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渚のコミケseason1

外伝というかサブストーリーというか

これは1年ほど前の事

熱い女達の聖戦の物語


「お願い響!行かせて!」


「ダメに決まってるだろ?」


「そ、そんなぁ……」


8月が始まって間もない頃、私は響にきっぱりと断られていた。


「あのなぁ、もう学生じゃないんだぞ?蒼空くんや蒼海ちゃんだって居るのに…」


「だって!行きたいんだもん!それに2人にはバレないようにするからっ!」


「バレるとかバレないの問題じゃないだろ…」


響は呆れたような顔をしている。

昔ならここで挫けていたが今年は違う。


「どうしても!どうしても行きたいの!10年ぶりに出るのよ!」


「知らないよそんなの。10年ぶりだろうが20年ぶりだろうがダメなものはダメ」


「酷いっ!響は私が好きじゃないの?!」


「関係ないでしょそれ…」


「関係大ありよ!愛する妻が10年ぶりに楽しみにしてるイベントを行っちゃだめだなんて!」


「イベントって……そんなに行きたいの?えーっと……」


「コミケよ!!!!」


「うわぁっ…ちょっと、叫ばなくてもわかるって…」


「行きたいにきまってるでしょ?!」


「あーもう!わかったから落ち着けって!」


「え?!いいの?!」


「…………ひとつ聞くけど、何を買いに行くんだ?」


だらりと汗が落ちる。


「…………お、男の子の本よ?」


「……どんな、本なんだ?」


「あ、熱い友情で結ばれる系かなぁって……」


「男で熱い友情?女じゃなく?」


「えっと…女の人と男の人の熱い友情を描いた青春漫画かな…」


「ふぅーん………なぁ?本当か?」


「ほ、本当よ!」

嘘だった。


「なら、信じるぞ?………いつ行くんだ?」


「あ!えっと、8月の14から16まで!」


「え?!三日間も?!」


「そ、そうだけど?」


「いやいや……そんなに行く必要あるのか?」


「あるわよ!」


くわっと目を見開いて響につげる。どうやら響には1からコミケの説明をした方がいいのかもしれないわね……


「いい?コミケっていうのは日毎にジャンルが違って三日間毎日違う物が売られているの!それこそ何千ものサークルが血と汗と涙を流しながら作り出した結晶なの!それを1日限定なんて出来るわけないじゃない!」


「お、おう…」


「それに!サークルだけじゃなく参加者も一体となって作り上げるイベントなのよコミケは!三日間全日参加しなきゃ私のプライドが許さないわっ!」


「そ、そんなに言うなら別にいいけどさ……」


「ふぅ……わかってくれたようね響。ありがと!」


「はぁ、どういたしまして…。」


「それじゃあさっそく準備の買い出し行ってくるわね!」


そう言い残して私は着替え家を出る。

数年ぶりのコミケ……本気で挑まないと!


車を走らせ駅前までやってきた。お目当ては冊子カタログ。

行けるかどうかわからなかった為に今日まで買えなかったのだ。


駅前にはアニメグッズを取り扱うお店が数件並んでいて大抵のものは揃ってしまう。

このお店に来るのも久々だった。

高校生の頃はよく響を連れてやってきていた。

大学時代も同じように通っていて、結婚してからもそうだった。

蒼空くんが産まれたあたりから来なくなり、おおよそ10年ぶりだった。


店に入ると様々なアニメや漫画のグッズが並んでおり見ているだけでテンションが上がる。

久々だったので色々と目移りしてしまいそうになったが我慢。今日の目的は冊子カタログだ。

そして手に入れたらすぐに帰宅して買い物リストを作り上げなければいけない。非常に重要なミッション。


店内を物色し冊子を探す。


「………ない。」


ない、ない、ないっ!

毎年山のように置かれていた冊子が一冊もない!

ど、どういう事なの……


「て、店員さんっ!」


「はい?」


「さ、冊子!コミケの冊子カタログはどこに?!」


「大変申し訳ございません、冊子カタログですが先日完売いたしまして……」


「えぇぇ?!あんなに毎年山のように置かれていたのにぃ?!」


「はい…ここ数年は8月の一周目にはなくなってしまう傾向でして……申し訳ございませんが、当店ではもう…」


「そ、そうですか………わかりました……」


なんてこと。

私がコミケに参加していた頃は冊子が売り切れるなんて滅多になかったのに。

そういえば、確かテレビで来場者数が年々増加してるって話題になっていたような…。


私としたことがなんてことっ!

前情報を知っておきながらこんなミスをするなんて!


いや、待って、まだ慌てるような時じゃない。

駅前にはまだ数店ほかに店がある。さすがに全店完売なんてありえないわ…!



結果から言おう、完売してた。

油断した。

油断した油断した油断した油断した!私は油断していた!!

何店舗もあるからと鷹をくくっていた!


いけない、こんな事で取り乱してはいけない!

クールに、クールになるのよ渚!せっかく響が行っていいって許可してくれたのよ!

完璧にこなさなくては!


「……そうよ、あそこまで行けば!」


そう、なにも地元で完結させる必要なんてなかった。

私は車に乗り込みアクセスを踏み込みハンドルを切る。


目指すはアニメ女子の聖地、秋葉原。


「待ってなさい、必ず手に入れてやるんだから!そして、完璧な地図を作り上げてやるわっ!!」


車内で一人気合いを入れる。

カタログを手に入れ、自分だけの地図を作り上げるために。





「ねぇーパパー?ママどこいったの?」


「あ、そう言えば母さん居ないね。休みなのに珍しい。」


「………2人とも、母さんはな、ちょっとおかしくなる時期なんだ。今はちょっと買い物に行っているだけだけど、帰ってきたらしばらく近づかないようにするんだぞ?」


「ええ?!ママおかしくなっちゃったの?!大丈夫?!」


「と、父さんそれどういうこと?」


「いいんだ!2人はなにも心配しなくていい!パパが必ず母さんを元に戻してやるから!煩悩から救い出してみせるから!」


「ぼ、ぼんのー?パパ何言ってるの?」


「蒼海ちゃんにはまだ早かったかな…大丈夫、安心してていいから。とにかくママが帰ってきたら近づかないように、いいね?」


「はーい」


「……蒼空くんもだよ?いいね?」


「ボンノウ………イマノジキ………あっ……うん、わかったよ、父さん。」


「うん、わかってくれてよかった…」


「あ、と、父さん?」


「ん?なんだい?」


「………母さんって、そういうの好きだったんだね……」



「………よーし!美味しいご飯作っちゃうぞー!パパ!気合い入れてくぞー!」



車内で渚が叫んでいる頃、家では息子が母を察していたのであった。










コミケネタ書くなら多少パロんないとね!


コミケまであと4日!

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