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悪夢の始まり(No.1)

作品を読もうと目を止めてくださりありがとうございます。天王見苦と申します。まだまだ稚拙で幼稚な文章かもしれませんが、成長を見守っていただけたら嬉しいです。

 手のひらになにか固いものがあたった感触があった。その瞬間、僕はなにか、刺々しいものが僕の手のひらを襲ったのではないかと思いもした。ネットを挟んで向こう側、近いのは近いがそこから2枚出ている手のひらは僕に刺さったそのトゲに当たることなくその手のひらの所有者は最終的に体育館の床にまたきれいに着地する羽目になったらしい、すぐさま、我先にと相手の中で唯一違うユニフォームを着ている輩が飛び出してきた。が、それも叶わずしてそのトゲはすぐに向こう側の床ではねた。


 ――ブロッカーは、自分で得点を取らない。――


 ドアを数回ノックし、ある部屋の扉を開けた。カタカタという絶妙に高低差のある聞き心地の良いキーボードの音の見事な調和が許された唯一の部屋。職員室だ。

 「1年……3組……芥川 知慧……です。」

 僕は大衆といういわゆる所の群れが嫌いなので無論、僕は独りだ。ただこれはあくまで好き好んでやっていることだ。ところでこれは持論ではあるのだが、あくまで、高校生の本分は勉強である。そんな僕がわざわざ部活に入る理由なんてものはサラサラなく、ただの親の意向でなにかの部活には入れということだ。中学までは文化部でなんとか手を打っていたが、今年からというもの家族会議で僕の体力の無さが問題視された。別に、僕はそこまで極端に体力が低いわけではない。

「バレー部に入りたいと思った理由……ですか」

 考えてなかった。まず、ここってバレーが強いよね。と、太鼓判が押されることがまずない学校に僕は進学した。わざとというわけでもないし、そもそもバレーのことなど考えてすらいなかったというのが正しい。つまり何が言いたいか、バレーは楽そうだということだ。楽そうでなおかつしっかりとやってるように見られる。なにか言い訳がましく聞こえるかもしれないがそれが本当の理由だ。

「バレーって楽そうじゃないですか。サッカーのようにフィールドを駆け回るわけではない。野球のように盗塁や、やれアウトだセーフだってめんどくさい決まり事もない。だからですよ。」

 僕が正直に話すと先生は、少しばかり苦笑いを浮かべたのか、自分を取り繕うと必死だったのかは知らないが、何かを決心したかのようにつばをゴクリとそして大胆に飲み込んだ。

「2年後も楽だったと思えたらいいね」

 と不敵な笑みとともに意味深な言葉を僕に投げかけた。正直意味がわからなかった。いや、詳しく言うと言葉の裏まで汲み取ることができなかった。たかが1スポーツに自分がそこまで心を動かされると思えないからだ。現に少し呆れた。その証拠に僕はマスクの内で口をあんぐりと無様に開けていた。スポーツ自体はめんどくさくなさそうでも顧問がめんどくさそうだからだ。僕は、入部届を意外にも3番目に出したらしい。そもそも、だいたい自分的には、1番最初か1番最後かのどちらかだろうと思った。性格的に絶対に提出を遅らせたくはなかったからだ。ただ、自分でも類を見ないほどに熟考した。これでも一応、学校内で決められている特待生クラスに入っているのだ。これでも学校では真面目で罷り通っている。まぁ、僕はこんなやつだ。いわゆるところの捻くれ者である。ちなみに体験入部はしなかった。体力を無駄に消費せざる負えない状況を忌諱しての行動だ。体験入部期間はまだ、部活に入っていない状況。別に休んでもお咎めはなし、という感じだった。

 ただ、1週間という期間は長いものだと思っていたが、案外短く、もう6時間目が終われば部活に顔を出さなければならなくなってしまう。

「キーンコーンカーンコーン」

 その6時間目すら終わってしまった。つまり、顔を出すというとてもめんどくさいことを習慣とせざる負えなくなってしまった。1年生の学級は1階にあり体育館に行くには割と早かった。窓から体育館周辺を覗き人通りが少なくなった頃を見計らい、体育館の外堀からバレー部の動向を覗き込んだ。キュッキュッとバレーシューズの音がなり、人が飛ぶ。そして声がでかい。ただ、うまく決まったりうまくブロックできたりしたのかもしれないが、正直流し作業のようにしては、とても声が大きかった。とにかくすごかった。同じ人間なはずなのに、ジャンプ力は僕と比べて段違いだし、声もあんな声出せるはずもない。あの目線からボールを打てたらどんな気分なんだろう。と少しの間見入っていると……。

