表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/54

第23話「お食事処」

 スーパー銭湯。

 日本各地に平成中期ごろに猛烈に増加し始めた新しいスタイルの銭湯である。


 もとより、日本各地にはお風呂だけを提供する銭湯が各地にあったわけだが、家庭に風呂があるのが普通になってきた昨今において、銭湯業界は大幅な改定を強いられることとなった。


 それが、この銭湯革命であーる!


 日本各地で人気のある温泉をイメージしたスーパー銭湯であるが、館内には大浴場だけでなくサウナ、露天風呂──そして、各種お風呂を他種揃えることで、人気を博し、また似たような形式の健康ランドよりもさらに安価な価格帯に据えたことで日本中に爆発的に増えることとなった。


 ちなみに、一時期は24時間営業をするスーパー銭湯も多かったのだが、需要の変化などにより、それも順次縮小されていき、令和に入った今では、このお風呂とサウナ──そして、各種休憩室を備えるというスタイルで落ち着くことになったとかなんとか……。


 というわけで、はい!



  ドドーン!



「見てくださいよ、これ──」

「「「「お、おぉー」」」」


 まずはドミトリさん達に自慢を兼ねて、ポイントを使ってさっそく増築したのがここ(・・)

 各種休憩施設の一つ、


 『お食事処』であーる!


「な、なんだいこれは?」

 見ての通りでーす!

「酒のいい匂いがするぜ」

「おい! こっちのガラス容器に飯が入ってるぞ!」


  わーわーわー!


「それは食品サンプルだから食べれないよー」


 ……つーか、お前ら双子は、すーぐ触ろうとするよな。ええけどさー。

 涎をたらさんばかりに食品サンプルに顔をくっつけて凝視している双子にチョップをいれつつ、食券コーナーに案内する。


「ナガセさん、ここってもしかして──」

「うん。食堂…………みたいなとこだよ。サンプル見て、気に入ったのがあったら番号を指定してねー」


 ──今日は私の奢り!


「番号?」「おぉ、これか!」


 文字の読めない人にもわかりやすく、食品サンプルに下にはちゃ~んと数字が振ってあるのだ。

 近頃はスパ銭は外国の人にも人気だっていうからね。その辺しっかりしてるみたい。


「こら! お前らは調子にのんなっての。……ナガセぇ、悪いからアタシらも半分は出すよ。捕虜たちの分はアンタが出したんだろ?」

「え、あーまー……」


 すでに食堂でズルズルと麺をすする女性の捕虜に、

 あちあちと舌を出しながらもハフハフとカレーを頬ばる捕らわれていた子供たち。

 そして、ビールと肉じゃがに感涙している男の捕虜の皆さんをみて、私は頬をポリポリ。


 ──たはは、見透かされてるなー。


 ちなみに、男のひとは商人やら傭兵やらが多いので、

 早速なにやら目をギラギラさせているけど、それはとりあえず置いといて……。


「なら、ほらっ! たまにはアタシらにも奢らしておくれ。借りばっかりで尻がムズムズすんのさ。……ささッ、アンタも食べたいの言いな──こっちが出すから」

「じゃーお言葉に甘えて……」


 ここは、男前のドミトリさん好意に甘えておこう。


(え~っと、なんにしようかなー?)


 食品サンプルには、おいしそうな料理がずらり!!


  定食、一品もの、

  洋食に中華に麺類──……。


「……あ、これにしよ!」


 カチッ、

  ビー♪


「ふーん? なんだいそれは」

 食券。

 そして、注文したのはこれ!

「かき揚げ蕎麦です! おススメですよー」


 えへへ。

 私、かき揚げ大好き。これが蕎麦の汁を吸うとまた美味いんだー!


 そして、食券を買うと同時に、厨房の奥から配膳ロボットがコミカルな音楽とともにガタゴトと食事を運んできたので、受け取って席に着く。

 ……作るの早くて助かる~。


「あ、じゃー俺もそれ!」

「俺はこの卵とライスのやつ!」


 はいはい。

 蕎麦とオムライスねー。


「僕は、これとこれとこれ!」


 おぉー。

 ミルヒ君はビールと枝豆と冷奴ね……って、通だなおい!


「んじゃ、私はこれにしよっかねー」


 ドミトリさんは豪快に海鮮ドンブリの大盛だ。


 すげー。

 色々デッカイ人は、食べるのもデッカイね!


 ちなみにここも異世界通貨対応。

 海鮮ドンブリで銅貨15枚なり~。


「あ、皆お酒は?」

「「「ビールぅぅ!」」」


 ですよねー。


 風呂上がりの一杯はた~まらないんだ。

 追加でビールを購入っと。


「──で、これをどうすんの?」

「あ、食券だけもってきてください。そんで、こっち座って座って──。待ってたら、ほら来たー」


 小上がり(・・・・)に座るとほどなくして、来た来た……。



  デケデンデンデン~♪

   デケケケデンデンッ♪



「おわー! な、なんだいこいつは!」

「ゴ、ゴブリンか?!」「むぉ! 飯もってやがる!」


 いやいや、剣を抜くなし!

