09筋肉
エネルギーを消費した結果、ショタ化した。
体に問題が無いか確かめると、食べ物を食べて成長する事にする。
一番大きな理由は、もし食べ物が手に入らない状態が続いた時、体にエネルギーを貯蔵しておいた方が良いという事だ。他にも理由はあるが、成人の体でいる方が生き易い。
肉を食い、白米を食う。炭酸飲料を飲み、菓子パンを食う。果汁100%のジュースを飲み、菓子を食べる。
そして寝る。食っちゃ寝だ。幸せだ。
そんな生活を数日続けていると、目に見えて成長していた体が安定した。
プログラム通り、身長は180cm、体重82kg、脂肪は少なめで筋肉質な体型である。
貯蔵できるカロリーだけを考えるなら、筋肉より脂肪を多くした方が良いのだろうが、これには幾つかの理由がある。
さすがの俺でも脂肪からブドウ糖は合成できない。非常時、脳に必要なブドウ糖は筋肉の分解で賄う。カタボリックだ。
また筋肉質な体でいる事で、喧嘩の被害に遭いにくくなるだろう。生きていく上で、フィジカルな強さがあれば死を回避できる、という事もあると思う。
そして見た目的にデブよりマッチョの方が良い。クオリティオブライフだ。
現状、体細胞分裂制御プログラムにより、大抵の怪我は自然治癒する事が出来る。千切れた筋繊維なんてすぐに治る。
筋肉を保護する為のリミッターを外しても問題は無い。
だがリミッターを外すには脳内の変化が必要だ。リスクがあるので却下する。
故に別の方向からのアプローチを考えた。
使わない筋肉は分解されてしまう。これはエネルギーの無駄遣いをしない様に進化してきた為だ。
だが俺は飢餓時のエネルギー不足問題についての対策を完了している。
燃費が悪くても、筋肉がある方がメリットが大きい為、筋肉を使わなくても分解されない様にした。
実はこれは体細胞分裂制御プログラムに含まれている。
そうでなくては食べただけで筋肉は付かない。俺に筋トレは必要無いのだ。
人に格闘技を習うのが嫌な俺は、いつの日か達人になる事を夢見て、正拳突きを日課に取り入れた。