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プロローグ 再会の日を夢見て……

 幼いころ、テレビで放送されていたヒーロー物の番組を見るのが好きだった。

 弱きを助け強きを挫く。襲い来る怪人から街の人たちを守る。

 そんな場面を見るとそのたびに目を輝かせ、真似してヒーローと同じ台詞を叫んだものだ。

 現実で何かが変わったわけでもないのに、同じ場面で戦って勝利を掴んだような誇らしさを感じていた。

 そしてヒーローという存在は街の人たちと同じように、きっと自分たちも助けてくれるのだろうと。


 けれど、いつからだったろう。

 俺がヒーローを信じられなくなったのは。


『ロイド。強い子になりなさい。どんな悪いものからも妹を守れるような優しくて強いお兄ちゃんになりなさい』


 辛いとき。

 苦しいとき。

 自分ではどうしようもできないとき。


『お母さんはね、もうすぐ遠くに行かなければならないの。ずっとずっと遠くに。もうここに帰ってこられないかもしれない』


 泣きながら駄々をこねるしかできなかった。

 助けを求めても応えはなかった。

 正義のヒーローはどこにもいなかった。


『でもね、もしかしたら。ロイドが怪人をやっつけることができるような強い子になれたら、また会えるかもしれないわ』


 自分が強くならなければならない。

 他の人など当てにならない。

 力になりそうなものは利用しろ。

 幼いながらにそう自分に言い聞かせた。

 大人の勝手な事情で取り残された妹を守るために。


 夢はいつか覚めるもの。

 俺はそれが、少しだけ早かっただけにすぎなかったのだ。

 けれど、無意識に思ってしまうことがある。

 夢の中の日々に戻りたいと。

 母親が俺の前から消えてしまう前の日々に戻りたいと。

 だからその度に決意しなおすのだ。

 強い子になる。

 そうすればきっと母親は俺たちの目の前に戻ってきてくれるはずだ。

 そう信じて――

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