32話 映画とプロポーズ
「……コクン……コクン……」
今日は金曜日でテレビで翔真が見たがっていたアニメ映画が地上波放送するとのことで彩華ちゃんと翔真と俺の3人はリビングのソファーに座り、ポップコーンを食べながら映画を見ていたが、翔真の眠気に限界が来たようで夢の世界へと船を漕ぎ始める。
「まぁーもう22時30分だし眠くなるよなぁ。」
さすがに日頃21時30分には少なくとも寝ている健康児の翔真には21時からの映画はキツかったようなので俺は翔真の体を抱え込もうとする。
「パパ……僕……まだ眠く……ない……」
翔真は俺の抱え込もうとする腕を力ない腕で拒否して最後の抵抗をする。
「はいはい……でも良い子は寝なきゃいけない時間だから寝に行こうなー」
「でも……映画があ……」
俺が翔真をなだめると翔真が映画まだ途中の映画に最後の力で縋る。
「大丈夫!この映画録画したから続きは明日見ようなぁー」
「パパも……彩華お姉ちゃんも…明日……一緒に見る?」
「あぁ一緒に見るよ」
「うん!一緒に見ようね!」
俺の提案に翔真は3人で明日続きを見たいと言ってくるので俺と彩華ちゃんがそれに了承すると、翔真は嬉しそうに微笑みを浮かべると夢の世界に自分の意識を落として行った。
「じゃあ…俺は翔真部屋に寝かしつけて来る」
「はーい!」
俺が翔真を寝かしつけてリビングに戻るとテレビはまだ映画を映し出していた。
「明日翔真と一緒に見るって約束したのにいいのか?」
「いやーここまで見たら最後まで見たくなっちゃってw」
俺が彩華ちゃんに尋ねると、彩華ちゃんはてへっと言う効果音が着くんじゃないかってくらいのイタズラがバレた子供のような笑みで返してくる。
「まぁ…見るのはいいけど明日は新鮮な反応してくれよ!」
そう言って俺は彩華ちゃんの隣に座って映画を見始める。
「できますかねぇ……まぁ!バレた時は秋羅さんも共犯ってことで!」
「はぁ……しょうがないなw」
彩華ちゃんが無邪気な笑顔で言ってくるので俺は小さなため息と一緒に同じ無邪気な笑みで返しながら了承する。
そんなこんなしてると映画は終盤になり、ヒロインに主人公がプロポーズをしてヒロインがそれに了承する。
「秋羅さんって美穂さんにプロポーズしたんですか?」
テレビに視線を送りながら彩華ちゃんが珍しく美穂の話題を出してくる。
「ブフォ…」
俺は彩華ちゃんの急な恥ずかしい質問に飲んでいたコーラを吹き出してしまう。
「何してるんですか!」
「いや!彩華ちゃんが急に変なこと聞くから!」
彩華ちゃんはそんな俺を見て笑いながら俺が好き出したコーラを拭き取ってくれる。
「変なことなんて聞いてないですよー!それで!なんてプロポーズしたんですか?」
彩華ちゃんは相当気になっているようでかなりの勢いで聞いてくるのでこれは逃げられないと思って俺は頭の後ろをかく。
「いや…それは……なんて言うか……俺が勢いで美穂を奥さんにしたいみたいなこと言っちゃって……そしたら美穂がいいよって」
俺は自分の頬が赤くなってるのを自覚しながら視線を逸らして言う。
「なんですかそれwでも!秋羅さんらしいですねw」
彩華ちゃんは俺に愛おしそうな笑顔を向けてくる。
その笑顔が……俺はよく知っていて……美穂が2人きりの時によくする……そんな笑顔に俺の口はどんどん動いていく。
「それで……俺は……急なことに聞き返して……そしたら……美穂が「私を吉田 秋羅さんのお嫁さんにしてください。」って言ってくれて……」
なんで俺は…今まで心の中に隠していたんだろう………美穂と出会った奇跡も美穂と育んだ愛情も……美穂を失ったこの傷も……
「じゃあ……今度秋羅さんがプロポーズする時は「俺を佐藤 彩華さんのお婿さんにしてください」ですかね?私!期待してますね!」
美穂を失った傷を思い出したことで俺を襲った痛みに俯いていた俺の顔と……心を覗き込むようにして彩華ちゃんが発したその慰めるでもなく、労うでもなく、寄り添うでもなく……ただ次の道を提示してくれるからかうような……でもすっごく優しくて……何より彩華ちゃんの強い意思が込められたそんな言葉と眩しい笑顔。
ダメだ……ダメなんだ……俺には美穂が……もう居なくて……でも俺の心の中には美穂が居て……その道に進んじゃダメなんだ……だけどもう俺の中に生まれてはいけない……一生美穂に捧げると決めていた……好きという感情が彩華ちゃんに芽生えてしまっていた。
「なんでそうなるんだよ!……なんで彩華ちゃんにプロポーズするんだよ!あと…そんな女側のプロポーズしないから!ちょっと俺も眠くなって来たからシャワー浴びてくる」
俺は否定の言葉を並べて逃げることしか出来なかった。
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明日、朝6時に33話を投稿します!33話も読んでいただけるとありがたいです。
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