35話 天罰と諦め
「んぐっ…んん…」
「うるせぇなぁいつまでも泣いてるなよ」
私はパパに車に乗せられて住み慣れ始めていたあの暖かい家からどんどん離れていく。
私の頭の中では絶望に染まった秋羅さんの表情が駆け巡っていて、私の目から涙が止まらない。
「……なんで……来たの……」
私はパパに怒り、恨み、悲しみを込めてつぶやくように質問する。
「美穂のことが心配だったからだが?」
ほんとにムカつく……絶対うそなのにこの人のこういう発言には何故かホントが入ってる気がするからほんとにムカつく。
「うそでしょ!」
私はそんなパパの中にあるホントを否定したくて強い口調で言い放つ
「はいはい……そーだなー……その通り!w いやぁー美穂が亡くなってから家にお金が入らなくなっただろ!?そろそろ厳しくてなぁ……」
パパはいつもみたいにふざけた口調で話し始める。
「自分で働けばいいじゃん……」
私はずっとパパに思っていたことを吐き捨てる。
「そうだな……」
この時……パパの声のトーンがいつもより低くて、寂しげで、私は何故か怖くなった。
「まぁ!そこで!俺もビジネスを始めることにしたんだ!彩華…お前美穂によく似て美人で体型もいいよなぁ…それに若いし……まぁ〜ここまで言えば大体わかるよな?」
運転席のパパはニヤリと歪んだ笑みを浮かべながら車を走らせる。
このままだと…私の求めた幸せを得ることはできないのだろう……体を売って生きることになるのだろう……。
もう……ここから逃げるにはパパをどうにかするしか……。
私の心は邪な方向へと進み、パパの方へと手を伸ばすが、私の体はそこで止まる。
どうせ……もう……秋羅さんのところには戻れないんだから……何をしても無駄……。
きっとこれは秋羅さんたちを騙して、ママの場所を奪って、幸せになろうとした自分への天罰なんだ。
私は体の力を抜いて車の座席のクッションに力なく体を委ねた。
そんな時私のポッケの中のスマホがバイブレーションする。
「おっと!いけねぇ…助けを呼ばれちゃ困るからな!スマホはよこせ!預かっておく!」
私は通知の相手が秋羅さんなのではと思ってスマホを見るが、それがアプリの通知だということを確認して、諦めてスマホをパパに預ける。
「まぁ〜スマホないのは可哀想だから全部連絡先消したら返してやるから暗証番号教えろ!」
「…………0408……」
私はもうなんでもいい……パパに人生委ねよう、そう思ったらパスワードだってすんなり言えた。
「おいおい……誕生日がパスワードって女子大生としてどうなの?パパ心配だよ!」
「……うん……」
パパはいつものようにおどけるが、私はそれに返す気力すらなかった。
「よし!ついた!とりあえず!今日は家で泊まって明日!俺の顧客がお前を迎えに来るから!」
そう言われて、私はもう懐かしく感じるボロアパートの慣れ親しんだ部屋に入って行った。
一瞬パパの方をみたらパパは真剣な表情で私のスマホを見つめていたが、今の私にはどうでも良かった。
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明日、朝6時に36話を投稿します!36話も読んでいただけるとありがたいです。
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