 弓も槍も仕舞えーい!!


「ただのロボットですよー」


 さっきも私のかきあげ蕎麦を持ってきてたじゃ~ん!


「ロ、ロボットぉ?……ゴーレムの一種でしょうか? しかし、配膳のためだけにこれはすごいですね……」


 なにやらムムムと、興味深そうに配膳ロボットを遠巻きに凝視しているミルヒ君なんだけど──。

 ゴーレム?


「いや、ロボットですけど──。……ま、なんでもいいですよ。それより、はい。それぞれの注文の品を受け取ったら、そこのスイッチ押してー」


 くるっ! と、皆の前で向きを変えた配膳ロボ。

 そこには伝票のほか、ホカホカのご飯に、キンキンッに冷えたおビールぅ!


「こ、これを貰っていいのかい?」

「ガブッ! と来ないよな?」「つーか、どうやって動いてんだ?」


 知らん、電力じゃない?

 あと、ガブッとは来ない。…………来ないよね?


『こないよー♪』


 こないらしい。

 つーか、喋るのかコイツ……。


「──で、これを押すんですね」

「そーそー。ぽちっとやっちゃって」


 ポチっとなー。


 恐る恐るそれぞれの品を受け取ったあと、ミルヒ君が背面のスイッチを押す。

 すると、配膳ロボット来るっと向きを変える!

『ごゆっくりどうぞー♪』

「「「ひぇ!」」」

「コ、コイツ、動くぞ!」


 いや、そら動くがな。


 今も動いとったやんけ、抱き着いてビビりまくってるドミトリさん&双子は置いといて、ミルヒ君もそんなに警戒するなよー。

 そして、配膳ロボは来た時と同じように、コミカルな音とともに去っていく。


「「「「…………どこに?」」」」

「え? どこだろ?」


 チラッ。


 スーっと滑るように動く配膳ロボは何事もなく奥へ。

 いや、そりゃ、奥も奥。

 厨房の奥なんだろうけど──あの先がどうなっているのかは知らない。


(な、なんか、暗いし怖いし、触れないでおこーっと)


 ……世の中知らなくてもいいことはあるのだー。


「ま、そういうことで食べましょうよ」

「「「「ほえー……」」」」


 あはは、皆同じ顔してる。


「ささっ、冷めないうちにどーぞ」


 海鮮丼とか、枝豆は知らんけど。

 オムライスとか蕎麦は熱いうちにね。──配膳ロボットに驚いてる場合じゃないよ!


「あ、あぁそうだな」

「おう、うまそーだ」「これってどーやって食うんだ?」


 二本の手があるやろがい。


「お箸がこっちにありますよー、はい」


 ミルヒ君はさすが大人。

 箸入れから全員に配れる、できた人だわ。


「ささっ。今回食べるのは本格的な和食だよー。絶対おいしいから食べて食べてー」


 コンビニもおいしいけど、

 ちゃんとした食堂のは一味違うよー。


「そ、そうだね。いただこうか」

「姐御、ビールとってください」「これお代わりどーすんだ?」


 そして、双子は慣れるのはえーな。

 ……いいけどさ。


 私も麺類だし、早めに食べちゃおーっと。


「いっただっきまーす」

「「「「いただきます!」」」」


 箸をつけた私に釣られてドミトリさんたちも、早速割りばしに、フォークにスプーンにと手にすると──パクりっ!



  ッッ!!



「んー! かき揚げがお出しを吸ってさいこー!」


 触感もサクサクのジャックリ♪ って感じ!

 皆はどうどう?


「う、うまい! 魚が生で新鮮だね!」


 でしょー!

 ドミトリさんって、生魚いけるんだ。なんかファンタジー世界の人はみんなダメかと思ってた。


「ズゾゾーーー! うん、うん!!」「なんだこれ、卵がふわっふわだー!」


 でしょうでしょう!

 だけど、双子は食べる音がうっさいなー。喜んでくれるのはいいんだけどー。


「ミルヒ君は──」

「……っかー! 酒がうめぇ!」ダーン!!


 おーう。

 一番馴染んどる。


「……ミルヒ君。YOUは、ご飯はいいの~?」


 小さい体でビールのひげを生やしちゃってまぁー。

 つーか、その体格でお酒飲んでるから、違和感しかないわー。


「いやいや、僕にはこれで十分。あと、暑いお風呂のあとはやっぱりこれかと思いましてー」

 そういや勧める前に頼んでたね。

 しかも、枝豆に冷奴って……。

「ホントに通だねー」


 君、マジで異世界人?

