12話 少女の料理
時間が流れるのは思ったより早いもので、彩華ちゃんが家に住み始めてからもう一週間が経って、なんとなく彩華ちゃんの生活スケジュールがわかってきて……俺、彩華ちゃん、翔真の家の中の役割分担ができてきた。
「はいはいはーい!彩ちゃん特製ハンバーグが通りますよ~お待ちのお客様は机を拭いてお待ちくださ~い!!」
「やったー!ハンバーグだぁ~!!」
翔真の舌は年相応なため、ハンバーグというキラーワードに目を輝かせて机を拭き始める。
俺は机に広げていた持ち帰り仕事を畳んで翔真が絞った水の滴る雑巾から非難させる。
持ち帰り仕事をビジネスバックに詰め終わるとリビングから乾いた台拭きをとって濡れたテーブルを乾拭きする。
俺が乾拭きをし終わったタイミングを見計らったようにリビング内をいい香りが充満し、彩華ちゃんがニコニコ笑顔で皿に盛りつけられたハンバーグを2人が待ち構えるテーブルへと運んでくる。
「うわぁ~~おいしそぉ~!!」
翔真は皿の上で輝く光沢のあるデミグラスハンバーグに目を輝かせている。
「でしょ~!自信作だからねぇ~!」
「彩お姉ちゃん毎回それ言う~!!」
翔真と彩華ちゃんが何度見たかわからないやり取りをしているのを俺は和やかな視線で見ていた。
「いただきまぁ~す!!」
翔真は彩華ちゃんが席に着いた瞬間を見計らって手を合わせるとすぐに小さな口でパクパクとハンバーグを食べ始める。
「おいしぃ~~~!!!」
翔真は鯉かのようにパクパクしていた口を止め、張り裂けるかのように感想を言う。
「あのね!なんでかわからないけどね!彩お姉ちゃんの料理ってママの料理に似てる気がする!」
「あはは……そんな偶然あるんだぁ~でもでも!っていうことは私の料理は翔真くんのお袋の味ってことでしょ!!ってことは!翔真くんは私をママって認めてくれたのかな~」
「ち!違うもん!……ママの料理のほうがおいしかったもん!」
「なにを~!!そんなこと言う翔真くんにはもう料理作ってあげな~い」
「え……いやぁ……」
彩華ちゃんの言葉を聞いた翔真は目元に涙を浮かべる。
「嘘嘘嘘嘘!!これからもたーーくさん作っていずれ翔真くんにママの料理よりおいしいって言わせて見せるね!」
「それは……言わない」
「え~!!翔真くんのいじわる~」
そんな穏やかな日常を感じながら俺も彩華のハンバーグを口に入れる。
「……やっぱ似てるな……」
さっき翔真が言った通りで俺が思うにも彩華の料理の味は美穂の味に似ている。
「そんなに似てるんですか?」
「うん……めちゃくちゃ似てる……」
「秋羅さん最初に私の料理食べたとき泣いてましたしね!」
彩華ちゃんはニヤァ~とした顔で俺の顔を除きこむ。
「そのことは忘れてくれ!」
俺はのぞき込んでくる彩華ちゃんの視線から逃げるようにそっぽを向く。
「パパカレー食べながら沢山涙流してたもんねぇ~」
そっぽを向いた先には彩華ちゃんによく似たにんやり顔をしている翔真がいて俺をからかってくる。
「はははは!!まるで2人姉弟みたいだなw」
俺は2人の様子があまり似ていたことでいじられていることによる怒りよりもおかしさが勝ってしまい笑う。
俺の言葉に2人は顔を合わせて数秒見つめ合う。
「翔真くん!私たち似てるって!よかったねぇ!!」
「パパの目は節穴!絶対似てない!」
「ははははは!!」
相違する2人の意見が息ぴったりで俺の笑い声はより一層勢いをました。
お読みいただきありがとうございます!!
明日、朝6時に13話を投稿します!13話も読んでいただけるとありがたいです。
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