151匹目 座標攻撃
サブタイトル考えるのって大変だよね・・・
全部VSエルダートレントにしたら見返すときに何の話か全く分からないから意味無いし・・・
ランダム決定表でもあればいいのに。
「きゅい!!」
「……!ユウさん!!」
「……はえ?」
ウサミミを頭から生やした2人組が叫びながら俺へと手を伸ばす。
ウサギ娘がウサミミを”ウサウサ”させながら俺へ殺到する様子にほんわかした気持ちになるが、ボス戦の最中だというのに触れあいを求めて俺の元へ駆けているとは思えないんだよな。すご~く嫌な予感がする。
「なにわぷっ!」
「コーン!」
何かあったのか?と聞こうとした俺の口を幸せなもふもふが塞ぐ。
このもふもふは……イナリ!イナリの尻尾じゃないかもふもふもふも……ふ?
不意打ちの尻尾攻撃に完全敗北した俺がイナリの尻尾に体全体を埋めて一本釣りされたのと同時にお尻に異物感が……
幸せのもふもふから顔を離してふとお尻の下に顔を向けるとそこにはトゲの様に先端を尖らせた木の根のような物が俺の尻を掻き分けて突き刺さろうと……
「アッぶふッ!」
「コン!!」
俺が思わずお約束な叫び声を上げる前に木の根の半ばに命中したキツネ火が爆発して木の根を弾き、爆風に煽られた事で奥歯で舌の横を噛んだ。
痛ッ!……くは無いけど違和感がヤバイ。幻痛がする幻痛が。意味違うか。
「きゅい?」
「……ユウさん。大丈夫ですか」
条件反射で抱きついていたイナリの尻尾から降りて、舌を伸ばしてヒーヒー言ってる俺にウサギ娘達が心配そうに声をかけてきた。
大丈夫じゃないです。舌がヒリヒリするような気がします。
って、そっちじゃ無いよな。
「おう、大丈夫。イナリが助けてくれたからな。ありがとうイナリ。もうちょっとでお尻の穴が2つになる所だったよ」
「コーン!」
お尻の穴が2つになる所か、そのまま貫通して体が真っ二つに裂けた可能性も……無いか。FWOは部位欠損はあっても、決められた場所以外は傷1つ負わないからな。
俺に褒められたイナリが尻尾をまふまふと振りながら顔を摺り寄せてきたから、キツネ耳をもふもふと撫でてやる。
俺の手の下でイナリの三角耳がピクピクと動いているのがくすぐったいが気持ちいいな。もふもふ。
「きゅい……」
「……無事でなによりです」
「あぁ、2人もありがとうな。おかげで助かったぜ」
イナリの頭をなでなでしていた流れで、フィアちゃんのウサミミと、フィアちゃんの胸に抱かれているボーパルのウサミミをもふもふする。
ふむふむ。うさぎさんずきんのウサミミとボーパルのウサミミをもふり比べた事は無かったけど、こうして比べてみると細部は違うものだな。
短い毛がもふもふしてる感触は殆ど同じだけど、ボーパルのウサミミは血が通っている仄かな温かみがあるし、耳自体の柔らかさはフィアちゃんのウサミミの方が上だ。
というか、うさぎずきんのウサミミは芯とか入ってないのに、どうやってこの”ピョコン”としたウサミミの形を保っているのだろうか。形状記憶ウサミミかな?実に興味深い。もふもふ。
「きゅぃ~」
「……もぅ。子供扱いはやめてくださいっていつも言ってるのに……」
嬉しそうに目を細めて自分から頭を摺り寄せてくるボーパルと、少し唇を尖らせてぷいっとそっぽを向きつつも俺の手を払いのけようとはしないフィアちゃんとの間に優しい時間が流れる。
いや~平和だなぁ~。
「ギィィィィィイイイイイ!!」
「きゅい!!」
「……!ユウさん!!」
「コン!!」
「ぶっふぁ!」
ほんわかとした雰囲気をかもし出してたらすっかり存在を忘れてたボスの耳障りな叫びと共に、フィアちゃんの力士も真っ青なツッパリと、ボーパルのドロップキックと、イナリの頭突きが同時に飛んできた。
スローモーションになった世界の中で、地面と水平に吹っ飛ぶ俺の視界には、さっきまで俺が居たところの地面から真っ直ぐに突き上げられた円錐状の木の根が見えた。
あっぶねぇ……てか座標攻撃とか後衛キラー過ぎるだろう。緊急回避で仲間に殺されちまうよ!
「よっこいしょっと」
「きゅいーー!」
吹っ飛んだ勢いで空中で回転して体勢を整えた俺が空歩で空中に着地するのと、うっかり蹴っ飛ばしてしまった俺を追ってボーパルが跳んできたのは殆ど同時だった。
「きゅいきゅい」
「お、ありがとな」
俺の胸へと飛び込んできたボーパルは一連の流れで1割ほど消し飛んでいた俺のHPを回復してくれた。
1割しかHPが減っていないのか。てことはそれなりに手加減はしてたんだな。思ったより俺が脆弱だっただけで。
すまんなボーパル。
「うし。HPも全快したし、ボーパルはボスの攻略に戻ってくれ。いつまでも攻撃をミズキにだけ丸投げはしてられないしな」
「きゅい……」
俺がそういってボーパルを抱えていた手を離したんだが、どうやっているのかボーパルはもふもふのおててで俺の胸にしがみついて、小さな瞳を心配そうに揺らしながら俺の顔を見つめてくる。
そんなに俺の事が心配かね?
