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恋人関係とは


保健室で休んでから教室へ戻ると僕は初めて舞桜ちゃんに怒られた。


「ねぇ、蒼空くん?なんであんな格好でやろうとおもったの?」


「えっと…ば、バレないかなーって…」


「バレるに決まってるでしょ?蒼空くんが女子から注目されてるのは自分でもわかってるんじゃないの?」


「は、はい…うすうすは…」


「今日は私が気づいてどうにかなったからいいけど、これがもし違う女子だったらどうなってたかわかってる?」


「いや…そこまで騒がれることは…」


「………甘いよ蒼空くん。もっとちゃんと意識して?あのね、もしほかの子にバレてたら大騒ぎになってたよ?」


「そんなこと…」


「あるの。男の子のあんな状態みたらわたし達の年頃の女の子は大変なの。あのね、知識がない状態での興奮って危険なんだよ?」


「えっと……舞桜ちゃんは耐えられてたといいますか…」


「私は特別。大好きな人を襲うなんてしない。それに、私これでも勉強できるんだよ?そういう知識だってしっかり持ってるし自分の抱いてる感情がどんなものでどうするためのものか理解してる。……ほかの子がそういうの、考えられてると思う?」


全く思わなかった。

ほかの子達が特別幼いわけじゃない。舞桜ちゃんが大人過ぎるんだ。


「お、思わない…」


「でしょ?……これからはもっとそういうとこ、気をつけてね?」


「うん…」


「あとね…」


「うん?」


そういうと舞桜ちゃんはふっと耳元に近づいて呟いた。


「…私、独占欲が無いわけじゃないからね……?」


子供の声とは思えない艶かしさを出しながらそういった。

僕はというとドキドキして言葉を返せずただ頷くしかなかった。


ど、独占欲って…。



舞桜ちゃんに好きと言われてどれくらいたったのだろうか。

いくら小学生といえどその真剣な思いにいつまでもなあなあでいる訳にはいかない。

どんな形であれ近く答えを返さないとと思う。


そんな事を考えてふと気になったことがある。

この世界の男女の付き合いはどういったものなのだろうか?

夫婦というのは両親をみてなんとなく想像がつくけど恋人となると別だった。

テレビやニュースでもあまり情報が入ってこない。


前世ではテレビ番組なんかでカップルを成立させたり、男女の恋を見守るドラマなんかもあった。

シェアハウスまで写す番組もあったほどメディアでの取り上げは多かったのにこの世界ではそれがない。

ドラマはほとんどが女性のみで進行していく。男性役者も出るには出るが恋愛関係に発展するのはあまりない。

恋愛関係というより、性的な目で見て女性の主人公がニヤついたりしているといった感じ。

台詞も「あの男いい体してるわね……なんとかして抱けないかな…」とか、「昼間いたあの男…思い出すだけで…」など、性的な目でしか見ていない。

放送時間帯もゴールデンで子供が見ても大丈夫な時間なので大人向けというわけでもない。

さすがにこれを参考になんかできないし、そもそも男の僕からしたらよくわからないことだ。


僕がまだ小学生ということでまだ周りに付き合い出しているカップルなどもおらず参考にできない。

予備知識が入ってこないのだ。


入ってくる知識といえば、女性の性欲の強さとそれに晒される男の受難。


こんな知識ばかりで舞桜ちゃんに答えを出せるのだろうかと悩んでしまう。

まぁでも、なんとかやるしかない。しっかりとした答えを出すのが男としての礼儀だ。



翌週のお昼休み。

杉田くんと石川くんに連れられて僕は図書室へ来ていた。

ここ最近はこの三人でいることが増えた。

杉田くんも普通に僕と話してくれるし、笑っている。

生まれ変わって初めての同性の友達になってくれた。


「なぁ、ここだけの話、岡部とどうなんだよ?」


「え?舞桜ちゃん?」


図書室で本を読んでいると杉田くんが聞いてきた。


「あ、僕もそれ気になるな…野上くんと岡部さんのこと…」


「僕と舞桜ちゃん…えっと、なにか変だった?」


「変っていうか、岡部って野上のこと好きなんだろ?き、キスまでしてたし…」


「あ、あれ凄かったよね……僕、キスなんて初めて見たよ…」


杉田くんと石川くんはキスという単語に顔を赤らめていた。


「えっと…まぁ仲良くはしてると思うよ?舞桜ちゃん、僕に良くしてくれてるし。」


「つ、付き合ってんのか?!」


「いや…まだだけど…」


「ま、まだってことは付き合っちゃったりするの?!」


2人は段々と声が大きくなっていた。興味津々という感じ


「そこはまだ…あ、そうだ。2人に聞いてみたかったんだけどさ」


「ん?」

「なに?」


「付き合うって、どういう感じなの?」


僕の言葉を聞いて顔を見合わせる2人


「付き合うって…」

「そ、それは…」


顔が赤い。小学生には付き合うということも恥ずかしいと感じるのだろうか?


「……付き合うって、そりゃぁ…あれだよあれ…」

「う、うん……あれだよね、あれ…」


「え?あれってなに?」


「……だぁーっ!もう!あれっていったらエッチに決まってんだろ?!」

「わぁー!正人くん声大きいって!」


叫ぶ杉田くんを抑える石川くん。


「えっと…付き合う=エッチになっちゃうの?」


「の、野上お前よくそんな平然と…そ、そりゃぁ付き合うんだからそうなるだろ?」


「うーん……デートしたり、手をつないだりってのが普通じゃないの?」


僕は前世での初歩的な恋人関係を言ってみた。


「…はぁ?そんなことしたら女が我慢出来るわけないだろ?」

「そ、そうだよ野上くん…付き合ってる人にそ、そんなことされて我慢出来る女の子いないと思うよ…」


当然だろと言うように二人は言った。


「…つまり、我慢できなくなるからどの道エッチになるってこと?」


「お前また…いや、なんていうか、付き合うってそういう事貴方にしますよっていうようなものじゃん」

「うん…女の子のそういうの受け止めますよって男の子がOKだすのが付き合うって事だよ…?」


混乱してきた。

いや、前世でも確に付き合う=エッチするというのはあった。あるにはあったのだがそんな当然という形ではなかった。

中には健全なお付き合いをして結婚までそういう事は致しませんというカップルもいたのに対してこの世界のカップルは…


「あの……それじゃあ付き合ってるのにエッチしてない恋人なんてのは…ありえるの?」


「ないな」

「ないと思うよ」


即答だった。

そんなにも…そんなにもなのか、女性の性欲は。


つまり、お前はもう私の物だと言わんばかりに彼女が彼氏を貪ると。

彼氏もそれを承知で付き合っているということか。


「あっ!ねぇ?男の方から付き合ってっていう場合はあるの?なんだか話聞いてると、女の子を男の子が受け容れるかどうかしかなかったから…」


「……お前、大丈夫か?」

「の、野上くんしらないの…?」


「え?何を?」


「男は女に告白なんかするわけ無いじゃん。」

「こ、告白は女の子からだけだよ…」


「……え?」


「え、じゃなくて。男から告白なんて犯罪みたいなもんだぞ?」

「男の子が選ぶってのは…ダメなことなんだよ…」



あまりに理不尽な世界に僕の思考は追いつかなくなっていた




独占禁止法ですわ!

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