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再生

パパ目線


病室に入ると渚と岡部舞桜がいた。

何故?!

いや、理由なんてどうだっていい!今は渚をどうにかしないと!蒼空くんを思い出す前に!


そう判断し声をかけようとした。


「な、なぎっ―――」


「いや…いやぁぁぁぁぁっ!!」



絶叫。

病室内に絶叫がこだました。

遅かった。おそらく渚は思い出したのだろう。自分の子供の事を。


「渚っ!」

俺は渚にかけよる。

絶叫のあとへたり込んでいた渚を抱え起こすとその顔は憔悴していた。

いけないっ!そう思った。


このままではあの時と同じになってしまう。どうすればいい…何としても渚を引き寄せなければ。

なんでもいい…何か、何かないのか…


「ねぇ?蒼空くんのママ?いいの?そのまま逝っちゃって?蒼空くんには妹がいるんでしょ?」


蒼空くんのベットのとなりから声がした。岡部舞桜だ。この子が今言葉を放ったのか?


ありえない。にわかには信じられなかった。

なぜならその聞こえてきた言葉と声には恐ろしい程の冷たさがあった。

情の欠片もない冷たい言葉。それでいて渚を試すような言葉。


だが深く考えている暇はなかった。そうだ、あの時とは違う。

俺達にはもう一人愛する子供がいる。蒼空くんの妹である蒼海ちゃんが…


「…っ!そうだ渚!戻ってこい!蒼海ちゃんはどうする?!もう蒼空くんだけじゃないんだぞ!!!」

とにかく必死だった。今渚を正気に戻さないとダメだと感じていた。もう二度と元の渚に戻らないと…


「頼むよ渚っ!行くな!俺を、俺や子供達を幸せにするんだろっ!!」


「………ひ、響…」

渚から声がした。虚ろな目をしているがしっかりとこちらを見ている。


「渚?!大丈夫か?!渚っ!」


「私…なんで…忘れて…」


渚だ…渚が戻ってきた。

「いいから!今は喋るな!すぐに先生を呼ぶから!」


そうして俺はナースコールをおし先生を呼ぶ。

とりあえずは渚を休ませないと…。

大丈夫、渚は戻ってきたんだ。あの時とは違うんだ。

そう心に言い聞かせながら俺は渚を抱きしめ先生が来るのを待っていた。





先生が来たあと、事情を説明し渚を休ませてもらう。

記憶が戻ったこ衝撃で一時的に精神が不安定になったのだろうと説明された。


「先生、渚はまた記憶を忘れてしまうんでしょうか?」

俺は不安に思っていたことを聞いた。

本来こんな記憶の戻し方をしたかったわけじゃない。

できるなら蒼空くんが目覚めてから。元気な蒼空くんと一緒に記憶を戻してやるつもりだった。


「それは恐らく無いでしょう。今はベッドで休んでいますがしっかりと蒼空くんのことを認証していましたから。」


「それならいいんですが…」ほっとする。


「それより…何故あそこに野上さんの奥さんが?場所は知らせていなかった筈ですよね?」

先生に聞かれて俺もハッとする。

先程までは渚を何とかするので精一杯で考えられなかったが、どうして渚が病室にいたのか思いつかない。

誰かが連れてきた?いや、だとしたら何のために?

たまたま入って来たなんてことはまずありえないし………。


「いえ、俺にもさっぱり…確か病室に入ったら渚と――」

そうだ。女の子、岡部舞桜がいた。

そしてあの時の言葉を思い出す。


あの子は一体何なんだ?……何故蒼海ちゃんのことを知っていた?蒼空くんのことは知ってて当然だが蒼海ちゃんのことは話していないはず…。

それに、あの発せられた言葉の冷たさも異常だった。

おおよそあの年齢の子供が発する声じゃなかった。大人の女でもあそこまで冷たい声をだせるだろうか?


「…野上さん?なにか思い当たる節でも?」


「あっいえいえ、特にこれと言って…」

何故か俺は誤魔化してしまった。

このことを喋ってはいけないと、何かが俺を止めていた。


とにかく、あの子にあって話してみないと。

蒼空くんの病室へ俺は戻ることにした。あれから時間が経っておりあの子は帰ってしまっただろうが、蒼空くんのこともあり一度戻ることにした。



病室のドアを開ける。

病室のベッドには眠ったままの蒼空くんと、それに寄り添うように寝ている岡部舞桜がそこにはいた。




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