……心配か。思い当たる節が多すぎるな。
「そんなに心配しなくても大丈夫だ。フィアちゃんが索敵は出来るし、これからはフィアちゃんと2人でイナリに乗ってボスの周りを走り回るから。それなら多分あの攻撃は当たらないだろうしな」
ボーパルやフィアちゃんの反応を見ての考えだが、ボスが攻撃の準備をした後に攻撃する地点は変更できないんじゃないかと思う。
というか、それが出来たら難易度高すぎだしな。索敵を持ってない人は避けれないとか強すぎ。メタ読みだけど索敵持ちが注意をしたら避けれるか、動き続けたら当たらないぐらいの難易度と見た。
「という事で任せたイナリ!」
「コーン!」
俺の話が聞こえていたのかそれとも自分の判断か、トゲトゲ鉄球を仕舞ったフィアちゃんを背中に乗せたイナリがすぐ傍まで来ており、俺を咥えてポーンと上に投げると、もふもふの尻尾で包み込む様に受け止めてそのまま優しくフィアちゃんの後ろに下ろした。
……うん。いつ次の攻撃が来るか分からないし、効率のいい乗せ方だったことは分かるけど微妙に怖かった。着地して一拍してからぶわっと冷や汗が出てくる感じ。タマヒュンだな。アバターにはタマは無いけど。
「きゅい!」
「コーン!」
”任せた!””任せろ!”みたいな感じでスチャッ!と片手を挙げてイナリと挨拶を交わした後、ボーパルは残像が残るほどの速度で吹っ飛びボスに肉迫すると、スキルチェインを解放して幹の根元付近をボコボコにしだした。
あの蹴りの一発でも喰らったら俺のHPぐらい簡単に消し飛ぶんだろうなぁ……
……ぷるぷる。ぼくわるいサモナーじゃないよぅ……
「……ユウさん。しっかり捕まってください」
フィアちゃんの後ろでぷるぷるしている俺へ振り向いたフィアちゃんが、怪訝そうな表情でそう言った。
いや、確かに落ちたら大変だけど、女の子に後ろからしがみつくのは……ねぇ?なんとなく犯罪臭が……
「……フィアが真正面に座っていて他に捕まる所も無いですし、そもそもフィアの方が筋力が高いのにそんな事言われても……」
「ごもっとも!」
ぶっちゃけ俺がやられたらこのパーティは終わりだしな。
照れてる場合じゃなく、生き残る為にしっかり抱きつかないとな。うん。
「じゃ、じゃあ失礼して……」
「……ん」
ズリズリとお尻を動かしてフィアちゃんの背中に近づくと、扇を仕舞った両手をフィアちゃんのお腹の前へソロソロと回していく。
えっと、抱きつくのってここでいいんだよね?お腹に手を回すのはセーフ?いや、アウトな気もするけど、上に上げても下に下げてもよりアウトなんだよなぁ……
「……んんぅ。もう!早くしてください!」
「お、おぉ!?」
フィアちゃんの体に回した腕を上へ下へとフラフラさせていたら、キレたフィアちゃんがグイッと両手を引っ張られて、完全にフィアちゃんの背中に密着した状態でフィアちゃんのお臍の前ぐらいで交差させた俺の手を左手で押さえながら、右手でイナリの背中の毛をぐっと掴んだ。
「……イナリちゃん。オーケーです」
「コーン!」
「ふぃ、フィアちゃぶッ!」
フィアちゃんとの接地面積の広さとか、温もりとか、香りとか、ハラスメントコードとか、色んな事を頭に巡らせつつ、とりあえず開いた口が、唐突な加速で強制的に閉ざされた。
「……喋っていると舌を噛みます」
「もう、おふぉいです……」
うぅ……さっきとは反対側を噛んだ……
お尻の件といい、今日ほど痛覚が無くて嬉しかった事は無い……
いや、待てよ。痛覚があれば、フィアちゃんの感触ももっと良く感じられた可能性も……むぅ。悩み所だな。
「……なぜでしょう。唐突にユウさんを蹴落としたくなりました」
「すんませんしたぁああああ!!」
でも、フィアちゃんにしがみつくのは止められないよね。本当に落ちたら大変だもんね。仕方ないね。
もふもふ!
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ラブコメの波動を感じる・・・
こいつ等ボス戦中なのになんでラブコメをしてるんだ。そりゃあボスさんもユウを集中攻撃しますわ。お尻をブスリとしますわ。当然だよね。
がんばれエルダートレント!負けるなエルダートレント!




