第1章 子(ね) 窮鼠猫を噛む
さてさて、一番手は一体、誰になるのやら。
01
「ギャアアアアアァァァ~~~~ッ!!!!! 」
ものすごい断末魔であった・・・・・・・・・・・・。
02
・・・・・・レースはもう、終盤にさしかかっていた。
ここは世界で一番高い、高層ビルである。
この、世界で一番高いビルをのぼれば、お釈迦様がいるゴールへと辿り着くのだ。
私は鼠。
とても小さなちっぽけな鼠である。
紆余曲折、艱難辛苦を乗り越えて私はついに、このビルの屋上まで一番乗りで到達した。
この、あまりのビルの高さに身がすくみ、私はまるで『猫の前の鼠』状態となった。
だがしかし私は更に、ビルの屋上にある階段をのぼって行った。
・・・・・・すると、すぐ後ろから猫が後を追いかけて来た。
「逃がさんぞ~! このただの鼠小僧めが!!! 」
その猫のとても恐ろしい形相に私は背筋が、ゾッとした。
本当に猫の前の鼠となってしまった。
猫は何代にもわたって怨みを忘れないほど執念深い。
「ああ!! おそろしい! 」
すると猫は有無をいわさず、襲ってきた。
私は必死になって猫の爪の攻撃を避けた。
「なにも、襲ってくる事はないじゃんか!!! 」
「チューチューうるさい!! 黙れ鼠小僧!!!! 」
「ああっ!! 猫の手も借りたいよ~~~っ!! (涙)」
しかし私は意を決して、『猫の額の物を鼠が窺う』気持ちで、『鼠も虎の如し』の気持ちで勇気を振り絞り、素早く猫の後ろに回りこんで猫の尻尾を、おもいっきり噛んだ。
03
「ギャアアアアアァァァ~~~~ッ!!!!! 」
ものすごい断末魔であった・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・猫は、摩天楼の遥か彼方奈落に落ちていった・・・・・・・・・・・・。
結果。
猫、脱落。
私が、この鼠の私がこの干支十二支レースの一番乗りで、お釈迦様のもとに辿り着いた。
『猫が肥えれば鰹節が痩せる』ならぬ、
『鼠が越えれば猫が痩せる』となった。
『鼠の嫁入り』である。
こうして猫は、干支十二支から消え去った。
そして私は、干支十二支の筆頭となった。
窮鼠猫を噛むなりけり。
第1章 【終】
第2章 丑へとつづく。




