渚のコミケseason2
番外編2
「やっと着いたわ……秋葉原!」
車を走らせること2時間
私は秋葉原に到着した。
「んーーやっぱ都内は人多いなぁ。駐車場も高いし、早く買って帰らないと!」
気合いを入れ直し街に出る。
日本のアニメや漫画の情報や物が集結しているここ秋葉原。
いくらなんでもここなら冊子も残ってるはず!
学生が夏休みとあってか道には人が溢れかえっていた。
時間はお昼を過ぎた頃、夏の日差しが最も強くなるこの時間。
暑い日差しに当てられ通行人の顔にはどれも汗が滲んでいる。
あまりの厚さからか、スカートをパタパタと扇ぎながら歩いている人の多いこと…
「あー私もスカート履いてくればよかった……あっつぃ……」
そんなことを呟いているうちに目的の店に到着する。
「お願い!どうかこの店には残ってますように!」
店の中に入り冊子を探し始める。
が、ない。
「う、嘘でしょ?!て、店員さーん?!」
店員を呼び在庫を聞くが返ってきたのは先程と同じ言葉だった。
そんな……2時間かけてきたのに……
「あ、あのぉお客様?企業パンフレットならございますが…」
「…………一応ください」
同情した店員がくれた企業パンフレット。
往復四時間で得られたのはこのパンフレットのみだった。
意気消沈した私はとぼとぼと家に帰る。
家の玄関を開けると愛する夫がお出迎えしてくれた。
「あ、おかえり渚。ずいぶん買い物してたんだな?」
「………えぇ……そうね……」
「ん?どうかしたのか?」
「……なにもないわよ……えぇ、ほんと、何もなかったわよ………」
「え?ちょっ、渚ー?」
私はそんな夫の声を無視して自室へ入る。
ベッドに倒れ込み項垂れる私。
「……もっと早く響に許可貰っておくべきだったぁぁぁ……」
後悔、激しい後悔であった。
響に行っていいと言われた時、脳内で細密にイメージしたコミケの計画。その第一歩でつまずいてしまったのだった。
あぁ……初めから無理だったのか……もう子供も二人、大きくなってきた。
そんな歳になるのにコミケなんて参加してる場合じゃないと神様が言っているみたいだ…。
学生の頃は友達と………
「あっ」
そうだ。その手があった!
私は携帯を取り出し急いでかける。
数コール待つと「はい、もしもし?」と繋がった。
「もしもし?!私!渚だけど?!」
「おーーナギー!久しぶりじゃないどーしたの?」
「コミケ!」
「え?」
「コミケの!冊子!あまってない?!」
「え、ちょっとどーしたの急に電話してきたと思ったら…」
「売ってなかったのよ冊子カタログが!どこにも!」
電話をかけたのは学生の時仲の良かった山本蛍、通称ほっしゃん。
「お願いほっしゃん!冊子余ってたら売ってくれない?!もしくはほっしゃんのください!」
「あーごめん、地図作るので解体しちゃった…」
「うぇぇぇ…そんなぁ…」
「ご、ごめんってナギー。まさかナギーがコミケ来るなんて思わなかったし、冊子買えないとは…」
「私もまさかよ……完売するなんて想像もしてなかったんだから。」
「あはは…確にここ数年完売してるから私は早めに買ってるようにしてたんだけどさー。……あれ?ていうかさ」
「なによ?私は今コミケのカタログ無しでどうしようか思考中で……」
「Webカタログ……あるよね?」
「………え?」
Web……カタログ?なにそれ私知らない。
「あー…そっかナギーしばらくコミケ関わってなかったから知らないんだ。あのね、Web版のカタログがあるのよ。携帯でもPCでも使えるやつ。調べてみ?」
「そ、そんなものが……ありがと!ほっしゃん!」
「いえいえーあ、それとほっしゃんじゃなくて蛍んって呼ん――――」
ほっしゃんが何か言いかけていたが無視して電話を切る。
さっそくネットでWebカタログを検索する。
「きた………キタ━(゜∀゜)━!」
やった!やったわ!私はついにカタログにたどり着いた!
数年間離れていていつの間にかこんな便利な物が出来ていたなんて……!
さっそくチェックを……ッ?!
「か、課金?!どういうこと?!」
いざサークルを検索しようとしたら課金してくださいとのメッセージ。
そうよね……タダというわけにはいかないわよね…。
「ふっ。いいわ、受取りなさい電子マネーを。そして私はあなたを使い切って見せる!」
カタログを手に入れたことで私のテンションは再び燃え上がっていた。
「さぁて、私の好きだったサークルはっと……おぉ?!壁に配置されてるじゃない!!すごいわ!」
「ああっ!このサークル抽選漏れしちゃったのね……ん?!委託で新刊?!ふふっ!神は私を見てくれていたのね!」
「『既刊も持っていきます』っ?!こんなに発行してたのね……もう、全部チェックよ!」
火のついた私は止まることを知らない。
暴走した列車のごとく私はチェックを進めていくのであった
「ねぇパパ?ママの部屋からなんか声が聞こえるんだけど…」
「いいかい、蒼海ちゃん?ママはちょっとお歌の練習をしてるんだ。だから、そっとしといてあげよう?」
「そうなんだ!わかったぁ!」
「……………ねぇ、父さん?母さんもしかしてコミ――――」
「蒼空くんっ!……言わなくていい、蒼空くんはまだ知らなくていいんだ……知っちゃ、いけないんだ……」
「う、うん……」
僕も行ってみたかったんだけどなぁ、コミケ……
明後日には設営ですよ!設営!




