういえば以前、色んな草をアイテムボックスに入れてたっけ。

 俺はそれを出すと、店員に見せた。


「この草って買い取って貰えるのかい?」

「むむ……カマロ草にハナススキ、ミナズキソウ、ゴボウギ草……すまないが殆ど買い取れませんね。ですが薬草に使える草もありますし、全部まとめて銀貨1枚なら買い取らせていただきますが」

「そうか、じゃあいいや」


 大した額にはならないのは残念だが、薬草になるというのはいい情報だ。

 つまり『僧侶』のスキル、薬品精製でポーションの材料にするのだろう。また採ってくるのも面倒くさいし、ここは売るのはやめておくか。あとで試しておこう。


「それならこっちはどうだ?」


 次に取り出したのはレアメダリオンだ。

 見た目的には貨幣っぽいが、この手のアイテムは高値で売れると相場が決まっている。

 店員はレアメダリオンを眺め、ふむと頷く。


「これは貴重なものだからウチでは買い取れないね。どこかの国ではとても価値があるらしいけど」

「そうか、ありがとう」


 どうやら買い取れないらしい。

 なるほど、貴重品枠だったか。こういうパターンもあるあるだ。

 ならばこれも売るわけにはいかないな。保管保管。

 俺がアイテムボックスを整理していると、ようやくセシルが来た。


「早いなアレクセイ、もう終わったのか?」

「お前が遅すぎだろ」


 女の買い物じゃあるまいし、どれだけ時間をかけてるんだか。

 ん、買ったのは俺が選んだアイアンソードのようである。

 あれだけ言っていたのに可愛い所もあるじゃないか。


「……なんだニヤニヤして」

「いーや、別に」


 セシルはむっとしながらも、購入したアイテムをずだ袋の中に入れた。

 ともあれ準備完了だ。

 待ってな美女の魔術師ちゃん。俺がしっかり調査してやるからな。

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