 中身日本人だったりしない?


 そして、食を進めているうちに、捕虜の人たちも慣れて来たのか、次々に追加メニューを頼んでいる。


 ……お金?


 まぁ、おごりということで──今日の所はね。


 あ、もちろん、あとで請求しますよ!

 当然じゃないっすか。さすがに追加メニューまでは面倒見切れないね。ナガセさん無法図に金だけ配るような真似はしないのだー。


「しっかし、飯も美味いし、風呂も最高──まさに天国じゃないかい、ここは!」

「それは同感でーす」


 しかも、それだけではない。

 今回は、た~っぷり、ポイントを入手できたので、せっかくなので、追加でオプションを購入させてもらいました。


 えへへ、これこれ。



  ブーン……。



 ◇ ◇ ◇


ジョブ:【ガソリンスタンド】

能 力:任意(一定条件あり)の場所にガソリンスタンドを召喚できる。

    また、Lvに応じて召喚するスタンドが進化。


Lv1→田舎のガソリンスタンド(仮眠室付き)

Lv2→地方のガソリンスタンド(コンビニ付き)

Lv3→県道沿いのガソリンスタンド(スーパー銭湯付き)



Lv3『購入オプション』

    Wifi   :購入済み

    上下水道   :購入済み

    ガス     :購入済み

    自販機(※) : 10ポイント

    車検セット  :100ポイント

    自動車保険  :100ポイント

    商用車(※) :300ポイント

    ATM    :100ポイント

    おでん    :購入済み

    中華まん   :購入済み

    フライヤー  :購入済み

    コーヒー販売 :購入済み

    物産展    : 50ポイント

    漫画コーナー :購入済み ←これとか

    マッサージ機 :購入済み ←これとか

    垢すり    :100ポイント

    岩盤浴    :購入済み ←これとか

    食事処    :購入済み ←これとかー

    ゲームコーナー:購入済み ←これもね♪


(次)

Lv4→都市郊外のガソリンスタンド(MEGAモール付き)


備考:(※)表記はカタログあり。


 ◇ ◇ ◇



 いぇーい!


 どうどう?

 見ての通り、『漫画コーナー』『マッサージ機』『岩盤浴』そして、現在絶賛利用中の『食事所』を超追加しましたー!

 かわったところでは『ゲームコーナー』まであったぞ。


 そして、それぞれが追加したとたんに、ドーン! と一気に施設に拡張される。

 するとその瞬間を見ていた食事を終えたばかりのドミトリさん達がやっぱり同じ顔をする。


「「「「ほぇー……」」」」


 あはっ。

 まさに茫然。


 この顔をみるためにやってますなー。


「はー……。こりゃ、すげーわ」

「ナガセさん、あれ(・・)使っていいですかー?」


「どーぞぉ」


 茫然としているドミトリさんを尻目に、

 ミルヒ君はビール瓶を片手に、増設されたマッサージ器に直行。


 ……教えてないのに、さっそく使い方をマスターすると、「お゛っお゛お゛ッお゛ッお゛お゛お゛ー♡」とか、BL好きが喜びそうな怪しい声を上げてブルブル震え始めた。


 ……いや、馴染みすぎー!!

 見た目子供なのに、オッサンだというのはマヂらしい。ホビットなんだっけ、彼?


「いいなー。俺もやろうかな?」

「あ、俺、垢すりやりたいかもー」


 いいねいいねー。


「好きに楽しんでくださーい」


 あ、でも、お金は自分で払ってもらうけどね。

 そして、私に金を落とすがいいー。


(……よし、私もあとで、漫画コーナーにいこーっと)


 皆が全力で楽しんでいるのをみたら、ね。

 新刊もあるっぽいし──って、あいだー!!


「な、なに?!」

 なんなの?

「あ、あはははっ。いやー、分かってたけど、とんでもない奴だったんだな、アンタ!」


 バシンバシン!


 痛い痛い!

 なんですかー?


「いや、気にいった! アンタのことマジで気にいったよ!」

「い、いやーそれほどでもー」


 ドミトリさんにしばかれつつ、私もびっくりしている。

 正直、まさかガソスタにこんな能力があるなんてね──。


 ……しかし。

 なんだろね? な~んか忘れてるような──────バーン!!





「な、なんだここはぁっぁああ!? おい、ドミトリはいるかーーー!」





「「あ、ギルマスだー」」




 そうだった。

 ここ占領したオークの城塞だったわ。





 そうして、こうして、全員が温泉につかって、飯を食べて「あ゛あ゛ー」と締まりのない声を出しているところに、ようやくやってきた本隊が突入して来たのであったー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