「やべぇーーーーーーー寝過ごしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーキキーーーーーーーーーーーーーー」

 自分で寝過ごしたと豪語しながら、自分でブレーキを掛けるガタイが良く、僕とは正反対のパワー系の男が僕の前に止まった。僕は嫌な予感がした。気配をなんとか殺しながらその男の前から立ち去りたかったが、そうするまもなく、声をかけられてしまった。

「君ぃ、何してるんだい?」

 僕は、萎縮した訳では無いが、全身の筋肉が収縮し、頭が真っ白になってしまった。

「い……いえ。何も。」

 僕は1つ嘘をついた。何もしていないわけなんかない。しっかりとこの目にまだ色濃く残っているバレーの情景に未だ囚われているからだ。

「ふ〜ん……」

 先輩は僕と体育館、交互に目線を移し何かを取り決めたかのように、また僕の方を見た。正直怖かった。僕は人より身長は高かった。それでもその先輩は僕よりも5cmいや10cmは高いように見えた。

「君ぃ、なにかの部活に入っているのかい?体育館の中を眺めていたようだけれど……」

 この先輩は、姿や計画性のなさからは想像もつかないほど、意外と勘はいいようだった。この時に察した事は言うまでもないだろう。めんどくさいのは先生だけではなく部員もであると言うこの事実を。僕は迷った。正直に言うべきか嘘をついて逃げるべきか。それを迷い始めて1秒もしないうちにそのデカブツの先輩は僕にある疑問を持ったらしい。

「でぇ、どうなんだいぃ?黙ってても僕は何も分からないよぉ。最終的に決めるのは何事も君ぃなんだからさぁ」

 いかにも低いその声に別に怖気付いた訳ではない。そんな訳では無いのだが二の足を踏んでしまった。僕はおそらく間違った選択をしてしまった。

「えっと……バ……バレー部……です。」

 恐らく男はバレーという3文字を聞いただけでトラウマが蘇るのであろう。目をかっぴらいていた。それはそれは可哀想なことをしてしまったと自戒する間もなく、男は満面の笑みを顔にうかべながら僕を部室に案内した。そこでやっと、この男がバレー部員であるということに気づいてしまった。僕はこの好きでもないデカブツと一緒に着替えるという地獄のときを過ごした。

 デカブツが着替えが終わると、その大男は僕の着替えまでもを急かしてきやがった。僕が着替え終わったかと思うと、5秒も待たずに僕はデカブツに手を引かれた。突然に、そして強引に。

「1年はぁそこでぇ靴をぉ脱いでねぇ」

 学年で靴を置く場所が微妙に違うらしい。校則とかの取り決めではなく、自然とできた序列の1種であろう。いわゆる年功序列。めんどくさい。と考えつつ、反抗するしっかりとした理由は見つからないので、所定の位置に僕の新品同様の靴を置いた。片手に1週間前に急に言われた体育館シューズを持ちながら。さっき見た情景に少しばかりの期待を込めつつ、息を整えようとしたところで、デカブツは空気を読まずに扉を開けやがった。体感5秒ぐらいは何事もなく、みんな練習に打ち込んでいた。

 パチン!

 痛々しい音が体育館内に響いた。あろうことかデカブツは僕の背中目掛けて渾身の一撃を手加減もせずにお見舞したらしい。とてつもなく痛かったのは言わなくてもわかるであろう。僕に注目が集まる。未だジンジンしている背中か、痛々しくもどこか冷たい、そんな視線が原因かは定かではないが、とにかく泣きたかった。

ご一読頂きありがとうございました。知っての通り天王見苦です。これからも不定期で、本当に不定期でゆるーく連載していくつもりなので続きが気になった場合はのんびり待っていただけたら嬉しいです。

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